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カイコ  作者:
28/52

島 フェイ視点

皆が、私を遠巻きに見ている。


得体の知れない娘。

何考えてるかわかったもんじゃない。

異国の者を雇う気が知れない。





分かってる、そんなこと。

やっぱり私が馬鹿だってこと。


食事も部屋も何も変わらない待遇。

そうして、私がひとりぼっちなのも、変わらない。



彼は死んだらしい。

彼も騙されて、利用されてたんだって。


笑えない、涙もでない、彼の笑顔を思い出す、優しい仕草や声を。


名前も知らない、あの人を。


「、、、フェイ!」


「あ、、あ、イザベルさま。」


「もう、どうしたの?随分ぼーっとして?」


身体の具合でも?

心配そうに覗きこんでくる視線が痛い。


「あ、あの、なんでもありません。すいません、仕事に戻ります。」


「もう、ほんとにどうしちゃったの?今は休憩でしょう?」


ひゅっと息が漏れる、ビックリして声もでない。ベンチに座っている私の肩に前脚をのせ、犬がまた舐めてくる。


「、、犬?」


「そうよ!

やっぱり知っているのね?」


「は、、はい、、」


「可愛い仔でしょう?コウムって云うの。しばらくこの仔の世話をみてやってくれないかしら?」


この、仔?


はい、と渡された紐を手に呆然とする私をおいて、イザベルさんは軽やかに去って行く。

皆に伝えてくるわ〜と言って。


「あ、あの、あ、あ、、」


「コウムだ」


「あ、あの、すいません。

ご無礼を。」


慌てて、紐を返す。


「あ、、」


首にも何かついている。

囚われて連れてこられてしまったのだろうか?

、、、私みたいに。


「島の民か?」


「は、はい、、」


「どうしてこんな所にいる?」


「さ、攫われて、私っ」


「おぅ、そうか、まぁ、そんなとこだろうな。」


可哀想にって、言わないの?


「まぁ、助かったよ、言葉のわかる奴がいて。せいぜい役にたってくれよ。」


役に立つ?


「ここは水の力が強くて、なかなか風がみつかんねぇ。

毛色の違うのがいるっていうから、見に来たんだよ。」


大当たりだと、犬がわらう。


慌てて、言葉はわかるが、自分はお世話をしたことも、側に寄ったこともないから、と辞退を告げる。


必要なことは伝えるし、話が出来るだけで十分だと返された。






OOOOOO






あの日、漁のため、いつもの様に浜へ下りた。

何人かは海藻と岩につく貝を採りに。

私たちは砂を掘る貝を採りに。


必要量を採ったのに、まだ岩場組が戻ってこない。

普通なら、岩場の方が先に漁を終えるのに。


海からの風が強く、声をかけても届かないのか、遠くに行ってしまったのか?


どのみち、岩場が帰り道だから皆でゆっくり歩いていく、私は小さいからと、荷物も軽くして貰っていた。

先頭を歩き岩場へ回ると、グイと抑えこまれ、刃物を見せられた、視線を巡らすと、複数の男がいて、岩場に行った皆が縛られている。


知らせなくては!

でも、声がでない、手も足も、身体が動かない。


何も出来ないまま、皆が囚われ、抵抗した人が殴られるのを見た。


役立たず。


皆が囚われ、縛られて、それでも抵抗して、殴られて。



役立たず。



男達は大漁だと機嫌がよかった。


離れていく島、たぶん、二度と帰れない故郷。


島は、碧く霞んで、離れていく。

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