Episode:169
もう二度と、こんなことは。そう墓前に誓うけど、本当は自信がない。
全力で当たるのは、もちろんその通り。
けど人のやることだからどうしても穴があって、突かれちゃうわけで。そして穴を塞いでまた違うところを突かれて、の繰り返しになるはず。
そういう意味で、全部きっちり止める自信はちょっと無かったり。
まぁ無意味に「絶対大丈夫」とヘンな自信持ったり、一度塞げばもう大丈夫だと思ったりするよりは、まだこの考え方のほうがマシなんだろうけど。
ただただ黙って泣いてるルーフェイアの頭を、そっと撫でる。
後ろに並ぶスタッフからも、悲しみが押し寄せてた。
それを背中に感じながら、もっと大々的に葬儀をやるべきだったかもと、とも思う。そうすれば悲しい事態がみんなの知るとこになって、繰り返さない力になったと思う。
けど、出来なかった。
それをしたら、ヒドイ目に遭ったグレイシアをさらに見世物にするのと同じ。
死んでるんだから気にする必要は無い、という人も居るだろうけど、やっぱりあたしにはちょっとムリ。
今回の件を公にはいつかしなきゃならないだろうし、したほうが絶対にいいわけだけど、もう少し先になっちゃいそう。
そうやっていろいろ考えながら、ルーフェイアの頭を撫で続けて。
適当なとこであたしは声かけた。
「あとは、部屋へ戻って泣きなさいな。ここじゃゆっくり泣けないわ」
「……うん」
この子を返さないと、スタッフ達が戻れないわけで。そして彼らを早く返さないと、他の病気の子たちの看護に差し障る。
まぁルーフェイアは素直だから何を言うでもなくて、そのまま従ってくれたけど。
「あなた達もありがとう。仕事のほう、お願いね」
「了解です」
悲しみはまだ抱えたまま、スタッフ達が顔を上げる。
「助かるわ。さ、ルーフェイア、いきましょ」
スタッフ達の間を通って、まず2人で墓地を出る。こうしないと、スタッフ達が出ない。
いろいろと面倒だと思うけど、これがシュマーだった。
――上手く、行くかしら?
とてもじゃないけど、このままの状態でルーフェイアに引き継がせられない。先代からだいぶゴタゴタあったけど、逃げ出したり潜られたりそもそも分からなかったりで、なかなか全部は片付かない。
けどそろそろ、手段を選んでられないだろう。
サリーアが居るから、その分だけ気は楽だけど、足が不自由な彼女に片っ端から負わせるわけにも行かないし。
まだ泣いてるルーフェイアを抱えるようにして、ため息つきたい悩みに知らん顔しながら、あたしは部屋へと戻った。