表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/24

純粋と危うさ(犬)

旅を続ける中で、桃太郎は時折、不可解な行動を見せた。彼は時として、道端に咲く名もなき花に足を止め、その可憐な姿をじっと見つめることがあった。またある時は、小川のせせらぎに耳を傾け、まるでその音に心を洗われるかのように佇む。

犬は桃太郎のそんな姿を見るたびに、内なる疑念がさらに深まるのを感じていた。一体、この男は何を考えているのだ?鬼退治という大義を掲げながら、なぜ、このような無益な感傷に耽るのか。それは、彼が真に純粋である証拠なのか、それとも、私の知らない、もっと深い欺瞞が隠されているのか。

一度、桃太郎が花を摘み、それを空に掲げて微笑んだことがあった。その時、彼の顔は、まるで無垢な子供のようであった。私はその表情に、言い知れない不快感を覚えた。私が見てきた人間は、皆、その笑顔の裏に隠された計算を持っていたからだ。桃太郎の笑顔は、あまりにも無防備で、あまりにも「人間らしくない」。それは、私の信じてきた世界の法則を揺るがす、異物であった。私はその花を、まるで毒でも塗られているかのように感じ、身を硬くした。彼の純粋さは、私にとっては危うさそのものであった。この男は、あまりにも脆く、この世の悪意に耐えきれるはずがない。あるいは、その脆さこそが、私を欺くための最大の武器なのか。私は、その真実を見極めるために、彼の隣にいるしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ