物語をどう書き分けるのか?
世界観が決まり、主要キャストも決まり、プロットも書けた。さて、これでようやく物語を書き始めることが出来るわけだが、次に「どのように書くのか?」の問題が出てくる。
プロット内では、作中で起こる大きな事件などが、先に「時系列順」に並んでいるわけだが、実際に物語を書くとなると、これに従う必要はない。
よくある手としては、先にクライマックスの手前をいきなり冒頭で提示するというパターンがあるが、これも最近では少し古びてきている。やるとすれば、そのエピソードのクライマックスの手前。ストーリー全体のゴールを先に描くと、先読みも出来るため、読んでいる側の心にも「どうせ」が生まれるので、得策とはいえない。
起承転結の各パートを素直に章分けとすると、4部構成となるわけだが「章ごとの起承転結」も用意した方がいい。そして、それらを何話に切り分けるのかを考え、一話から書いていく。そして、その一話にも起承転結がある。いわゆる「入れ子の構造」である。
―― ん、ここまで書いてきて、ようやく気付いたが、これってまだプロットの段階の話ともいえるな……。各章の切り分けも決まったのなら、あとは書くだけである。
書き方としては、一人称と三人称の使い分け、キャラの内面描写によって、読者に感情移入させる。これに複数のキャラからの視点のエピソードなども加えれば、物語内の出来事にも、立体性が生まれてくる。
とりあえず、ざっとセリフで動かす形で書いてみる。必要な情景描写や心理描写などは、後から書き足せばいいし、先に会話劇を行ってしまえば、時間の短縮になるし、描写の過不足は後からいくらでも修正できる。
もちろん、ここまではあくまでも「ひとつの書き方」である。正解は「作者の数」だけある。映画のようにシーンで割るのもいいし、演劇方式でもいい。歴史的記録のように扱ってもいいし、作品に合わせ、スタイルを変えればいい。
ただし、天才でないのなら、行き当たりばったりでは書かないことだ。天才でない筆者が、行き当たりばったりで書き、実際に苦しんでいるのだから、これはこれから連載を立ち上げる人々への、ひとつの教訓ともいえる。
―― ともかくは、ディテールである。
何なら、エピソードプロットを作ったって、かまわない。ディテールに凝るほど、実際に書く時間も短縮される。それすら面倒であれば、AIを巧く活用し、パーツの案を出させるのもいい。
たとえば、毒物に相応しい紫の花と、その特徴などをいくつか羅列形式で提案させれば、物語そのものを転がすヒントが見つかったりもするかもしれない。知識に関しては、言語生成AIに頼れば、時間をかけた学習すら短縮できる時代である。




