Episode:175
「あ、ゴメン……」
慌てて謝る。きっとあんまりにも唐突だったから、みんな呆れたんだろう。
と、シーモアが笑った。
「違うって。あんたから誘うなんて初めてだから、みんなびっくりしただけだよ」
「え、そうだっけ……?」
あたし、そこまで引っ込み思案だっただろうか?
「やだルーフェ、自覚なかったんだ?」
「そりゃルーフェだもん、あるわけないと思うー」
みんな言いたい放題だ。
でも、これでいいのかな、と思った。
生まれ方も生まれた場所も、育ち方も瞳の色も髪の色も性格も、何もかもが違うけど、生きてることは一緒だ。
きっと問題なのは、生まれ方じゃなくて「生き方」なんだろう。
もちろんあたしたちはまだ子供で、独りでなんでも出来るわけじゃなくて、だから思い通りにならなかったりするけど……それでも、決められることはある
それをひとつひとつ、頑張ってしっかり選べばいいんだと思う。
まぁ、あとで後悔する事も多いけど……。
それでも何も考えないで「何となく」よりは、ずっといいはずだ。
「んじゃ行くか。つか腹減ったし」
「またイマド言ってるー」
みんなが一斉に笑う。
「しゃーねーだろ、コイツに付き合って、俺まだ昼飯食ってねーっての」
「ごめん……」
そういえばあたしは遅い朝食だったけど、イマドはふつうに食べてるはずだ。なのにお昼過ぎてるんだから、お腹がすくだろう。
「でもさ、今から行って残ってるかな?」
「なんかあるだろ。早く行こうぜ」
もうすっかり気持ちがご飯に行ってしまったみたいで、イマドが立ち上がってズボンの砂をはたく。
「おら、行くぞ」
「うん」
あたしも立ち上がる。
何も変わってない。何も解決してない。それどころか、この先もずっと解決なんてしないだろう。
ただそれでも、否応なしに夜が来て朝が来る。
そうして寝て起きて食べて、気づけば日が過ぎてる。
けっして忘れてるわけじゃないけど、そうやって生きていくんだと思う。
――一緒に、生きよう。
代わりにじゃなくて、その分をでもなくて、一緒に。胸が痛くて重いけど、それでも一緒に。
「何してんだ?」
「ううん、なんでもない」
碧い海の隅で、グレイシアが少しだけ、笑った気がした。
◇お知らせ◇
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またこれとは別に、異世界トリップの連載も始めました。
こちらはなろう内に掲載です。よろしくお願いします
◇あとがき◇
最期までお付き合いくださって、本当にありがとうございました
本気で難しかったです。キツかったです。いろいろありましたし(涙)
暖かくなった季節と共に、皆さんのところも少しずつ上向くことを願います。そして私自身も。
明日からは新連載に移ります。久々に、みんな揃って暴れ回りの予定♪
【夜8時過ぎ】の更新です、たぶん。よろしければお付き合い下さい。
感想・評価歓迎です。お気軽にどうぞ