考えよう。地球外生命体対策を
「…それにしても大丈夫なのか?」
「何がだ?」
「忍者って秘密主義みたいな感じするからさ…。俺にそんな事教えちゃって…」
「ん? ああ、大丈夫。バレたからってどうって事ないし。この学園にいる間では別に知られてもかまわねーんだよ。寧ろ家からのお達しでな。色んな家との繋ぎを一応付けておけってな。何処で仕事に繋がるかわかんねーからな」
もっともと言葉を続ける。
「学園の外では秘密な。一応外では秘密を通す事になっているから。家のこう言った掟は他の家には伝わっているから絶対に口外もしない。要するに家の一族の報復を恐れてるからな」
「うん。分かった。別に言いふらすつもりもないし」
俺が吉永に此処まで教えたのは此処の生徒だからって言う理由だけじゃない。こいつの性格を読んだからだ。じゃなきゃ此処まで言わない。
もし、そいつが秘密をばらしたりしたらその秘密を知った奴諸共、此処の奴等がやっている様な制裁じゃ生温いと思う様な制裁が待っている。そしてその間の記憶と我が家系に関する情報を記憶から消し去る。制裁の間に味わった恐怖やらの感情だけは残して。
だからえげつないのは俺の家も一緒か。いや、それ以上に質は悪いか。
「ま、ちょっと調べれば俺の家の事なんてのはこの学園にいる奴らには分かる事だ。……今頃、躍起になった生徒会の連中が家の事調べて、じじいの存在を知って青ざめていたらそれこそ面白いんだけどな」
「うーん。それは俺もある意味良い気味って思うかも……」
俺の説明でどうやらじじいの恐ろしさを理解した吉永はそう言う。そうだ。利用出来るもんはしておけ。利用の仕方は考え物だがこう言う利用は大いに結構だと俺は思っている。特に吉永は一般家庭と言うからそれで良いと思う。
別に俺等がじじいの威光を振り翳す訳でもないし。相手が勝手に勘違いして慌てふためくだけだからな。
「ま、それは放って置くとして……」
「そうだね」
俺と吉永の中の皆川とその狂信者の地位は最下層にまで陥っている。奴等の事なんてどーでも良い事だ。
「これから多分戦争だぞ。じじいの事を知った生徒会がどう出るかは知らないが…」
「ああ……あの地球外生命体ね………」
寧ろ、狂信者達は近寄って来なくなるだろう。ついでに俺が吉永を助けた事で吉永もその関係と思い込まれているだろうから、それは同様。
しかし、問題はそいつらが崇拝する奴だ。
「多分、イソギンチャク…いやたこの吸盤の如くしつこくそしてねばっこく張り付いて付きまとって来るぞ。奴にはとことん世間一般常識が足りない。人の部屋も勝手に開け様としてた位にな」
「え…? それってプライバシーの侵害………」
「そうだ。だから俺は部屋の鍵を簡単に開けられない様に二重に細工した。奴に対抗する為には手段なんか選んでいる場合じゃ無い。一つのミスが命取りになるからな。極力奴との係わり合いを避けたい」
「うわー……。無断で個人の部屋の鍵を開けるって……。正直ひく。地球外生命体の存在自体に俺は引く」
これが常識的な反応だよ。本当にどうしてあんな風に育った。奴の親の顔が見てみてーな。親類は既に見て呆れているから、あんなんだと思うけどな。
「兎に角、あいつをどうにかして俺達から遠ざけたい…」
「……俺は席が前だし、流山に至っては同室だしね……………」
「…確実にロックオン状態だな俺達………」
そしてため息がまた出た。




