島 フェイ視点
皆が、私を遠巻きに見ている。
得体の知れない娘。
何考えてるかわかったもんじゃない。
異国の者を雇う気が知れない。
分かってる、そんなこと。
やっぱり私が馬鹿だってこと。
食事も部屋も何も変わらない待遇。
そうして、私がひとりぼっちなのも、変わらない。
彼は死んだらしい。
彼も騙されて、利用されてたんだって。
笑えない、涙もでない、彼の笑顔を思い出す、優しい仕草や声を。
名前も知らない、あの人を。
「、、、フェイ!」
「あ、、あ、イザベルさま。」
「もう、どうしたの?随分ぼーっとして?」
身体の具合でも?
心配そうに覗きこんでくる視線が痛い。
「あ、あの、なんでもありません。すいません、仕事に戻ります。」
「もう、ほんとにどうしちゃったの?今は休憩でしょう?」
!
ひゅっと息が漏れる、ビックリして声もでない。ベンチに座っている私の肩に前脚をのせ、犬がまた舐めてくる。
「、、犬?」
「そうよ!
やっぱり知っているのね?」
「は、、はい、、」
「可愛い仔でしょう?コウムって云うの。しばらくこの仔の世話をみてやってくれないかしら?」
この、仔?
はい、と渡された紐を手に呆然とする私をおいて、イザベルさんは軽やかに去って行く。
皆に伝えてくるわ〜と言って。
「あ、あの、あ、あ、、」
「コウムだ」
「あ、あの、すいません。
ご無礼を。」
慌てて、紐を返す。
「あ、、」
首にも何かついている。
囚われて連れてこられてしまったのだろうか?
、、、私みたいに。
「島の民か?」
「は、はい、、」
「どうしてこんな所にいる?」
「さ、攫われて、私っ」
「おぅ、そうか、まぁ、そんなとこだろうな。」
可哀想にって、言わないの?
「まぁ、助かったよ、言葉のわかる奴がいて。せいぜい役にたってくれよ。」
役に立つ?
「ここは水の力が強くて、なかなか風がみつかんねぇ。
毛色の違うのがいるっていうから、見に来たんだよ。」
大当たりだと、犬がわらう。
慌てて、言葉はわかるが、自分はお世話をしたことも、側に寄ったこともないから、と辞退を告げる。
必要なことは伝えるし、話が出来るだけで十分だと返された。
OOOOOO
あの日、漁のため、いつもの様に浜へ下りた。
何人かは海藻と岩につく貝を採りに。
私たちは砂を掘る貝を採りに。
必要量を採ったのに、まだ岩場組が戻ってこない。
普通なら、岩場の方が先に漁を終えるのに。
海からの風が強く、声をかけても届かないのか、遠くに行ってしまったのか?
どのみち、岩場が帰り道だから皆でゆっくり歩いていく、私は小さいからと、荷物も軽くして貰っていた。
先頭を歩き岩場へ回ると、グイと抑えこまれ、刃物を見せられた、視線を巡らすと、複数の男がいて、岩場に行った皆が縛られている。
知らせなくては!
でも、声がでない、手も足も、身体が動かない。
何も出来ないまま、皆が囚われ、抵抗した人が殴られるのを見た。
役立たず。
皆が囚われ、縛られて、それでも抵抗して、殴られて。
役立たず。
男達は大漁だと機嫌がよかった。
離れていく島、たぶん、二度と帰れない故郷。
島は、碧く霞んで、離れていく。




