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判決:無罪

短い!1600文字!


そもそもこの作品がが章分けしなくていいくらい短い!!


ごめんなさい。

この世界は不平等だ。


魔女だから


守られるべき者だから


そんな理由であいつらが罪を犯して良い事になるわけがない。


『被告人を──無罪とする』


「ふざけるな!!」


あの一言を思い出すだけで眉間に皺が寄る。


決定的な証拠はあった。確実にあいつが悪であった。なのになのに!


苛立ちは収まることを知らずに勢い余ってテーブルを殴る。痛みなんて気にならないくらいだ。そんなものを入れる容量はもう脳には残っていない。


悪は嫌いだ。罰せられるべきだ。それにいかなる理由があろうとも、悪は悪なのだ。それを裁くことこそが俺の人生であり、検察としての役割だ。


「っち、はあ、クソが」


ふらふらとベランダに出て迷わずに慣れた手つきでタバコを手に取り、魔道具で火をつける。この魔道具も魔女が作ったんだよな……あんな、あいつの同類が?


咄嗟に地面に叩きつけそうになったその手を寸前で止める。いけない、悪いのはあの魔女(クソッタレ)であって魔女という種族ではない。


今日の昼、俺が出席した裁判は奇妙なものだった。罪状は「非現住建造物等放火罪」になるはずだった。要するにあの魔女は自分自身の持ち家に放火したのだ。火はすぐに消し止められたがその場にいた容疑者(クソ魔女)が連行されて裁判に移る……が、捜査の過程であいつが魔女であることが発覚したために無罪、と。


普通平和主義を体現したように温厚な魔女が罪を犯すということ自体がまず奇妙だが、そんなことよりも言いたいことがある。自分の家なんだから燃やしても問題ないって?バカを言うな。周りにも建物はあった訳だし、燃え移りやすいのは目に見えてわかる。更に実際問題消防が動く羽目になってるんだ。これで無罪は本当に頭おかしい。


「はぁ……まじであいつ、何で無罪なんだよ……おかしいだろ絶対」


「あぁ、私もそう思う」


「おぅ、だよな……ん?」


三日月が照らすベランダ、俺の他にもう一人いた。黒髪、中背、女、どこまでも深い……黒目、衣装は変わっているが知っている魔女だ。


「いやまさか……疲れてるんだな。それかストレス……もう寝るか」


「おい」


聞こえる幻聴を他所に部屋に戻ってベランダの鍵を閉める。そのままカーテンを閉めて部屋を真っ暗にした。


「はぁ、もう考えるのはやめだ。一旦頭リフレッシュしねえと……」


「おい!」


威圧感、深い。あ、これ、やばい、死?いや、は、え?……落ち着け、なぜお前がこんなところにいる?


「お前、見て見ぬフリとかふざけてんのか?」


「はぁ、幻覚とかそう言う類じゃねえな……何の用だ?クソ魔女」


音もなく俺の部屋の中に入ってきているのは、忘れもしないあいつだ。覚えてもいるさ。当日のことともなればなあ。クソ魔女が。


「お前に「クソ」と言われる筋合いはないがな」


「そうか、だがお前は確実に罪を犯した。その点から見ればお前はすでに「クソ」だ」


「そりゃあそうだな。私は罪を犯そうとして犯した訳だからな」


「そうかよ。動機くらいは聞いてやる。そうしたらすぐにここから出ていけ」


正直言って俺はこいつをもう見たくない。あー、ほんとに、死んでくれないかな。


「死にたいからだ」


一瞬、音が消えた──ように感じた。自分の正義からそんなことは言っていないはずだが、思っていたことを読み取られたように感じてめちゃくちゃビビった。いや何?こいつ。死にたい??


「イカれてんだろお前マジで……」


「お前は優秀だろ?だから手伝ってもらおうと思ってな」


「ハッ!馬鹿な話だな。大体何だよ死にたいとかさ、厨二心芽生えたガキじゃねえかよかったなあ生きて。お前は無罪だってよ!放火はな、この国では重罪の一つなんだ。当然死刑もある。だがお前はそんなことをして尚無罪だ。潔白だ」


「あぁ、だからこそ私はお前と手を組みたい」


「手を組む?何の?」


「だからさっきから言ってんだろ、私が死ぬのを手伝ってもらうってな──正確には私が死刑になるように手伝ってもらう」


「そんなの………」


俺はクソ魔女に可能な限り近づいてから息を思いっきり吸い込む。そして──


「────ぜっっっっったい嫌だね!!!!」


近隣迷惑とか考えず、ただ感情に任せてこう言った。

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