ふたり
「今日学校でまた畑中先輩と目が合ったんだよ。」
「うそだあ、絶対勘違いだって。」
「今度アドレス渡してみようかなあ。」
「一回も話したことないのに?」
「うん。でも緊張するから代わりに渡してくれる?」
「えー前もそうだったじゃん。こんな時だけ私の事頼るのやめてよね。」
「えへへ。」
「麻美、御飯よ。」
「はーい。じゃあまたね。」
「うん。」
数日後
「明日デートすることになった。」
「やったじゃん。自分で渡した甲斐があったね。」
「でも…」
「何?」
「やっぱり一回目だけ代わってくれない?」
「え?デートだよ?」
「不安なの。お願い。」
「私っていつもそんなのばっか。麻美はちょっとでも私の気持ち考えたことあるの?」
「わかってるけど、今回は嫌われたくないの。でも自分に自信がなくって。」
「麻美はどうしていつも消極的なの?」
「麻美がポジティブなだけ。こっちは自分に自信ある人なんてほとんどいないよ。」
「ふーん。」
「だめ?」
「じゃあ…一回だけだよ。」
「ほんとに?やった。ありがとう。今度好きなもの買ってきてあげるね。」
次の日
「麻美、どうだった?」
「すごい良い人だったよ。」
「やっぱりそうでしょ?麻美ありがとう。もういいよ。」
「…そうだね。もう、いいよね。」
「どうしたの?」
「さよなら、麻美。」
麻美は目の前の鏡を素手で叩き割った。