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野生の感で気付かれる

 静音と疲れる電話を切った後、俺はその場で仮眠を取る事にした。勿論、体力温存の為だ。

 で、深夜も深まり、部屋の前まで来ると中に人の気配が一人しかないのを確認すると、素早く中に入る。そして部屋の惨状を見て呆れる。

 俺の目に前には電子ちゃんに謝れと言いたくなる位に電気の無駄使いをしている皆川の姿が目に入った。

 奴は共有スペースであるリビングで照明もテレビも付けっ放しでソファの上で幸せそうに寝こけていたのだった。

 あれか、これは俺の待ち伏せと言う訳か。奴も考えたな。

 だが、奴はお子様らしく眠気には勝てずに沈んだ様だ。

 この様子では叩いても起きそうに無い。

 だったら今の内に風呂を済ませよう。そして奴は放置決定だ。馬鹿は風邪をひかないとも言うしな。その実験対象となってくれ。

 そんな事を思いながらさっと着替えを部屋から取り出し、浴室へと行く。

 本当は浴槽に湯をたっぷり張った湯につ浸かりたいが、途中で奴が乱入して来ても嫌だしな。奴が来てからと言う物、殆どシャワーだけで済ませている。手早く体と髪を洗い、今日一日分の汚れを落とす。

 体と髪を洗い終えると、暫くシャワーを何も考えずに浴びる。

 すると人の気配を感じた。

 ハッとした時には浴室の扉が開いた。


「四紀ーーーーーっ!! ようやく帰って来たのかっ!!」


 登場したのは言うまでも無く皆川だ。

 こいつ、人が風呂に入っている時にまでズカズカと……。別に同じ男だから裸を見られたってどうって事無いが、常識って言葉を知ってるか? そうか知らないか。猿だからな。って言うか起きたのか。野生の勘は凄いな。おい。

 そして視線が合うと、皆川は目を丸くしていた。


「えっ?! 四紀その体なんだ?!! すっごい傷だらけじゃねーかっ!!!」


 そのまま俺の側にまで寄って来ようとするのに右手を皆川に差し出して、静止する形を作る。するとピタッと皆川の動きも止まる。次の瞬間、皆川の体はその場に崩れ落ちた。何の事は無い、幻術で強制的におねんね頂いただけだ。

 シャワーを止め、脱衣所の外まで皆川の服の襟を掴み、ズルズルと引きずる。外に追い出してから俺は手早く着替えると、その場で眠りこけている皆川を共有スペースのリビングまで引きずった。

 そして先程は気が付かなかったがリビングがかなりごちゃごちゃしているのが目に入る。

 大人数が何かしらを飲んだ後のペットボトルやら缶やらカップ。お菓子の袋。床に点在する雑誌やゲーム機やそのソフトの数々。見覚えの無い物ばかりだから皆川とその信者達が持ち込んだ物だろう。因みにテレビとDVDデッキは当初から部屋に設置されていた物である。

 俺はため息を吐くと、そのごちゃごちゃしたリビングの中に皆川を放置するとリビングの付けっ放しのテレビと照明の電気を消すと部屋へと戻った。冷たい? 奴に対する優しさ何ぞ持ち合わせていねぇよ。

 勿論、リビングを片付けるつもりもない。どうせ業者でも呼ぶんだろう。この学園は部屋如きの掃除や洗濯にわざわざ業者を呼ぶ位だからな。お坊ちゃん連中は得てして片付けが出来ない連中ばかりである。

 自分の部屋に入ると、肩に掛けていたタオルでもって髪の水分を拭き取る様に拭う。

 しかし人が風呂に入っている最中に遠慮の欠片も無く入ってくるとはやはり小学生いや、幼稚園からやり直せと言いたい。体中が傷だらけなのは勿論修行や仕事の時に負った傷の数々である。

 危険な仕事と隣りあわせなのだから傷を負うのは当たり前だ。

 何だか今日一日でどっと疲れがたまった。

 これが明日以降も続くとなると本当に嫌気がさしてくる。

 あ~~~めんどくせぇ……。

 そんな事を考えながら眠りに就いたのだった。




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