Episode:171
「えっと……どこ……」
「お前の部屋でもいいけど、俺ら上級隊じゃねーから教官うるせーしな。訓練施設の例の場所でも行くか」
「そうだね」
前に飛竜に襲われてシーモアたちと仲直りした、あの砂浜。あそこなら確かに、誰かに聞かれたりしないだろう。
2人で校舎を出て、塀の破れ目から施設へ入る。
「変わって、ないね……」
久々に来た小さな砂浜は、あの時とまったく同じだった。
あたしはここの訓練施設は、殆ど使ってない。学院へ来てかなり早い時期に使うのを禁止されてしまって、ずっと訓練島のほうへ行ってるから、こっちは滅多に来なかった。
だからその先の秘密の砂浜なんて、もっと行く機会が無い。
――何年、過ぎたんだろう?
前に来たときのことを思い出す。あの頃はまだ学院に来てすぐで、クラスのみんなともぜんぜん上手くやれなくて……。
すごく遠く感じる。ほんの3年前のことなのに、どこか遠くの世界のことみたいだ。
イマドが砂浜に座り込んで、あたしも隣に腰を下ろした。
「で、どーした」
「うん……」
さっきの続きを話し出す。
廃棄されたシュマーの施設がこの大陸にあったこと、こっそりそこが今も使われていたこと、使い道がとんでもない実験のためだったこと……。
半分聞き終わって、イマドがため息をついた。
「――なんかムチャクチャ話がハードだな」
「……うん」
出来たらこんなこと、知らないままで居たかった。でももし知らないままでいたら、あたしきっと何かとんでもない思い違いをして育ったと思う。
それを言うと、イマドが少し笑った。
「なんで、笑うの……?」
「いや、昔ならそれでお前、目いっぱいメゲてオワリだったじゃん」
ヒドいことを言われる。
しかも否定できないから、かなり辛い。
「そりゃ、確かにそうだけど……」
「いいじゃねーか、そんだけ変わったんだから」
あっさりイマドが言った。
「昔だったらマジ、お前泣いてるだけだし」
「――ヒドい」
これも事実だけど、面と向かって言われるのはなんかイヤだ。
だいいち今だって、本当はちょっと油断したら泣きそうなのを、我慢してるのに。