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第5話 初めての化粧水

 「ふうー、さっぱりした」


 俺はシャワーを浴びて、普段使わないドライヤーに一苦労しながらも、何とか髪の毛を乾かして自分のベッドへと倒れ込んだ。


 パンツが薄くて小さくてなんか頼りないけど…

 まあ、そのうち慣れるかな。

 

 「あーでも、髪の毛乾かすのに20分とかやばいな。俺朝シャン派だから…1時間以上早く起きなきゃじゃん。くわー、マジ女の子大変だ」


 『ねえ』


 色々考えてごろごろしていたら眠くなって来たタイミングでニーナさんが声をかけてきた。


 「…ん?……あ、はい」

 『化粧水は?肌、カサカサになっちゃうよ』

 「え?風呂上がりに使うんですか?朝とかじゃなくて?」

 『はあ。……うん、あのね、基本的には顔洗ったら使う物なの。私たぶん乾燥肌だから、朝はちゃんと乳液も使ってね。それからお化粧は特にしなくていいから、クレンジングはちょっとだけ取って馴染ませてから。あんなにたくさん使ったらもったいないし肌も痛むからね』


 「あ、はい。なんかごめんなさい。…あの、メモ取るからさ、もう一回いいかな」


 俺の問いかけに何故か小声になるニーナさん。


 『(誠、変わってないや。真面目だもん。……その、変なことしなかったし…やっぱり優しい)』


 「ん?なんて?ごめん、よく聞こえなかった」

 『……何でもない。じゃあレクチャーしていくよ』

 「はい、お願いします」


 何とか機嫌が直ったニーナさんから色々ケアの事を聞いて、かなりげんなりしたけど、ちゃんとやろうと思っていた。


 あっ、髪は長すぎるから、後ろで縛ってもいいらしい。

 ポニーテールってやつだね。

 美容室で整えても良いよって言ってくれたけど……

 俺いつも1500円均一のところしか行ったことないからな。

 まあ今度調べてみるか。


 取り敢えず何故か購入してあった化粧水を使ってみた。

 なんだか肌がプルンプルンする。

 しかもいい匂いだ。


 あー、だから女の人いい匂いがするのか。


 うー、なんか自己嫌悪してしまう。

 今までそんなこと考えたことなかった。


 きっと俺臭かったんだろうな。

 ごめん職場の皆。

 これからちゃんとするからね。


 俺はニーナさんの指示を書き写したメモを見る。


 「なになに……まずは乾燥を防ぐために全身にクリームを塗る?」


 マジか。

 うっし、やってやろうじゃんか。


 「これかな?……えっとちょっととって馴染ませるように……腕と足だけなのかな?あー、首とか、お腹も?……おっぱいとかは良いんだよね?……あっ、書いてある」


 えー、裸にならないとじゃん。

 ホント、女の子大変だ。


 ぬりぬりしてたらなんか変な気分に……

 いかんいかん、まだ次がある。


 「よし、じゃあ次はムダ毛の処理か。えっと……どこ?」


 鏡で見える範囲ではこの子殆どつるつるだけど……

 でもニーナさん『大変なのよ?』とか言っていたな。


 ああ、だから全身クリーム塗って確認するんだね。

 理にかなっているな。


 んーと……ああ、腋か。

 よし、鏡で見てみるか。


 ………ないけど。

 すべすべだが?


 あっ、なんか腋にはスプレーするとか言っていたな。

 匂いの抑制?消臭?

 あと、汗の抑制?


 あっ、これか。

 良く振って……


 ひうっ、冷たい!

 うう、大変だな。


 えっと次は……

 んん?おまた?

 えっ?


 剃るのかな?

 うわー、わかんないや。


 「あの、ニーナさん?」

 『………何?』

 「あの、おまたのムダ毛処理って……」

 『な、な、何言って……あーもう、しなくていい。この体薄かったでしょ?もう、変なこと言わせないでよ、エッチ』


 おおう、可愛い声での『エッチ』頂きました。

 何気にご褒美だな、うん。


 『……もう、たまに腋とか、脛とか確認して。多分この体殆ど産毛すらないからする必要ないとは思うけどね。……でも世の中にはスッゴク大変な子いるんだから『私薄いんだよねー』とか言ったらだめだからね。それ本当にガチでスッゴク傷つくから』


 「あ、はい。分かりました。うん、俺少ししか色々してないけど、すでに女の子大変だなって思っているから……そういう事は言わないよ……教えてくれてありがとう」


 『もう……うん。ねえ、明日休みでしょ?欲しいものあるんだけど』

 「えっ?ああ、うん是非。ごめんだけど俺何が必要か全く分かんないから。助かります」

 『……まことさ……優しいね。……彼女とかいたの?』


 ん?なんか雰囲気変わった気がする。

 なんだろ。


 「いないよ?……ああ、そっか。……俺女の子になっちゃったからもしいたら大変な事だった。……問題ないよ?俺まだ経験も無いしね」

 『ふ、ふーん。……ねえ、今まで付き合ったこともないの?』


 おおう、ぐいぐい来るね。

 コイバナとか好きなのかな。


 「えっ?ああ、そ、その、高校の時にさ、好きな子はいたんだ。……真琴っていう子なんだけどね。幼馴染でさ。偶然にもおんなじ名前でさ、凄く可愛くて……俺告白したんだけど……でもさ、事故で、ね」


 やっべ。

 俺落ちるわこの話題。

 ああ、情けない。

 もう5年も前なのに……


 『なんかごめん。……あの、しばらく黙ってるね』

 「えっ、あ、うん。じゃあまたなんかあったら呼んでね」


 ニーナさん、きっといい人だ。

 俺に気を使ってくれた。


 凄い美人で性格も良いってすごいな。

 頭も良いんだろうな。

 だって転生特典とはいえ日本語スムーズだしね。


 ああ、そっか。

 彼女お姫様だもんな。

 人の上に立つ人だから気づかいとかできるのか…


 しかも戦争していたみたいだったよね。

 俺には分からない苦労いっぱいしたんだろうな。


 俺が邪魔しちゃったから……


 「悩んでも仕方ないよね。この体、大切にしよう。彼女に返す時に悲しませない様にしなくちゃね」


 だってこの体はさ、ニーナさんの物じゃん?


 俺は借りている状況だもんね。

 大切にしないとだめだ。


 はあ、でも女の子ってどの世界でも本当にいろいろ苦労しているんだね。

 自分でやらないとこりゃ一生わかんないわ。


 ……真琴もきっと頑張っていたんだろうな……

 あいつ、いつも凄く可愛かった……


 はあ……もう会えないけど……


 『………』


 明日は日曜日。

 ニーナさんに聞いていろいろ買わないと。


 あー、お金のこととかも確認した方が良いよな……

 きっとそういう事になっているだろうからいろいろ違っているんだろうし……


 色々考えているうちに、いつの間にか俺は眠りについていた。


 『まこと?……あの………もう……』


 彼女が何か言った気がしたけど、俺は睡魔に勝てなかった。


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