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武石の親衛隊長と密談

お久しぶりすぎて申し訳無いです><

 兎に角、この場にいても役立たずなのには変わり無いので、大雑把な打ち合わせをしてから、橘川に武石の事は任せ、委員長達と吉永と一緒に保健室から出る。


「では、打ち合わせ通りに」

「ああ、そちらは任せた」

「段取りが整い次第、そちらに連絡を入れます。……そして親衛隊長の三笠春人みかさはるとと意見の一致をしたらいよいよ行動に移します…」

「分かっております。こちらの準備はしております故に」

「俺も頑張るよ!」

 

 三人の頼もしいお答えを聞き、俺はそのまま授業には出ずに三笠のいるであろう図書室に向かった。

 俺と吉永は風紀の仕事と言う理由から公欠扱いだ。

 学園全体が授業中だと言うのに何故三笠だけが図書室にいるか。

 彼は文字通りの天才と言う奴で、この年にして既に大学院を卒業出来る程の学力を持ち合わせている。

 その特権とでも言おうか。

彼には授業に出るか出無いかは自由判断になっている。

 これは学園側のせこい考えもあって、彼がいるだけでこの学園のネームバリューが益々上がる。その為だけに特別扱いが受理されている。

 最も、彼は卒業までに論文を三つ書き、それが世間に発表出来る物に相応しい物を出すと言う制約を掛けられてる。

 しかし、既に二つの論文は書かれ、学会に発表されており、残りはあと一つと言う事だ。本物の天才肌と言っても過言では無い。

 そんな彼が何故武石の親衛隊長なんてやってるか。

 こっからは俺が独自に調べたが、二人は元々幼馴染で武石の生真面目過ぎるのを心配して、そして武石の家族からもお願いされた為に学園に入った。

 そして余りの学園内の風習に唖然として、その知力を生かして武石を守って来た様だ。天才と言う人物は得てして独特の考えを持ち合わせているのだが、流石に幼馴染をこのままにして置けなかった様で、彼はその知力と謀略でもって、武石の親衛隊の隊長に付き、その親衛隊の規律を操作して穏健な親衛隊を作り出したのだ。

 因みに三笠も俺と同学年。

 そして全ての元凶の巣窟2-Sに所属している。

 此処最近、全くと言って良い程、図書室から出ないのはきっと奴に関わるのがごめんだと判断したからだ。

 その判断は正しいぜ、三笠。

 けど、生真面目な武石がそんな事出来る筈も無く…。

 それが今回の様である。

 そろそろ天才様もお怒りになるだろう。

 因みに、その三笠もこれまた美形だったりする。

 武石に合わせて武道も嗜んでいる様子で、腕前は武石に劣らないとかなんとか。

 ひょろい体格では無く結構武石と張る所謂男前の部類に入るのではなかろうか。

 そんな事を無駄に考えている内に図書室に着いた。

 此処に足を運ぶまでの間、誰にも見付かる事無く、しかも監視カメラの視覚を利用して来たので、俺が三笠に接触を測った事が知られる事は無い。

 そして図書室の奥の方から気配を感じ取った。

 奥の方にはこれまた立派な休憩スペースが設けられて、極上のソファが置かれている。

 三笠は今日もそこで寝ているか気紛れに本を読んでいるかのどっちかだろう。

 だが、気配と呼吸のタイミングからして寝ている様だ。

 何とも羨ましい。

 俺は取り敢えず気配を消したまま図書室の戸を開け、即座に閉め、そして音も立てずに鍵を閉める。

 中には三笠しかいない事は分かっている。

 此処は三笠のテリトリーと言っても良い。三笠専用図書室になってしまっているのだ。

 だが、これから話す内容は漏れると不味い話ばかりなので、一応用心の為に鍵を掛けさせて貰った。

 そして気配を絶ちながら三笠が居る場所に向かう。

 相手は天才で、武道に関してもその才能は遺憾なく発揮されているだろうが、それ以上の技術を身に付けた俺を感知する事は出来ないのだろう。

 辿り着いた先で三笠はソファに仰向けになってそよ風に吹かれながら寝ていた。

 その平和を俺に分けて欲しい位だ。

 そう思いながら俺は影に身を潜め、そして気配を絶ちながら声を掛けた。


「三笠春人、話がある」


 影からの突然の声に三笠の片方の眉が上がる。そして瞬間三笠が警戒心を露にした。


「…誰だ?」


 まあ、気配もさせず、ましてや名乗りも姿を見せないで、突如声が掛けられたのだ。警戒しても仕方が無い。


「……これから話す内容が内容でな。大声を出さないで話し合いに応じて欲しい」

「……ふーん…。察するにあの未確認生命体関係か…。良いぜ、話を聞いてやろう」


 頭の回転が速くて助かる。

 俺は即座に影から姿を現した。

 しかも三笠の真後ろの影から出て来たので、流石の三笠も驚いていた。

 まあ、相手からしたら影から急に人が湧き出た様に見えるからな。

 最初は驚いてたが、次第に納得した様だった。


「なんだ…。流山の奴か」

「知って貰っていたとはな」

「はん。お前の価値が分からない奴等は普通の馬鹿より更に馬鹿だからな。それに本名のまんまこの学園に中等部の頃から在籍してたじゃねぇか。まあ、敢えて気付かせない様にしてたんだろ?」


 取り敢えず座れと言われ、俺は音を立てる事無く、三笠と対面する形でソファに腰を下ろした。


「んで、今は風紀委員のお前が此処に来たって事は忠義の奴、とうとうぶっ倒れたんだろう?」

「その通りだ。あんたの忠告に耳を貸さなかったのか?」

「俺の忠告なんてあの頑固者が聞く筈ねぇだろうが。まあ、見事にぶっ倒れて自業自得だがな」


 幼馴染に対しても厳しい評価である。

 同意見だが。


「まあな。だが、これで学園の均衡が崩れ始める」

「ああ。こんな学園無くなっても構わんと思ってるがな」

「同意見だが、こんな下らない風習が蔓延っている学園だからな。けど、中には真面目な奴もいたりするからな。……なんで潰れる、潰れないにしろ、俺も我慢の限界が来てな。特に、宇宙人関連の奴等に盛大な仕置きする計画があるんだが…」


 そこで俺が言葉を切ると、三笠が今までどうでも良いと言う顔をして居た表情に少し好奇心の色を混ぜた瞳で俺を見返した。


「へぇ? …流山が加わるって事は盛大に面白い事になりそうだな…」


 そして暫く考える素振りを見せた。


「どうだ? 一緒に愚か者達の説教っての」

「良いぜ? その面白そうな話、ノッてやるよ」


 そして俺と三笠の視線で密約は成った。

次回は真っ黒な会話ですw

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