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第8話 ニーナのミッション

 私はニーナ・ルアナ・フィラリール。

 フィラリール王国の第一王女。


 剣と魔法のファンタジー世界で、私の国は戦争に巻き込まれていた。


 戦争を回避しようと様々な努力を行ってきたけど……

 多くの民を救えたとは思っている。

 病気の蔓延を防いだり、魔物の襲来に対し壁などを設置したり、出来る限りのことはしてきた。


 5年間、私は必死に生きてきたんだけどね。

 でも……


 やっぱり私程度じゃ海千山千の老獪な貴族たちに勝てなくて。

 結局追い詰められ殺された。


 まこと、なんか勘違いしているみたいだけど……実は私転生者なんだよね。


※※※※※


 高校2年生の時家族旅行中に事故に遭い命を落とし、神様に転生させられた。

 ある条件を飲んで。


 私、大好きな人がいた。


 同級生の木崎誠。

 関東のとある海沿いの高校で一緒だった彼は、高校1年生の時に両親を事故で亡くしていて、家が隣同士だった私とは幼馴染。


 両親同士がとても仲が良くて、同じ名前にしたんだよね。

 そう、私は真琴。

 諸山真琴。


 彼は小さいころから臆病な私をいつも守ってくれて……

 私は保育園の時からもう彼のことが好きだった。


 でもね、近すぎたの、私たち。


 家も隣で、保育園から高校までずーっと一緒。

 いつも一緒に遊んでいた。

 しょっちゅう泊まりっことか、5年生くらいまではお風呂も一緒に入っていたし……

 6年生の時はこっそり彼が寝ているベッドにもぐりこんで、抱き着いたこともあったりして、スッゴクドキドキした。


 うう、恥ずかしい。


 だから私は好きだったけど彼は……

 好きではいてくれたけど、妹みたいな感じだった。


 でも高校2年生になってすぐ…

 誠は私に告白してくれた。

 あの時の誠、精いっぱいおしゃれしてくれて、カッコいい肩掛け鞄してて…


 1年の時に彼の両親が亡くなって、田舎のおばあちゃんが引き取るような話だったんだけど……彼、私と離れたくないって言ってくれたの。


 凄く嬉しかった。


 お父さんもお母さんも「結婚すればいいじゃん」ってずっと言っていた。

 私は本当にそうなるって信じていた。


 だけど誠が告白してくれて「家族旅行から帰ってきたら返事するね」って言ったのに。

 私は死んでしまった。


 死んでしまったこともすごく悲しかったけど、私が一番嫌なことは誠と離れることだった。

 だから私転生するときに神様に頼んだの。


※※※※※


 「何でもするから誠と一緒になりたい」

 「ふむ。ならばわしと賭けをしよう。お主が転生する先は戦乱渦巻く異世界じゃ。もしお前さんが転生する先の王国を救ったら、死んだときの状況に戻してやろう。失敗したら……ふぉふぉっ、それはその時の状況次第じゃな」


 こうして私は神様と賭けをした。

 でも酷いよね神様。


 なにも力とかくれなかったの。

 何も知らない女子高生が世界なんて救えるわけないでしょ?


 死に物狂いで何とかしようと現代の知識とかで頑張ってみたけど、結局私はその異世界でも殺されてしまった。

 最後危なく凌辱されそうだったけど、なんか懐かしい声が凄く心配してくれて……


 うん。

 結局死んじゃった。


 あ、もうだめだって思ったら、また神様に呼ばれたんだよね。


 「ふーむ。70点というところかの」


 いきなり採点されてちょっとイラっとしたのは内緒。

 でも意外に高得点?

 私結局あの世界を救えなかったしね。


 「賭けはわしの勝ちじゃの。じゃがお前さん、頑張ったことは素直に評価しよう。お前さんのおかげで多くの命が救われた。ありがとう」


 え、なんかお礼された?


 ……じゃあ、私もお願いします。

 誠に会いたい。

 一緒に生きていきたい。


 「ふむ。まあよかろう。じゃがな約束は約束。無条件というわけにはいかん。お前さんたちの絆を見せてみろ。さすれば二人暮らせるようにしてやろう。どうする?」


 「やります」


 「ふぉふぉ、即答か。面白い。条件も聞く前に即決とはな。……後戻りはできぬぞ?」


 「う、で、でも、私誠と一緒になりたい。彼のこと好きなの!!」


※※※※※


 そして課せられたミッション。

 チョット後悔してます。


 だってさ。


 ニーナの体で二人一緒に暮らして、私からバラしたら即終了。

 誠が私を思い出して、そして心から私を愛してくれるってならないといけないだなんて……


 うう、無理ゲーじゃない?

 だってもう5年も経っちゃっているんだよ?

 そもそも誠、もし彼女とかいたらもうだめじゃん。


 「ふぉふぉ、あの男は誰とも付き合ってないぞ?そのくらいではないとフェアではないからのう。せいぜい頑張るんじゃな」


 うう、そうなんだ。

 誠まだ付き合ってないんだね。


 えっと、もしかして私の事……


 ううん。

 ダメよ期待しちゃ。


 もしだめになったら私きっと立ち直れない。

 期待しすぎないように頑張ろう。


 そしてあの日。

 誠バイクで事故を起こして……


 私との奇妙な共同生活が始まったんだ。


 でもさ。

 誠……なんか変わってなくて安心した。


 見た目はね、その、少しカッコ悪くなっていたけど……

 ちょっと太っちゃっていたし……


 だけど私の大好きだった彼の瞳は変わっていなくて。


 うう、だけどニーナの見た目ってこの世界じゃおかしくないかな?

 こんな美人めったにいないんだからね?

 現実の私こんなに可愛くないよっ!!


 そ、それに、誠が、その、わ、私の体……いじるし。

 主導権無いくせに、感じちゃうの!


 ううう、もう……

 恥ずかし死ねる。


 でも、せっかくのチャンスだもん。

 きっと幸せになるって私は決めたんだ。


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