Episode:164
「ほら、ルーフェイア、あなたも」
「うん……」
あんまり気は進まないけど、席に着く。
すぐに目の前のカップにお茶が淹れられた。香りからして、あたしが好きなやつだ。
こんなに細かく対応して凄いな、と思いつつ、口に運ぶ。けどいつもみたいに美味しくは感じなかった。
理由は……さっき聞かされた話だ。
たぶん本当だと思うけど、まだ信じきれない。けど訊くのも怖い。
何度か訊こうとして、でも言えなくて、お茶を一口飲む。それを繰り返す。
「どしたの?」
母さんがすぐ気づいて訊いてきたけど、あたしはまだ言えなかった。どう切り出せばいいのか分からない。
「――さっき連中が言ってたこと?」
その言葉に、またタシュア先輩が突っ込んだ。
「自分で言わせなければ、意味がないでしょうに」
「いいのよ母娘だもん」
言い返す母さん、ホントにめげないというか、気にしなすぎだ。しかもそのままあたしへと話しかけるから、向こうでタシュア先輩はもう「処置なし」とでも言う感じで軽食を手にしてる。
「今まで、言わなかったものね」
いつになく、優しい声だった。
「何でこうなったか、知りたい?」
「知りたくない……」
本当はこれじゃいけないって分かってる。けど今は、聞きたくなかった。
「やれやれ。現実から目を背けても、事実はまったく変わらないのですがね」
「タシュア!」
珍しく母さんが鋭い声を出す。
2人の視線が合って何か言い合いになるかと思ったけど、何故かどっちも何も言わなかった。先輩が呆れた感じで、視線を軽食に移しただけだ。
「あなたの気が向いたら、いつでも話してあげるわ」
「……うん」
母さんの言葉が素直にありがたかった。ともかくいろいろありすぎて、まだ気持ちが追いつかない。
けどそれでも、ひとつだけ訊きたいことがあった。
「造られたら……ダメなの?」
「さぁ?」
あっけらかんと、当事者のはずの母さんが言う。
「さ、さぁ、って……」
「でもそうなのよねー」
なんだか真剣に考えてるあたしのほうが、おかしいみたいだ。




