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第3話 どうやら死んだようです

 相変わらず俺は白っぽい空間にいる。

 さっきの光景が目に焼き付いていて、少し頭に血が上っている感じだ。

 そしたら目の前のじいさんが俺に問いかけてきた。


 「のう、あの娘……助ける事が出来るとしたらどうする?」

 「助ける」


 じいさん、なんかキョトンとしているけど、つーかそれ一択だろ!?


 「ほっほっほ、即答か。気に入った。……これも運命じゃな。うむ」


 なんか一人で納得しているな。

 取り敢えずどうにかしてくれ。

 あの子が可哀そうすぎるだろ?


 「ふむ。心配はいらんぞよ。あれは過去の投影じゃ。あの娘は汚される事はなかったのじゃよ」


 えっ?

 はあーーー良かった。


 じゃあ誰かが助けに来てくれたんだな。


 「殺されるからの」


 は?

 今なんて言ったこのじいさん。

 殺される?


 はあ!?

 ふざけんなよ!?


 事情は知らないけどどうしてそんな重要なことを軽く言うんだこのじいさん!?


 許しちゃいけないだろ!

 どういう理由であれ、人の命を……


 「ふむ……合格じゃな」


 えっ?


 「気に入った。お主にもう一度チャンスをやろう」


 はっ?


 「うーむ、じゃがただでは面白くないのう……んん?そうか、そういうことじゃったか。かかかっ、こりゃ愉快じゃな」


 おーい、俺まったく意味わかんないんすけど?

 説明プリーズ。


 「おう、そうじゃな。ヒントくらいはないとフェアじゃないのう。良いじゃろ。とりあえずお前さんの状況を教えよう」


 おっ、教えてくれるのかな?

 うん、ありがとうお爺さん。

 ……くそじじいとか言わなくてよかった。


 年配の人は敬わねば。


 「ほっほっ、面白い奴じゃな。善、というよりは道理を重んじるタイプか」


 ん?……すんません。俺高校しか出ていないんで、頭良くないっす。


 「すまんすまん。あー、誠といったの」


 はい。……つか俺しゃべってないよね?


 「うむ。問題ないぞよ。すべて伝わるでの」


 げっ。

 俺変なこと思ったかも……


 「面白い奴じゃの。まあいい。時間もない事だし用件だけ伝えようかの。お前さん、さっき死んだのじゃ。そして違う女性の体というか精神に憑依した状態じゃな」


 ……ん?

 えっ!?


 おれ、死んだの?


 「うむ。じゃがお前さんのことをわしは気に入った。じゃからチャンスをやろう」


 ああ、このおじい様、素敵。

 後光がさしているようだ。

 なんまんだぶなんまんだぶ……


 「……やっぱやめようかの」


 うぐっ、す、すみません。

 調子に乗りました!


 「……本当に飽きない奴じゃな。お前さんは今から『木崎まこと』として生きるのじゃ」


 ん?

 えっ?

 そのままだけど?

 名前ひらがなになっただけとか?


 「ふん。もちろん女性としての」


 ……えーと……は?


 「かかっ、面白かろう。ちゃあんとそういう道理にしておいてやるでの。目覚めればそのまま暮らして問題ないぞい」


 えっ、待って、その……


 「ああそうじゃ。お主憑依と云ったじゃろ。さっき見た娘はな、転生者じゃ。そしてお主が紛れ込んだ状態じゃな。しかも主導権はお主じゃ」


 もしかして……

 一緒に生きろとか言いませんよね?


 「うむ。そしてあの娘の願いを叶えれば、晴れてミッションクリアじゃ。そうすれば死んだときの状態に戻してやろう」


 ああ、そうか。

 これ夢ですね。

 はい。


 「まあ目覚めればわかる。失敗したら……そのまま死ぬまで生きるがよいぞ。それもまた面白いじゃろうて。む、時間切れじゃな。ではの」


 え、え、まって、ねえ、ちょっと、おーい………


※※※※※


 気が付けば俺はいつの間にか女性の普段着を着た状態で自室のベッドの上で寝転んでいた。

 どうやら夢ではなかったらしい。

 22歳で死ぬとか。


 でもチャンス貰えたみたいだから。


 ……頑張ってみますか。


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