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第41話 兼業農家誠爆誕?

 新菜は次長と、またまた部会長である邦夫さんと、今度は部会の役員でJA青年部にも所属している小高(こだか)一成(かずなり)さん28歳独身の4人で大阪へと向かった。

 一成さんは親と一緒に農業をしている人で主な品目は菊だ。


 俺と馬が合い、なんだか兄貴分のような人でとてもいい人なんだけど……どうやら新菜の事が好きらしい。


 まあ、一応夢落ちになっているし次長もいる。

 問題はないと思いたい。


 俺は相変わらずグラジオラスの圃場と菊の育苗を回り、君島代理と打ち合わせをしながら仕事をこなしていた。


 「ねえ、誠。あんた少し自分でも花作ってみない?……有賀さんの家でスプレーマムの苗が余ってるらしいのよ。いい勉強にもなるし、うまく作れればお小遣いにもなるわ」


 農薬の確認をしている俺に君島代理がそんなことを言ってきた。

 実は代理も自分で少しグラジオラスを栽培している。


 「やっぱり見るのと自分で作るのは全然違うのよね。どうせ捨てるらしいから、どう?肥料とかは試験のやつとかで対応出来るしね」


 実際に作るとなると、色々準備が必要になってくる。

 幸いうちのばあちゃんが少し農業をやっていたので、ぼろいが農機具は一式揃っている。


 「えっ?どのくらいあるんですか?……興味はありますね」

 「うん、3000本くらいあるそうよ。1.5アール分ね。50坪弱くらいかな」


 俺は計算してみる。

 3000本の苗だと、大体正品率は75%くらい……

 摘芯栽培なので平均2.5本……おおよそ50ケース前後の出荷量になりそうだ。


 まあ上手な農家さんの話だ。

 きっと素人の俺だとさらに減るのだろう。


 でも、元手は殆どかからないし確かにいい勉強にもなる。


 「杭は以前試験で使ったやつと、去年引退した浅沼さんのがあるから使っていいわよ」


 おう、助かる。

 意外と花が倒れないように立てる杭が高額なんだよね。


 じゃあ実際に買うのは……フラワーネットと農薬くらいか。

 上手くできたら段ボールはその時買えばいい。

 うん。

 よほどのことがない限り赤字にはならないな。


 「ふふっ、誠、良い顔するじゃない。やっぱり男の子は少し欲を出した方が良いわね。うまくいけば20万円くらいの収入になりそうだしね」


 流石代理。

 計算が早い。


 「あ、一応俺今、こ、婚約者居るんで相談してもいいですかね」


 うう、自分で言うのちょっと恥ずかしい。

 でも間違ってはいないもんね。


 「あー、そうね。あんたが忙しくなっちゃうと彼女嫌がるかもだね。良いわよ、今週中に返事してくれれば。私、有賀さんには伝えておくから」

 「はい。ありがとうございます」


※※※※※


 今うちではジャガイモとミニトマトを家の敷地内の小さな畑の一部を使って栽培、というかほぼ放置している状況だ。

 50坪くらいなら自宅の敷地内の畑で対応できる。

 俺はすでにやる方向で検討を始めていた。

 いずれは兼業農家もいいかもしれない。


※※※※※


 色々と考えながら仕事をしていたら新菜からメールが来た。

 どうやら順調に会議をこなせたようだ。

 心配していたような事は無い様だけど……実はさっき取引先の市場の担当者からメール来てたんだよね。


 「新菜ちゃんとマジで付き合いたい」ってね。

 「ダメです」って返事しておいたけど。

 もちろん新菜には伝えませんとも。


 まあ、大丈夫かな。

 てかなんで俺に聞くかな?


 もちろん俺は許可しないけどね。

 新菜は俺の可愛い従姉弟だ。

 俺が認める奴にしか絶対に渡したくない。


 べ、別に、特別な感情とかじゃないからな?

 ほんとだぞ!?


※※※※※


 そんなこんなで仕事が終わり、俺はJAの近所のスーパーへと買い物に来ていた。

 今のところ料理は俺の担当だ。

 もちろん真琴だってできるけど、まだ慣れない彼女たちには取り敢えず仕事を優先してほしい。

 掃除とか洗濯もやってくれるしね。


 「おっ、今日はバナナ安いな。最近値上がりしていたからこういうのは地味にありがたいよね」


 俺は色々考えながら商品を買い物かごに入れていく。

 バナナは無糖ヨーグルトに入れてはちみつを掛ければ忙しい朝の味方になってくれる。

 うちの可愛い子たちにも好評だ。


 一人暮らしが長かった俺は、作るものを決めながら買い物をする癖がついているから意外と無駄なものは買わない。

 もっともしばらくは外食やコンビニが多くて大分太っちゃったから、あの事故以降は基本自炊をすることにしていた。


 「あれ、誠先輩?なんか久しぶりですね」


 そんな俺にかつての後輩だった大和がにこやかに声をかけてきた。

 コイツ今は違う支所で野菜の指導をやっているはずだ。


 ……神様パワーはどうなってるんだろ。

 俺は興味もあり大和に話しかけた。


 「おう、久しぶり。大和、野菜の指導は慣れたか?」

 「ん?ええ、慣れたというか、俺入職してからずっと野菜ですよ?誠先輩、相変わらず面白い人ですよね」

 「ああ、ごめん。そうだったな……なあ、最近香織ちゃんとはうまくいっているのか?」


 突然顔を真っ赤に染め、俺に近づいて挙動不審になる大和。

 あれ?

 やっぱり違うのかな?


 「な、何で誠先輩、俺たち付き合っているの知っているんですか?……まだ付き合い始めて1週間もたっていないのに」

 「お、おう、そっか。いや、別に聞いたとかじゃないから心配するな。何となくそうかなーって思っただけだからさ」


 訝しそうに俺を見る大和。

 へー、そっか。

 良かったな大和。


 「それより先輩、先輩も婚約者と同棲しているんですよね?真琴さん、あっ、同じ名前ですよね。……あの、よ、夜とか……そういう感じですか?」

 「うぐっ、う、うん。ま、まあな。……俺たち婚約者だからな。はは、は」

 「うわーマジか。ねえ先輩、毎晩っすか?その、エッチとか……いいなあ」


 俺達はまだ若い。

 俺が22で大和は21だ。

 当然そういう事に興味はマックスだ。


 「お、おう。おい大和、あまりがっつくなよ?女の子は優しくしないとな。……俺たち男とは感じ方が違うんだ。ゆっくり、優しくが良いと思うぞ」

 「はあー、流石っす先輩。勉強になります」


 うう、言えない。

 まだ童貞なんて……


 「あっ、俺これから香織ちゃんとご飯食べに行くんすよ。ブレスケア欲しくて買いに来たんす」

 「そ、そうか。まあ頑張れよ」

 「はい。それじゃ失礼します」


 颯爽と去っていく大和。

 付き合い始めて1週間か……

 今一番楽しいんだろうな。


 以前見たドラッグストアで購入していたあのゴム……香織ちゃんどうなっているんだろ?

 ……まあいっか。


 俺は買い物を済ませ、愛する婚約者の待っている家へと急いで帰っていった。


 今日こそ真琴と。


 俺は決意に燃えていた。


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