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Episode:20

 延々と続く階段を降りながら、まだあたしたちが侵入したのは、気づかれてないだろうと思った。もし見つかってたら、こんなふうに階段をとことこ降りてなどいられないはずだ。

 ただあたしもタシュア先輩も、足音をさせない。だから2人もで歩いてる割には、何の音もしなかった。


 他の生き物の気配も感じない。小さい虫なんかは居るみたいだけど、少なくとも敵意のある相手はいなかった。

 そんなのんびりした状況だから、自然考えが「誰が」と「何が」に向く。


 ここを使っているのが「誰か」は、シュマーの一員で間違いないだろう。ただ、少人数のはずだ。規模が大きかったら、絶対に隠せない。

 シュマーは長い間一族でまとまって暮らしてきたせいなのか、イマドみたいな念話ができる人の割合が物凄く高い。そして彼らは、独自のネットワークを構築してた。


 あたしは出来ないから、それがどんなものかよく分からない。けど分かる人が言うには、常に「何となく繋がってる」状態だとかで、お互いがどこで何をしてるのかも何となく分かるそうだ。

 もちろん、能力の強弱はある。けど周りの大多数が出来る場合は、殆ど問題にならないらしい。お互いに上手く補い合って、全体としてひとまとまりになるっていう話だった。


 けどこの状態だと、隠し事なんて出来ない。だからもしタシュア先輩が言うようなことをしていたら、速攻で誰かに知られてしまうはずだ。

 なのに、誰も知らない。


 つまりシュマーのネットワークには、全く引っかかってないという事だ。だからこの辺から考えて、「引っかからない人たちの小集団」に絞られる。


 ――ドワルディに、頼んでくるんだった。


 ここまで絞り込まれてれば彼ならたちまちのうちに、可能性のある人たちを割り出せる。

 せめて戻ったら頼もう、と思った。もしかしたら彼の事だから、さっさと察して用意してるかもしれないけど……きちんと言うに越した事はないだろう。


「何を」というのは、まだ見当がつかなかった。

 タシュア先輩があれほど怒るんだから、とんでもない「何か」なんだっていうのは分かる。ただ実際にそれが何かと訊かれると、やっぱり思いつかない。


 ただタシュア先輩はもちろん、母さんさえも許さないような事なんだろうとは思った。

 総領の母さんは、性格自体がいい加減だ。だからいつだって周りを振り回してて、細かい事は気にしない。

 そのせいなのか母さんは、周りが止めるような一見無謀な話でも、けっこう許可を出す。まずはやってみろ、と言うのだ。






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