Episode:24
「ここ、どのくらいの人が居るの?」
「よ、よく分かりません。でもたぶん、全部で100人くらいは……」
やっぱりかなりの人数だ。
「全部、研究者?」
「はい……あ、いえ、雑用係も居ます。あと、一昨日くらいから警備の人も」
思わずタシュア先輩のほうを見る。
先輩は無言で、何も表情も変えなかったけど、たぶんこの事をあたしたちと関連付けてるだろうと思った。
「警備は、どこに?」
「奥のほうです。えーとあの、ホムンクルスを研究しているほうで」
つまりそれだけ、その研究は知られたくないんだろう。
じゃなきゃ警備を置く必要はない。事実この合成獣の研究は、何の警備もされていなかった。
ともかく全般的に、こういった生体を扱う研究しているのは確からしい。
地図を取り出す。
「どこで何を研究してるかとか、分かる? 分かるなら、ここへ描いて」
このまま行けば、「警備の人」とやらと遭遇するのは確実だ。だったら少しでも、情報があるほうがいい。
「すみません、そんなに詳しくは……」
言いながら彼が、少しずつ書き込んでいく。
あたしたちが入ってきた場所は、この施設の西の端に当たる。そして動力炉があるのは、ほぼ中央だ。
地図によれば群島のそれぞれの島の下に、沢山の部屋がある大きな区画。それを1~2本の通路が繋ぐ構造だった。
この西の端から中央へ行くには、通路は二つしかない。
「先輩、待ち伏せ……されてますよね」
「なぜ私に訊くのです。前線育ちという割には、その程度の事さえ予測できないのですか?」
答えとは違う事を返された。でも、先輩の言うとおりだ。
待ち伏せをする気は、向こうはあるはずだ。
わざわざ警備隊を入れたのは、ここが発見された事に気づいて、しかも襲撃されると予測したからだろう。じゃなきゃ、今までどおりでいいはずだ。
だから、遭遇する可能性は高い。
もっともそうは言っても、相手のほうが気づいてなきゃ、待ち伏せも何もあったもんじゃない。
だったら今のうちにさっさと行ってしまえば、警備の人たちに会わずに済むかもしれない。そう思う。
まぁもちろん、とっくに気づかれていて、思いっきり待ち伏せされている可能性だって、低くは無いのだけど……。