表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/175

Episode:46

 目次を適当に読み流し、本文へと入る。

 最初に書かれていたのは簡略化された神話だった。ただ最後のところが一般に伝わるものと違い、「初代グレイスが神を封じた」とある。


(よくある一族の美化ですかね)

 神話と言うものは往々にして尾ひれが付く。ヘビを退治した話が大蛇になり、果ては竜になるようなこともあるくらいだ。


 だからこれもおそらく、その類なのだろう。

 その先は歴代グレイスに関することが書かれていた。とは言え名前と生まれた年代、それに没年程度だ。


 ただ不思議なことに、全員短命だった。もっとも若いと10歳程度、長くても20歳前後で没している。

 健康状態の悪かった昔でも、長命だったものは居る。それを考えると、全員が若死にというのは腑に落ちなかった。


 ここの研究者達も、同じ点に着目したらしい。短命なことに言及したあと、一言「力足りず」と結論付けている。

(力、ですか……)


 どうも言葉が上手く繋がらない。短命なことが生命力のなさと取れば辻褄は合うが、それとは少し違う気がするのだ。

 シュマーの間では当然の事柄を、タシュアが知らないせいなのかもしれない。


 とりあえず棚上げして読み進めると、よく知った名前が出てきた。

 ――現総領、カレアナ。

 言わずと知れたルーフェイアの母親だ。

 だが書いてあったことは予想とは違った。彼女に絡んで、秘密裏に実験が行われたらしい。


 ひとつひとつ読んでいくうち、怒りがまた増していった。

(まったく、どこまで……)


 この資料を読む限りではカレアナの両親、ルーフェイアから見た祖父母はかなり早く、子供がいないうちに亡くなっているらしい。

 ただ、問題はその後だ。


 子供を設ける前に祖父母が死んでいるのだから、本来ならそこでシュマーの総領家は絶えていたはずだ。

 ――残された受精卵がなければ。

 最新技術のそれは、早々にシュマーにも導入されていたらしい。そしてそれを元にかなりの数の子供が作られ……カレアナはそのうちの一人だと資料には書かれていた。


 しかも実験はそこで止まらず、さらに加速している。ただ子供を作る――それだって相当の犠牲が出る――のに飽き足らなくなって、子供の「加工」を始めているのだ。

 ある程度予測していたとは言え、見逃せるようなことではなかった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ