本領発揮出来ますが
俺達を見ながら、橘川はため息を吐きながら武石の状況を説明し出した。
「栄養失調に限りなく近い。その上脱水症状の気が見られる。血液検査も今、検査機に掛けているが、思わしくない数値を示しているだろう。身長と体重のバランスも悪すぎる。過労も重なり、貧血を起こして倒れたと言う所だ」
「……入院の可能性は?」
「血液検査の結果では可能性がある。最もそんな数値見なくてもすぐに入院させたいと言った所だ」
思ったと通りのお答えに委員長達も難しい表情をする。
「全く。今年は嫌に騒動が多い。武石の状態は私にも伝わって来ていた。学園の騒動など私には関係無いし、武石を即座に設備の整った病院に入院させたいが、一気に暴動が起こるだろうな。武石にしてもそれが分からない筈は無い様だが、他が無能のせいで自分を疎かにした結果がこれでは本末転倒と言うものだ」
橘川は倒れた武石に手厳しい言い方をする。
確かに。武石は自分の役割が分かっている筈だから、無理をすればする程学園の機能が麻痺する結果が見えていた筈だ。武石の生真面目過ぎる性格が今回は悪い方面に出たに過ぎない。
「…生徒会の仕事は私達の方に暫く回す様にします。口の堅い者達を何人か配置しましょう」
副委員長もため息を吐きながら今後の予定を上げた。
「それが良いだろう。最低でも一週間の療養が必要だな…。だが、武石の姿が見えない事で変に感の良い者達が気付き、即座に真実が明るみになるだろう」
「ええ、そうでしょうね…」
もう、二進も三進も出来ない状態。やっぱり宇宙人恐るべし。確かに変に感の良い輩が出て来て大騒ぎの可能性が高い。これ以上は流石に学園として放置するのは不味いだろう。だが、此処の最大のトップたる者は宇宙人に連なる者。
何とかなる筈が無い。
最悪この学園、消えても良いんじゃね? とか思ったが、善良な生徒もいるし委員長達みたいに必死に努力している者もいる。こりゃあ見捨てるのもあんまりだよな?
あんま良い方法じゃ無いけど、俺の領分で何とかなる事もある。
面倒臭がりの俺を動かす何て武石や委員長達の哀れみと宇宙人達の余りの使えなさにあると言う理由がある意味凄いと思うが…。
まあ、今回は委員長や武石達の努力に免じて無償で協力するか。そもそも俺も風紀の人間だし、何かしなきゃ駄目だよな?
難しい表情して考えている委員長達に俺は口を開いた。
「そのアリバイ工作は俺がやりましょう」
俺がそう口にすると一斉に視線がこちらに向いた。みんなの表情はどうにかなるのか? と期待や不安が混じった表情をしている。
「何とかなるのか?」
代表として橘川が訝しげな表情で俺を見てくる。
「橘川先生、俺は流山の人間です」
「…流山だと…? …そうか、なら大丈夫だな」
橘川は俺の名前を聞くと納得した表情をした。橘川でさえ知ってるのに何で学園の連中知らないのか、ほんと、俺影薄かったんだなぁ…としみじみ思ったがまあ、良しとしよう。
最も宇宙人のお陰でその影に隠れていられなくなったんだけどな。
「大丈夫なのか?」
委員長が再度問い掛けてくるので俺は頷いた。
「委員長、お忘れかも知れませんが、流山の本来の役割忘れてませんか? 武石の影武者をやる事なんて造作も無いです」
影武者。そう影武者。武石の変わりに武石に扮して任務…この場合はアリバイ工作だけど、昔の殿様何かも使ってた手の一つだ。
「そうかぁ…。流山ってそんな事も出来るんだ」
……吉永も納得した様だ。…そう言えば水○黄門でも影武者の回ってあったっけ?
「流山の腕を疑う訳では無いが…。無理が出そうな箇所も出て来るんじゃないのか?」
委員長が言う事も最もだ。が、それこそ杞憂と言う物だ。
「…委員長大丈夫ですよ。身近な奴も騙してこその影武者なんですよ? …と言いたい所ですが、今回はそこまでするのも手が掛かるので一人巻き込みますよ」
「巻き込む…? お前の知り合いか?」
「知り合いと言う訳ではありません…。が、今回の騒動を静めるのに手伝ってくれそうな奴が一人だけいます。武石の親衛隊隊長です」
そう、此処まで静観していた武石の親衛隊の隊長を巻き込む。そうすれば今回の騒動等、そこまで大きくならないからだ。
お久しぶりです。のんびり更新再開です。まったりとお付き合い下さい。




