風 コウム視点
アニキ。
気配を感じて振り向くと、人型のアニキがいた。
元気そうだなと笑い、話がしたいとフェイを下がらせた。
「交渉成立だ。」
「あの猛犬、話が早いじゃねえか。」
「さっきのは、島の民か?こんな所でよく見つけたな。」
「フェイか?俺のイザベルが召使いにくれたんだ。」
「また都合のいい解釈だな、見張りじゃねえのか?」
「イザベルは俺にぞっこんだぜ!」
「そうか、、?
契約したから、もうその魔具は必要ない、外してやろうか?」
「ちょうど面白いから、フェイにさせてみるさ、あいつなんていうかなぁ」
「魔力は十分だろう?」
「チカラはあるさ。でもあいつは犬を知っているからな。
雇い主が繋いだものを、勝手に外していいか悩むだろうな。」
あんまり虐めるなよ。
そう、ピーター兄貴はゆって去る。
すぐに控えていたフェイがやってくる。
さすがに人型の兄貴の正体には気付けないらしい。
「おい、これを外せ」
ビクッとする。
そういわれるのは想像してただろうに、面白い。
島の民にとって、犬は精霊の御使い。
「聞こえねぇのか?」
おお、泣きそうだ。
なんで繋がれてるかわかんねぇし、雇い主に確認しないで外していいかわかんねぇんだろな。
「おいっ」
がしっ
思い詰めた顔のままフェイはやおら俺を抱き上げ、走りだした。
あんまし煽ると、こういつやつはヤバイんだよな、、あー、この締め付けと振動が膀胱にくるわ、便所行きて。
「い、い、、イザベルさまっ」
ついたのは俺のイザベルのところ。
「あら、フェイ。
コウムちゃんも、どうしたの?」
ノックに応えてドアが開く。
イザベルの後ろに、先程見た男。
ぴったりくっついて、肩に手を置いた。
気にくわねぇな。
「アーら、仔犬ちゃん。
お漏らしでもしちゃったの〜?」
ム!
ハ!そうだった、便所、便所、、
「おう!
早く下ろせ!このまま出しちまうぞ!」
飛びおりて、用を足しに行く。
戻ると、まだ、フェイがマゴマゴやってる。
「おい!
外すのか、外せねえのか、何とか言えよ!」
あー、あの男気にいらねえ!
「もー、コウム。
何なの、イライラして。」
ユーリ?
なんだ、ヘンテコな格好だなおい。
ユーリの声にビクりと震え、ようやくフェイが気力を絞りだした。
「あ、あの、コウム様の首輪をお外しして宜しいでしょうか?」
イザベルとユーリをキョロキョロ交互に見ながら話す。
「ああ、外してやってくれ。」
現れた第三者の声に悲鳴をあげんばかりの顔をしたフェイ。
さすがにちょっと失礼だぜ?
「グレンさま。」
イザベル達は礼をとって少し下がる。
晴れて首輪は外れたが、俺の心は晴れなかった。




