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Episode:13

 シュマー語を辿るようにして読んでみる。

 曰く、グレイスはルーフェイアを入れて7人。2代目と3代目が殆ど同時期だが、それを除けばほぼ800年おきだ。そして誰もが、シュマーの平均よりはるかに早く亡くなっている。中には年齢不詳なものの、およそ10歳前後というものまであった。


 偶然の一致にしては出来すぎていると思いつつ、さらに読み進める。なかなか記録が見つからずしばらく探したが、どうにか「移住」という単語を手がかりに見つけ出した。

 この文献によるとシュマーの一族は、当初は滅びた南大陸に居を構えて居たらしい。もっとも現文明の殆どがその起こりを南大陸に求めるので、取り立てておかしな話ではなかった。


 面白いのは、意外なくらい前から居住地を地下に求めているところだ。どうも2000年までは行かないがかなり昔に、地下で暮らす技術を手にしたらしい。以後は何度か場所を変えながら、ずっと地下に本拠地を構えているようだ。

 ただ「シュマー」という一族の性格からすると、当然といえば当然かもしれない。


 またこれなら、一般に知られずに済んでいるのも納得が行く。人目につかない場所を選んで、しかも地下にもぐっているのでは、部外者が目にする機会はまずないだろう。結果、口の端に上るものの実態は分からないという、今の状態が作られたに違いない。

 もっとも今は「企業」というものに隠れて、堂々と島を別荘として所有していたりするようだが……。


 資料からエルニ群島の施設とやらは、割合最近まで使われていた事が分かった。ただ老朽化もあって南大陸へと本拠地を移し、その後は規模を縮小して使われていたようだ。

 が、それも100年ほど前に、近隣の町が発展し始めたのもあって完全に廃棄したとある。


(どう考えてもここでしょうね……)


 他に位置情報が一致するものは、記録には無い。つまり廃棄されたはずの場所が、今も密かに使われているということだ。

 そんな場所で行われている、口にするのも憚られるような実験の数々。


 ただそれでも、公認ということだけはなさそうだった。もし公認というのなら、あんなふうに裏口から通信しようとしたりせず、もっと堂々と行うだろう。

 果たしてカレアナたちは知っていて黙認なのか、それともまったく知らないのか。


(……知らないのかもしれませんね)


 証拠はないが、そんな気がする。あのお節介な彼女が、ああいう非人道的なことを黙認するとはどうも思えない。シュマーの研究者たち、それも一部が勝手にやっている可能性が高かった。

 だとしても、カレアナと総領家はシュマーの責任者だ。管理が行き届いていない事には変わりない。





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