Episode:134
「そもそも、何がそうなのです」
「だから、シュマーは総領家に絶対服従ってこと」
「なるほど。要するに最初から一歩も話が進んでいないということですか」
どう聞いても会話になってるようには見えなかった。
けど母さん、そんなこと気にならないらしい。
「進んでないも何も、初めっからそうなんだもの、しょーがないじゃない」
「人類に通じる言葉でお願いします」
傍で聞いてるだけで疲れるやり取りだ。
ただ、代わりに説明する気にもならなかった。あたしじゃヘタすると、説明が母さん以下だ。
「……まぁ、シュマーがどうであれ、私には関係ありませんしね。それより、帰りの船を出して頂きたいのですが」
「え、もう帰るんですか?」
今付いたばっかりなのに、さすがに早すぎの気がする。
けど先輩は本気みたいだった。
「確かにここまで来るとは言いましたが、別にずっと居るなどとは言っていませんよ? だいいち付き添うとして、いつまでいればいいのです?」
「それは……」
確かにグレイシアの容態が安定するまでにしても、いつまでかかるか全く分からない。
「来るだけでもかなり時間がかかっていますからね。突然で後始末も不十分ですし。早く帰りたいのですが」
「どっちにしても、今日はムリよ」
母さんが割り込んだ。
「何故です? 船が一艘しかないわけでもないでしょうに」
「無理やり動員すればね。でも整備が不十分。今日乗ってきたのも異音がしたっていうから、整備しないと無理だし。他の動けるのは行き先が決まってるし。明日――できたら明後日にしてもらえる?」
珍しくまともな説明だ。
「……仕方ありませんか。遅くとも明後日には発てるのでしょうね?」
「それは保証するわ」
どうやら話がまとまったらしい。
でも、ずいぶん忙しいなと思う。これじゃゆっくりする暇なんてなさそうだ。
それにグレイシアが心配だった。あたしたちが居る間はいいだろうけど、2人とも居なくなったらがっかりして、具合が悪くなったりしないだろうか?
まぁそれでも、ずっと居るわけにはいかないのだけど……。
「ともかくタシュア、荷物置いたら? 寝室はそっちの狭いほう使って。あたしこの子抱えて一緒に寝るから」
「……甘やかしすぎです」
先輩に突っ込まれる。