あ、そう言えば対抗組織あったよな
俺達が対地球外生命体を考えていると吉永がふっと言葉を漏らす。
「俺とあの地球外生命体部屋交換出来ないかな……」
「あー…お前一人部屋だっけか?」
「うん。別に流山みたいな奴だったら俺は同室でも大丈夫だし……」
「確かに。そうしたら格段に逃げやすくなる。プライバシーも尊重される。が…問題は移動に奴が同意するか。それに移動には生徒会または風紀委員と寮長の了承が……」
って寮長は問題無い。奴は既に皆川信者だ。後は生徒会か風紀委員のどちらかの了承だ。生徒会は武石がいるから頼めば何とかなるだろうがそうしたら武石の仕事が増える。これ以上の仕事を押し付けるのは正直俺の良心も痛む。
それは生徒会の現状を知っている吉永も同じだろう。現に心臓を押さえて心なしか苦しそうだ。
と、なると後は風紀委員だ。
……はて風紀委員。そう言えばこいつらの存在をとんと忘れていたな。
「…すっかり風紀委員の事、忘れてた。……そう言えば風紀委員が地球外生命体に落ちたって話聞かないな」
「ああ。あいつら元々生徒会の奴等と対立関係にあるし。今回の件で書記の武石以外の生徒会連中とその他の起こす問題にかなり頭にキてるらしいな。とっととあんなアホ共武石以外リコールしちまえば良いのにな」
「風紀も大変なんだなぁ……」
「ああ……」
そこまで話してふっと人の気配を感じた。俺がそれに気が付き、言葉を止めると同時に声が掛かった。
「おい、お前らそこで何をしている」
……そこに居たのは朝日に輝くキラキラとした銀髪、そして耳にピアスをしたこの学園でも上位に入るであろ美形が立っていた。
噂をすれば何とやら。
何と、風紀委員は風紀委員でもそのボスである風紀委員長のお出ましだ。
風紀委員長・八城智樹。
一見すると不良の様な見た目。しかし中身は生真面目で武石とは気が合う仲らしい。
生徒会と風紀の仲が悪いのは昔からだったらしいが、今代は特に会長と委員長の相性が最悪らしい。
確かにあんなバ会長と気が合うなんて事態は恐ろしい事だが。
俺と吉永が無言でいると委員長様の方が声を発した。
「今は授業中だ。何故一般の生徒が此処にいる。場合によっては処罰の対象だ」
淡々と言う委員長様を見て俺は正直に答える事にした。
「朝、俺達一般人とは意思疎通が不可能な高貴な方々に無理やり地球圏外な部屋に呼び出され、そこで無理やりな意思疎通を迫られました。が、俺達は地球人でしがない一般人。意思疎通が出来ないと判断し、さっき此処に逃げて来た次第です」
「ちょっ…っ! 流石にそれじゃあ意味通じ無いんじゃぁ…」
「大丈夫。相手は地球人で日本人。言葉は通じると俺は信じる」
「あわわ…。良く見ようよ。何だこいつ? 的な目で見られてるよ」
吉永が慌てふためいているが相手は俺の説明になってない説明で理解してくれたらしい。
「つまりはあのアホ生徒会共に不当な呼び出しを受けた。しかもそれは地球外生命体の転校生による誤解も良いところなとばっちりだった…だな?」
「その通りです」
凄い。美形で地位のある人間にこの学園では武石以外で初めて意思疎通が出来た!
俺は心の中でそんな事を考えていたら委員長様は俺の返事に深い溜め息を吐き出した。
「…理由は分かった。お前らには災難な事だったろう事とは思うが、一応こちらで被害状況の確認の為に調書を取る事になってる。すまないが風紀室まで来て貰いたい」
言葉を理解して更に何て丁寧な呼び出し! 普通の対応に俺は勿論、吉永も感動していた事は言うまでも無い。
俺達は風紀委員長様に着いて風紀室に行く事になった。




