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忍者が無償報酬で動く筈が無い

 俺は三笠にこれからの事を話した。

 すると、次第に三笠の顔付きも面白い物になって来た。


「成る程…。影武者…か。面白い事出来るな、流石忍者の末裔だ」

「本業だからな。それに今回こうしてあんたとの顔繋ぎも出来てようやっと実家に煩く言われずに済む」

「ははっ。今回の事を更に個人的な事にも利用するってか。良いな、その考え。俺としては大歓迎だぜ?」

「でなければ無償でこんな事で動かない。俺はまさしく流山の人間だからな。無報酬でなんて引き受けるのもばからしい。が、このアホ学園でもまともな奴と友人になれたしな。それに委員長と副委員長もそれなりの家柄の人間だ。媚を売るつもりは無いが、顔繋ぎ出来たとあんたの事も含めて家に報告すれば面倒事も少なくなる」

「成る程、お前にとっては利害関係の一致って所か」

「そう言う事だ。もっともこれは委員長や副委員長、それに漸く出来た友人は一般家庭の人間だからな。その友人には言ってない。利害関係の一致で動いてるなんてな」

「ま、確かに流山の情報を深く持ってないお前の友人にはそれは言わない方が良いな。委員長と副委員長は気付いてると思うがな」

「気付いていて、それでも何も言ってこないからこそ、俺も手出し出来るんだよ。委員長と副委員長にしても俺と繋がりが出来たと言う事は、今後、流山との関係を持ちたいと思った時に『俺』と言う個人との繋がりで、他の家よりも抜きん出て持てるからな」

「それは俺にも言えるな。確かに流山と顔を繋いでおく事は損にならんからな。あの特権階級に酔いしれているアホ共はお前の価値に気付けないまさに無能だな」


 そう。あの後、俺は実際にあった有り得ない話を三笠に聞かせてやったのだ。

 俺を流山の人間と理解しながらその価値を分かっていない。

 確かにしがない四男でも本家の直系であるのだ。

 本当の意味での俺の価値を理解していないとはやはり、上に立つ器では無いな。

 宇宙人に落ちた奴等。

 俺はな。自分の平穏を崩してくれた事に怒りを覚えてるんだ。

 だから、吉永や委員長達に同情したのも半分本当だし、半分は落とし前を自分ではっきりと付けさせたいが為に風紀に入ったのだから。

 奴等の今後の人生?

 知らんな。

 これは奴等が愚か過ぎた故に起こる出来事なんだから。

 それは奴等を生徒会に祭り上げた生徒達も同罪だ。

 それにあいつ等の発言が俺の忍耐をぶっ千切ったのだ。

 正に身から出た錆。


「ま、これから身を持って知って貰うが。…もっとも気付いた時には手遅れだと思うけどな」

「ははっ。流石流山。恐い、恐い」


 恐い言いながらも愉快で楽しそうに笑っている三笠。

 こいつも俺と同類の類だな。


「ああ、是非その恐さを傍からゆっくり見学していてくれ」

「了解。じゃあ、俺もお前からの依頼内容の情報を今からくれてやる」


 そして俺達の黒い密談は校舎から寮に出るまでの間続いた。

 きっと、俺達の顔は笑っている事だろう。ただし真っ黒に。





 密談を終えて、部屋に戻ると、吉永に帰って来た挨拶を済ませると、やる事があると言って、俺は速攻部屋に引き篭もった。

 勿論、吉永は宇宙人の様に余計な詮索をせずに分かったと返事を返し、代わりに晩飯を作ってくれると有り難い申し出を受ける。

 そして俺は部屋に入ると、まずPCを立ち上げ、幾つかのメールが一斉に届き、俺はそれらに全部目を通す。

 そして一通、とんでもなくアホな計画の情報が入って来ていた。

 それにサッと目を通した時、俺の目は遠くを見ていたに違いない。

 だが、これは好都合と言う物だ。

 情報は揃った。

 有り難くそのアホな計画も利用させて貰おう。

 此方の準備も整った。

 そこで俺はようやっと委員長に連絡を取る。


「もしもし。ええ。無事に三笠と交渉成立しました。…後はあの準備だけですが…」

『ああ、それも問題ない。明日の朝一で此方に届く手筈になってる。流石にお前の紹介と言うだけで早いな。……明日からでもすぐに行動に移せるぞ』

「わかりました。これは武石が居ない間に決着を付けるつもりです。…それについ今しがた得た情報なのですが、明日の朝から全校朝会を生徒会側が幸運にも出すとの情報を得ました」

『…何? そんな話回って来て無いぞ?』


 おお、委員長の声が一段と低くなった。きっともの凄い表情になってんだろうな。


「なんでもあの宇宙人を…生徒会役員補助として入れると全校生徒に告知するみたいです」

『……何だその発想は。何処から沸いて出た』

「何でもあの宇宙人がみんなともっと居たいとかアホな事を抜かしたみたいです。それで、宇宙人に落ちたアホ共が全員一致で可決。一緒にいる時間増やすんだったら、生徒会補助として役員にしてしまえ…と。アホですよねー。仕事しないのに、その上で更に使い物にもならんアホな役員増やしてどすんですかねー。馬鹿馬鹿しいですよ、ほんとに」

『ああ、呆れて物も言えないな』


 俺の目も、きっと電話の向こうの委員長の目も笑って無いだろう。


「なんで、この機を逃さず明日決着付けます。アホらしいです。これ以上、貴重な時間をアホに割きたく無いんで」

『分かった。風紀委員全員にも通達する。予定通りの行動はすぐにこちらは取れる。…が、そちらの準備はどうなんだ?』

「ああ、大丈夫です。こちらも既に裏回し済みです。全員承諾済みですよ」

『了解した』

「ええ。明日は別行動ですが、打ち合わせ通りに」

『分かっている』


 そして二言、三言喋ると通話を切った。

 それから仕入れた情報も、アドレス交換していた三笠にも連絡を入れて、そっちからも了承の返事を貰った。

 携帯を仕舞うとPC画面に視線をやる。そこにはあのアホ共に効く仕置きに関するメール連絡だ。

 そして、すぐさま準備に取り掛かり、色々と手を回す。

 本来の影武者の役割をこなしつつ、明日は吊し上げ会となるだろう。

 そいて準備はさほど時間も掛からずに終った。

 これで準備は整った。

 後は明日を待つばかりである。

 今、この時も宇宙人と戯れているアホ共よ。夢の時間は終わりだ。


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