Episode:170
◇Rufeir
「――よ」
「イマド」
食堂で独りで遅い朝食を食べてたあたしに、イマドが声をかけてきた。
「けっこう長かったな」
「うん……」
あたし自身、こんなにかかるなんて思ってなかった。
「しっかし、施設だ実家だって、マジ忙しいなお前」
「忙しいっていうか……予定してなかったし」
だいいち廃棄施設だなんて、この大陸に「ある」ことしか知らなかった。
「いつ戻ったんだ? 今朝か?」
「ううん、夕べ。でも疲れて、すぐ寝ちゃって」
ただ疲れの原因は、精神的なものかなと思う。南大陸の実家と学院は何度も行き来してるけど、こんなに疲れたのは初めてだ。
そしてイマドに話そうかどうか、迷う。
グレイシアのことは、あくまでもシュマー内部の話だ。部外者は知らないほうがいい。
けど……誰にも言えないのは辛かった。誰かに聞いて欲しい。
甘えだと思う。自分のことなんだから、自分で何とかして当たり前だ。
でも、やぱり辛かった。
「どした?」
あたしが黙っちゃったせいだろう、イマドが訊いてくる。
「うん、何でも……」
「ンなワケねーだろ。つーか、聞こえてるっての」
「あ……」
彼に隠し事が出来ないの、忘れてた。
それでもこうやって、中身は知らないフリをしてくれるんだから、どこまで優しいんだろう?
「聞くぞ。どーせ誰にも言わねーし」
「……うん」
イマドが居てくれてよかった、そう思いながら話し出す。
「最初に、出かけたでしょ?」
「あぁ、あのいきなりタシュア先輩とどっか行ったやつ。っても2度目も、先輩と一緒じゃなかったっけか?」
「うん、そうなんだけど……」
けど続きを言おうとして、イマドに遮られた。
「場所変えっか。なんか話がシビアっぽいし」
「あ、うん」
急いで残りを食べて立ち上がる。