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序章
1954年11月3日
それは多くの日本人にとって忘れることのできない一日となった。
戦争終結からおよそ10年、復興したばかりの東京はこの日、再び戦火に包まれたのである。
闇夜は赤く焼け、人々は泣き叫んだ。街は、再び焼け野原へ戻りつつあった。
逃げまどう人々、彼らに落ちる巨大な影。その存在は圧倒的な力でもって、破壊の限りを尽くした。
人々は〝それ〟を『大怪獣』と呼んだ。
人々は〝あれ〟こそがこの世に終焉をもたらすものであると思った。
人々は〝かれ〟は人類を抹殺するためにやってきたのだと言った。
〝彼女〟はその日、東京にいた。
〝彼女〟は脅え惑う人々の中をかき分けて一人走った。
〝彼女〟は見上げた。その圧倒的な存在を。
そして、彼女はすべてを悟った。
やがて大怪獣は、禍々しい牙の並ぶその大きな口を開く。
その喉の奥から、白き光の奔流が溢れ、やがて全てが無に帰って行った。
はじめまして。むま、と申します。
どうしても小説が書きたくなったので書き始めました。
非常につたない文章ですがどうかお付き合いください。