表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/32

風紀委員に勧誘…そして

「俺は地球外生命体と生徒会のアホ共以外の嫌がらせは朝の下駄箱及び机とロッカーにしかまだ至ってませんので。心配しなくても大丈夫です。自分の身は自分で守る事は出来ます。耐え切れなくなったら反撃位はしてしまいそうですが。あ、出来る事なら吉永は守ってやって下さい。俺と違って被害に遭っている期間も長いですし、喧嘩も弱いと言ってますので」


 俺達の言葉に委員長様方は驚きに目を見開いたが、二人共苦笑する。その姿は偉く様になっていた。


「本当に俺達は何故気が付かなかったんだろうな……。あの人達の弟がいる事に」


「ほんまに、偉く損どした気分になってますな」


 あの人達? 何か想像が付くけど、あえてそこには突っ込みをいれない。俺の心の平和の為に。


「俺ごくごく平凡でしがない一般平民ですよ? こうなるまで目立つ必要の無い生徒Aの立場で終わる様な感じでしたから」


「そうです。流山が一般人かは疑問に感じますが、俺達は学園の隅っこにいるのが当たり前の生徒でした」


 ん? 何か吉永が一言付け足した。流石だ。小心者でチキンと言うのは嘘だろう。お前も何気に腹黒いじゃ無いか。


「ほしてどしたらお二人共風紀委員になってまへんか?」

「はい?」


 吉永が声を上げた。


「ああ。芳春のその案は良いな」


 そこで俺は成る程と即座に納得した。


「え? 何で風紀委員に? 流山は兎も角、俺には無理ですよ。喧嘩だって出来ないのに…」


 吉永は急な提案に頭が回っていないのか、そう答える。


「あんさん達に風紀委員をお願いしはる理由は二つあります。まず、流山はんも吉永はんもせーと会ん今ん現状に頭におこしやすますどすやろ? どすから、生徒会は敵と言うても過言ほなあらしまへん。ほんで対立しはる我が風紀委員になれば、確実にかなんがらせは減るんや。風紀委員は皆を公平ん元に裁く義務と権利があります。古典的なかなんがらせも風紀委員にすればそらみな処罰ん対象。呼び出しも来なくなってます。それになんよりあんさん達二人には風紀委員になれへん資格があります」


「資格…ですか?」


 吉永が首を傾げる。


「ああ。此方が二つ目の理由だ。お前達は親衛隊の何処にも属していない。それが何よりの資格だ」


 風紀委員も考えたよな。


 確かに親衛隊に所属していないと言う事は平等に捌きを出来ると言う事。偏見の目を持たず、公正にそして平等に生徒会だろうが親衛隊だろうが取り締まる事が出来る。


 不正は絶対に許されないのだから。


 それに俺の記憶が正しければ風紀委員はスカウト制。


 風紀委員長及び副委員長が見定め、これはと思われた人間にしか委員にはなれない。


 委員長も副委員長もどちらも趣向が違う美形。親衛隊に騒がれても可笑しくない程なのだ。


 だが、その二人は己の親衛隊を作らせる様な事はしなかった。それでは不公平な捌きを招く恐れがあったからだ。だから二人は親衛隊を作らせなかった。


 だが、親衛隊になりたかった奴は諦め切れずに今度は委員にしてくれと迫って来る。少しでもお近付きになりたいが為に。


 だから委員長達は委員を決めるのをスカウト形式にしたのだ。あくまでも公正かつ平等に裁ける者を選ぶ為に。そんな二人のお眼鏡に適ったのが俺と吉永と言う訳か。


「それに、先程んお二人ん言葉から得たモンもあります。吉永はん」

「はいっ!」


「あんさんは喧嘩は弱いとおっしゃってやはったが、風紀はそればっかりほなあらしまへんよ。確かに喧嘩が出来はるとしゃべる事は不正を起こどした生徒を取り押だけるんに必要な力どすけど、風紀には公平と公正ん元に処罰を下せる事が必要どすねん。喧嘩ん腕は得意な風紀ん方に任せればええんや。あんさんは公正な目で持って処罰を下せばええのどす。どすからあんさんはもっと自信をお持ちおくれやす。もし、相手が権力で持ってあんさんん家になんやをしよけとしはるさかいあれば委員長ん八城やうちが前面に立ちますさかい。安心なさっておくれやす」


 その副委員長様…新垣の言葉に吉永は目を白黒させている。そんな吉永に新垣はにっこりと微笑む。


 そして今度は委員長様…八城が俺の方を向いて口を開いた。


「そして流山。先程お前の家の事を調べさせて貰った」

 

「あ、そーなんすか」


 って事は実家の事も俺の事も知っている訳ね。


「調べて見て驚いた。名前からそうかとは思っていたが、あの流山家の直系が既に学園に居たとは思っても見なかった」


 委員長にそう言われて俺は頭を掻きながら頷く。


「はあ、まあ家の事知っていれば分かると思いますが、どうも此処の奴らには家の血が拒否が出ている奴らばかりな上に、あの調子の連中が俺には痛々しい奴等にしか見えなかったんで、出来るだけ影薄く気配も薄く成績も平凡の平凡位を取って極力目立たぬ様に過ごして来ましたから。話題にもならなかったと思いますよ。俺はこの通り顔も平凡ですし」


「ああ。今の今まで見事に隠し通していた。その手腕は見事だ。流石、あの三大風紀と言われた人達の弟だ。俺達よりも風紀に相応しい」


 ……三大風紀……。八城が言っている人物は紛れも無くあいつ等の事か……。


「…一番上の兄貴は兎も角……すぐ上の二人の兄貴達もそう実際にそうだったんですね…」


 本当に信じられない。一番上の兄貴は兎も角、あの糞双子の兄貴達が…風紀??! 風紀やってる時点で可笑しいあの二人が??!


 ぶっちゃけると俺はすぐ上の双子の兄貴達が嫌いだ。って言うか鬱陶しい。その辺に付いてはまた今度詳しく説明するが。説明するのも嫌だがな。


 ま、そんな俺の思いを目の前の八城が知る訳無いので乾いた笑いで返事を返した。許せ。


「ああ。凄い人達だった。そんな人達の弟である流山であれば風紀としての腕も間違いない。引き受けてくれないか?」


 八城は俺の乾いた笑いを見て、疑問に思いながらも突っ込まないで置いてくれた。その気遣いには本当に感謝だ。


「勿論、俺達は委員を守る為に全力でバックアップさせて貰う」


「どないどす? お二人とも。風紀委員になる気はあらしまへんか?」

 

 言われて俺と吉永は顔を見合わせる。


 そしてこっそりと会話をする。


「…どうする?」


「うん……。こっちにも都合が良いな。これで回避出来るんだったら何でもしよう。あ…そうだ」


「…? どうしたの?」


「お前、クラス移る気無い?」


「えっ? どう言う事?」


 突然の俺の言葉に理解出来ないらしい。


「いやお前が構わないんだったらで良いんだ。クラスも変えられれば猿から逃げやすくなる」


「あ…そっか…。俺、成績で入れたような者だものあのクラス。…でも特待の事がなぁ…」


「…じゃあクラス変わる事には異論は無いんだな?」


「うん」


「だったら…俺に良い考えがある。俺に任せといて」


 そう言って俺は八城と新垣の方を見た。



 二人もこちらの会話に口を挟まずにいて待っていてくれたから、本当に常識がある人達だ。


「俺達二人は風紀に入る事に異論はありません。ただお願いが二つあります」


「お願い?」


「叶えられへん範囲どしたら、何でじゃもしますよ」


 その言葉に頷き俺はお願いの一つ目を口にする。


「勿論、そのつもりです。一つ目は部屋の交換許可書にサインを頂きたい。俺の同室は地球外生命体なので、その時点でかなりの迷惑を被っています。ですので、吉永を俺の同室者にして、一人部屋にあの宇宙人を突っ込みます。これで俺への被害は格段に下がります。そして奴が一人部屋になると言う事は他の人間への被害が無くなります。二つ目。吉永のクラスを変える事は出来ませんか?」


「クラス…をどすか?」


「はい。彼は同じクラスに居るだけでかなりの被害を被っていました。特にあの宇宙人は吉永がお気に入りの様子で。終始、張り付いている始末。オマケに番犬三匹まで。このまま行けば、成績にも必ず影響を及ぼします。だったらクラスを移動してしまえと。俺のクラスに、特待生ですけど、来る事は可能ですよね?」


「…そうだな。理事長の判と俺達の判があれば可能だ。特待生の件にしても成績さえ維持すれば問題は無いだろう。………良し、その二つの願いは叶えてやる」


 その言葉を聞いた時、俺と吉永は顔を見合わせた。


「では、風紀委員の事を引き受けとっただけますね?」


「はい」


「勿論です!」


 こうして俺達の手回しは風紀委員に入る事で、始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ