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Episode:125

 船の中が急に騒がしくなった。何人もの船員さんが隣の部屋へ入っていって、掛け声をかけてる。


「ちょっとあんたたち、静かになさい!」

「も、申し訳ありませんっ!」

「それもうるさい!」

 言い合う母さんたちを見て、タシュア先輩がため息をついた。


「ご自分がいちばんうるさいようですが?」

「あらそう?」

 タシュア先輩に言われても母さん、まったくこたえてないし。

 その母さんがあたしのほうを見て言う。 


「ルーフェイア、あなたは隣の部屋ね。あたしと一緒でいいでしょ?」

「え……」

 思わず答えに詰まった。


「何よ、イヤなの?」

「そういうわけじゃ……」

 母さんと一緒はイヤじゃない。けど、一緒に居るとなんか疲れる。


「そそ、あんたに似合うと思ってね、買ってきたのよ服。あとねほら、こっちあんたにと思ったけど、グレイシアに良くない?」

「部屋でやったら……?」

 さすがにあたしは途中で遮った。


 母さんが出してきたのは、綺麗な細工のされた髪飾りだ。ただ全体的に装飾の造りが丸い感じだから、確かにグレイシアに似合うかな?と思う。

 でも、何もここでやることじゃない。そう思ってたら視線を感じた。


「……グレイシア?」

 どうも話し声で起きたらしい。

 そして強い視線から、「内容を話して欲しい」という意思が伝わってくる。


「えっとね……」

 この子の手を握ってから、あたしは話した。理由は良くわからないけど、グレイシアにはこの方が良く通じる。


「母さんが、グレイシアに……髪飾り買ってきた、って」

(――!)

 グレイシアの表情が変わる。髪飾りは分かってないけど、何かもらえるのだけは分かったらしい。


「えっと……見る?」

(みる!)

 あたしの傍へ来た母さんがにやにやした。


「ほら見なさい、こんなに喜んでるのに、後でとか言うんじゃないの」

「それ違うと思う……」

 たまたまグレイシアが喜んだってだけで、母さんが時と場合を選んでないのは否定できないんじゃないだろうか?






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