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カイコ  作者:
3/52

迷い子

トイレ、、


もそもそとベッドから降り、、って、どんなけ高いベッドだよ!

高床式か?

なんとなくすっきりしない気分をベッドにやつあたりし、裸足でぺたぺた歩いて、ドアっぽいものを開ける。

なんか、立ち上がると、お腹が気持ちわるいような、うう、しんどい。


さっきグレンさんが出て行ったのと違うドアだ。

希望的観測では、お風呂やトイレがあってほしい。


かちゃ


中でなにかが動いて見え、びくりとし、後じさる。


そこには、黒目黒髪の少女が、「映って」いた!



生理現象と好奇心から、おそるおそる前に進んだ私は、私が少女に変わっていることを確認した。




たたたっっ、ぽふん。

ベッドに逃げ帰り、弾みをつけてとびのる。


胸や身長はそんなに変わっていない気がする。

でも、なんか印象が若い、小学校高学年から中学生くらい?


ずりずりと、ベッドの上を、サイドテーブルまで移動して、グラスに水を注ぐ。


ごくごくごく


すーはーすーはー



なんでグラスが空っぽかって、私は胸がいっぱいで飲めなかったのに、グレンさんが「私もいただこう」って、残りをおいしそーに飲んじゃったからだ。


落ち着け、落ち着け!

余計なことを思い出して、さらなる混乱をきたした自分を叱咤する。


これは、あれだ!、、って、なんだ?!


この子に、のりうつったのか!わたし!



鏡にうつった少女を思い出す。

あれは、自分だろうか?

若くなったのか?


10年くらいも前の自分の姿形など、はっきりいって思い出せない。

目と髪は黒い、肌の色も違わない、だけど、なんか、どことなく違う気がする。




そうだ、きっとこの少女の身体だから、グレンさんと会話ができるんだろう。

グレンさんは何語話してた?


、、、、。


じゃ、じゃあ、この少女っぽい身体の持ち主の意識はどこに行ってしまったんだろう?


私の身体へといれ変わっちゃったのだろうか?


取り敢えず状況把握しないといけない。

気持ちわるくて、ぐらんぐらんしてきた。

仰向けになって、楽な姿勢を探す。


わたし、何してたんだっけ?


中学の時のジャージとTシャツで、ソファでだらだらしてた、多分眠っちゃったんだろうと思う。


なんか夢とか声をきいたとか、、何もない、たぶん。


「うーーーっっ」


なんだか肝心なことをすっぽり忘れてしまった自分と、忘れたころにやってきた頭痛で不覚にも涙がにじむ。


コンコンッ


突然軽やかなノックの音がして、入ってきた女性にびっくりする。


「あら!

あら、あら、まぁまぁ!

なんて可愛らしいお嬢さま。ぼっちゃまも隅に置けませんね。」


絵に描いたようなメイドさんだ、まんま、白とグレーのエプロンドレスの女性だ。

今、隅に置けないって云ったな、現実でそんなこと云うの、初めて聞いたぞ。


泣いているところをみられたバツの悪さも手伝って何もいえないでいる私の顔や身体を拭ってくれ、着替えさせてくれる。


下着は紐パンで、でも布面積は大きくてほっとする。


「もう少し元気になられましたら、お風呂にも入りましょうねぇ。」


にっこり微笑って、「まだお熱がございますからね」と諭すようにいい、頭を撫でられ、ベッドにしまわれてしまった。






OOOOOO






廊下でのイザベル。


にまにまと頬が緩むのを止められない。

とうとうおぼっちゃまに春がやってきたのだ。


主人の肌着を着て、きょとんとこちらをみていた姿は、かき抱きたいくらいに可愛かった。


艶やかに身体を覆う黒髪に、神秘的な黒い瞳をした少女。

精霊に強く愛されると、かの様な色を身にまとうという。

熱のせいか上気した象牙色の肌は、女の私がみとれる程美しく、不安げな深い色の瞳に庇護欲をかきたてられる。


あの少女に服をみたててくれという主人の依頼は大歓迎だ。


早速カーラに連絡しよう。


「ああ、素敵な夏になりそうだわ。」


イザベルはひとりごち、早く皆とこの幸せを分け合いたい様な、自分だけの秘密にしておきたい様な、浮き立つ気持ちで足早に歩いて行く。





OOOOOO





ん、、、

ドアが開いた?


いつのまにか眠ってしまっていた。

まだ外は明るいから、そんなに時間は経っていないのか。


「起きていたのか」


ああ、、グレンさんか。

なんだか白っぽい軍服みたいな服をきてる。



「いえ、、今起きたところです」


「起こしてしまったか、、」

少し顔をしかめて、ベッドに座り、額に手をあてる。


「具合はどうだ?熱は下がったか。」

頬、首筋と大きな固い手が下がり、顔を覗き込んでくる。


過保護なお父さんみたいだ。

そう思うと、笑いが漏れた。

よいしょと身をおこし。元気さをアピールする。


「はい。おかげさまでよく眠れました。すっかり楽になりました。

あの、、ありがとうございます。」


起き上がったのに驚いたのか、慌てて手を貸してくれたが、表情は固い。

何か気に障ったのだろうか?


「ユーリ、、、」


これは、百合と名乗ったのが、何故か彼がいうとそうなっちゃうのだ。


「ハイ、、、?」


首を傾げて見上げる私に、グレンさんはますます怖い顔で黙っている。


あの、、美形さんがそんな顔すると迫力満点で、怖いっすよ?


そうなのだ、グレンさんは裸で登場したり、スキンシップが過剰だったりと残念な点はあるけれど、拾ってくれたのが彼でよかった的な美形さまなのです。



マッチョなのと、表情が固いので華やかさはないけどね。


「食事が出来そうなら、支度をして一緒に食べよう。」


、、、、、あっ、、、ハイ。


お腹すいてます。


それ云うだけに凄まないで下さいよ、、もう。



注意深く聞いたみたけど、何かわからない音で会話し、私もそれを話していた。


やっぱり乗り移り確定?


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