虫籠
「ひめさまっ」
キィン
「そこまでだっ」
上から悲鳴が聞こえ、下からナイフが飛んできて、その後ろから沢山の足音と大きな声。
ぐらりと身体が傾いで、鎖が切れたらしいことが解る。
ヒュっと喉から息が漏れたが、声をだすまもなく
どすんっ
衝撃で息がつまり、痛かったけど、生きてる!
いや、あの高さじゃ、死なないか?
っう、、、うぐ!?
口の中に手?!
助けてくれたっぽいお兄さんが私の口に手を突っ込みながら、変な声をだし、景色がブラックアウトした。
OOOOOO
どんっ、ドタンと響く音がした。
「ん?
気がついたか?」
ありえない。
いろいろありえない、、
「言葉もわからんのか?」
ありえないから!!
薄っすら目を開けた私が見たのは、籠。
わたくし、ぜっさん、かごのむし。
「おいこら」
思考が停止気味の私は痛みと衝撃に顔を上げた。
助けに来たわけじゃなかったらしい男とは別の男が、鎖を手に持ち、覗きこんでいる。
ムカつくので無視だ。
しかしここは何処なんだろう?
部屋は薄暗い。
夜になったのか、窓がないのか?
この男達は私をどうするつもりなんだろう?
「しっかし、まるで見た目はただの綺麗なお嬢ちゃんなのに、な」
男のにやけた顔にイライラする。
「それぐらいにしておけ、あまり怒らすな」
「何だよ、びびってんのか?
こんな小娘独りで何が出来るってんだよ。」
「三度は言わない。こいつを怒らすな」
チンピラな男が出て行った後、さらって来た男が寄って来た。
「悪かったな、そろそろ機嫌を直してくれ。」
ほら、出してやるよ、と言って、男が籠をあけた。
「ふふ、可愛いな。
ことば、わかってんだろう?」
じっと見つめていると、顔を強張らせて笑い、悪かった、と、また謝った。
OOOOOO
「ピーターだよ、お嬢ちゃん。」
男はカップに入ったお湯を渡しながら名乗った。
私は軽くうなづいて、カップを受けとる。
「お嬢ちゃん、凄い力だな。
封具にピアスがついててそれなんだからな。
ほんとは、建物の裏にでも跳べればいいと思ったんだ、だけど」
男は一息ついて、自分のカップの中身を口に含む。
「ちゃんとこの部屋が見えたんだ。だから跳べた。」
男は急に、手をせわしなく動かしたり、立ち上がって歩いたりして
「頼みがある」
ポツリと言った。




