ひと時の安らぎ
目が覚め、時計を見やると朝の五時半。昨夜帰って来たのは一時半位だったから寝たのは二時位か。仮眠も外で取ったので計五時間も眠れた事になる。まあままだな。
そのままベッドから起き上がると、制服に着替える。着ていた服はきっちりと畳み、クローゼットの洗濯前の場所に置いて置く。そろそろ洗濯物もたまって来たから洗いに行かなくては。因みに寮には使用する奴は極端に少ないがコインランドリーも設置されている。何て金の無駄遣いだ。ま、人も滅多に利用しないから俺は好んで使うが。
部屋から出ると、きっちり鍵と結界を施す。前科有りなので用心に越したことは無い。そして共有スペースであるリビングに目を向けると夜放置した状態で皆川が寝ている。風邪を引いた様子も無く、暢気な目顔で腹を掻きながら転がっている。やっぱり馬鹿は風邪をひかないんだなとある意味感心して、奴が目を覚ます前に部屋を出た。
そしてこのまま食堂へと向かう。朝練の生徒の為に五時半から既に食堂は開かれているのである。その部分に関しては大いに助かる。昨日の夜は何だかんだと言って結局夕飯を食べ損ねた。今後の為に朝はがっつりと温かい物を食べて英気を養おう。 お値段が金持ち校故にめちゃくちゃ高いのでこちらもまた滅多に利用しないが。
朝の五時半過ぎと言う時間帯のお陰か人気が無く、この空気が心地良い。
奴が来る前までは当たり前の静寂をこの学園でこんなに気持ち良く感じたのは久々かも知れなかった。
食堂は案の定人影が見られない。
学校の食堂とは思えぬ作りの食堂は一流の高級レストラン並のだ。こんな朝早い時間でもウェイターはきっちりとした格好をしている。
「おはようございます。お席の方へご案内致します」
そう言われて案内された場所は窓際の景色を良く眺められる場所だった。まだ外には霧が出ているが山奥なので気にしない。徐々に明るくなってくる事もあって綺麗な景色だ。この光景を見ながら俺は素早く朝食を頼む。やはり朝は和食に限る。本日の朝の和食定食を頼む。ウェイターが料理を運んで来るまでぼーっと外の景色を眺めていた。
朝食は早々に運ばれ、俺はそれらを綺麗に食べる。このアジの開き美味い。流石高級品。肉厚で油ものっている。他にも綺麗な出来立ての厚い出汁巻きにこのレストランのシェフ自らが漬けたのであろう漬物に、出汁から丁寧に取ったであろうあつあつの味噌汁に、これまた高級日本米のごはん。
流石一流のシェフが作った上に値段が高いだけある。
それを全て腹に入れ、食べ終わる頃にウェイターが緑茶を運んで来た。至れり尽くせりで本当に感謝物だ。
その頃になると徐々に食堂の外にちらほらと生徒が見え始めた。
俺はそれを見やるとウェイターに礼を述べて会計を済ませるとさっさと食堂を後にした。
因みに他の生徒に見付からない様に既に隠密行動でもって移動していたりする。時刻はちょうど六時過ぎ。校舎も開いているので丁度良い頃合だ。
そして、昨日の結果を見る為に下駄箱へと向かった。