赤毛 ギルフォード視点
「どうだ?」
暗い表情の部下からの報告に、まぁ、そうだろうなと頷く。
「明日朝に解放しろ。どうせ証拠はない、これ以上の拘束は、他の公家から痛くもない腹を探られることになるだけだ。港湾と連絡はとれたのか?」
不満そうな部下達、あのお嬢さんが余計なことをしなければ、今まで追って来た奴を押さえれた筈だった。
だが、仕方ない。
ピピンからの報告では、お嬢さんは首輪を付けられ鎖で繋がれたことに大層お怒りだったそうだ、お前達の教育不足の結果だろうと言ってやったが、伝えたくない気持ちも解る。
蚕とはそういうものだ。
器の無い蚕は、繋がれずに外には出られない。
だから急いでピアスを着け、機構にやらなかったんだろう。
ピアスを着ける前から毎晩抱いて眠り、目覚めたばかりの不安定な魔力の受け皿になっていたということだから甘いことだ。
もっとも、もしそれが自分でも、そうしたに違いないのだから、笑えないが。
穢れを知らない蚕を前に、私達が取り得る選択はそう多くない、それは身に染みて知っている。
やって来た港湾局保安課の男は、あの時まさに元気よく走ってた赤毛だった。
「今回はご苦労だったな。おかげで嫁を失わずに済んだ。礼を言う。」
黙って礼をとる男はすっと顔をあげ、失礼ながらと切り出した。
「解放なさると聞きました。」
「ああ、証拠がないのでな。」
「封具の持ち出し、他家の蚕への手出しは明らかです。」
「アレはまだ正式にはウチのモノではなかった。機構の研修を終えたピピンは城に着いてなかったからな。
奴は、蚕が保護されたというので急いで封具を持って見に行き、会ったことのある嫁だったので驚き、城へ連絡しようとした矢先に犯罪組織に攫われた。ということらしい。」
「戯言を。
現に異国の人身売買組織に商談をかけていた身で何を、、」
「証拠はない。そんな輩は知らぬとよ。」
「捉えた奴らの証言があります。」
「わかってるんだろう?」
最初から、計画が失敗すれば人身売買組織を切る予定だったのだろう。連絡はすべて浮浪者や移民の伝言でなされていた。
買いてなど、簡単に見つかるということだ。
「しかし、今回は何故危険をおかしてまで攫ったのでしょう?」
水の属性で初物だ。教えてやる義理はないので、さあなと流し、攫った奴らについて尋ねる。
「港湾では特に情報はありません。奴は蚕が保護された経緯については?」
「これも、知らぬと。通報があり、駆けつけると蚕だけがいて、一緒だったものは消えた。勘付いて逃げたのだろうと言っておる。」
小賢しい、、赤毛は呟き、仕事に戻って行った。




