表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/32

嫌がらせはベター過ぎる

 下駄箱に辿り着くと案の定俺の下駄箱は凄い事になっていた。腐った何か、腐った虫の死骸その他諸々が詰め込まれてカオスな状態を作り出していた。

 見事だ。

 実に見事な典型的嫌がらせだ。

 俺は思わずその見事な出来栄えに関してそれを写メしてしまった。

 そしてこれを例の腐女子に送り付ける。

 奴はきっと面白がり、喜ぶだろう。まあ、これは皆川の下駄箱でも同じ光景が見られるだろうが。

 俺は自分作、上履き避難所山田下駄箱から上履きを取り出すと、そのまま2-Sの下駄箱を見に行く。

 因みに自分の下駄箱はそのままにしておく。俺が片付ける必要も無いしな。悪臭を撒き散らすそれらはきっと心の優しい、耐え切れなくなった周囲の奴の誰かが片付けてくれる事だろう。

 2-Sの下駄箱を見た時は噴出しそうになった。見事に同じ様な嫌がらせを受けた下駄箱が二箇所もある。ん? 二箇所? 一つは確実に皆川の下駄箱だよな。するともう一つは?

 その瞬間俺は悟った。俺と同じ様に皆川被害者がいる事を。

 哀れだ。

 下駄箱には近付いていないが、遠くからでも名前は読める。うん。一つは皆川の物だ。俺の下駄箱よりも更に芸術的に仕上げられている。んで、もう一つの下駄箱の名前は吉永透。

 ああ、そう言えば情報の中にそんな名前もあったな。

 吉永透。生真面目で平凡なこの学園では珍しい特待生。勉強が出来る事意外は取り立てて珍しい所も無い、俺と同じごく平凡な奴だ。確か皆川の前の席に座って………。

 うん。完璧巻き込まれたな。

 機会があったら会って話をしてみよう。きっと熱い友情が結べる筈だ。またの名を皆川被害者友の会。

 そう心に書き留めると、教室へ向かった。

 教室に辿り着くと案の定、誰もいない。

 だが、教室のとある一角、俺の机は昨日の予想通り、綺麗にデコレーションされていた。

 昨日の放課後にやったのかね? 普段の動きからは考えられない位に早いよな。こう言う事は。

 勿論、机の上には陳腐な台詞つき。死ねとか、平凡が~~に馴れ馴れしく近付くなとか、勘違いするなとか…。

 そうか、昨日の光景はやはり俺から近付いた様に見えたか。

 おまけにちゃんと菊の花が白い花瓶に綺麗に飾られていた。

 うん。此処まで予想通り過ぎると先程以上に笑いが込み上げて来る。教室内にあるロッカーにも目をやれば赤いスプレーで死ねとデカデカと書き込まれていた。巻き込まれて両隣の奴のロッカーまで被害にあっているが。

 取り敢えずそれらも写メに写すと、これまた腐女子に送ってやる。

 尚、第一便のメールの返信は此処に来るまでに届いており、メールにはグッジョブ(顔文字付き)と書かれていた。

 携帯をポケットにしまうと、机の上にまず、綺麗に飾られていた花瓶をご丁寧に近くの奴の机の上に置かせて貰った。

 確か小松原の親衛隊でゴリマッチョの机なので問題無い。

 丁重に返してやっただけだ。ついでに教室の隅にあるゴミ箱を持って来ると一気に悪趣味なデコレーションも撤去させて頂いた。

 だって授業の邪魔だしな。うん。

 多少は綺麗になった。これで机は使える。

 因みに陳腐な台詞集はそのままだ。消しても消してもこれから量産されて行くだろうから放って置くに限る。…あんまりにも陳腐過ぎるから採点しちゃ駄目か?

 朝からこうして一仕事を終えると、俺は机に突っ伏して、HRが始まるまで寝る事にした。

 因みに、俺が丁重に返してやった菊の花の花瓶を見たゴリマッチョな生徒はその場で嬉しそうに悶えていた事を此処に追記しておこう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ