表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/46

第25話 木崎まことの評価と市場の成り立ち

 「やれやれ、一時はどうなるかと思った」


 さゆりちゃんがまこちゃんを連れて部屋へと向かい俺たちは男性5人で改めて乾杯しなおした。


 「はは、あの子優秀だけど、どうやらアルコールは弱いみたいだな」


 農連の山口所長がニヤニヤしながらビールを飲み干す。

この人はやたら酒が強い。


 「いつもはあそこまで酔わないんだけどな。まあ一日中運転していたから疲れたんだろうね。仕事ぶりや普段の飄々とした態度から忘れてしまうがあの子はまだ22歳だしな。……でも……エロすぎだな。……あれはやばい」


 思わず顔を赤らめ同意する男性5人。

 木崎まことは実はこの業界で有名人だ。


 まだ入社4年目にして、あの菊野原次長のお気に入り。


 実は菊野原次長は花卉の業界では知らないものが居ないほどの人物だった。

 何しろ常識をいくつもぶち壊し、あの小さな産地を全国区にまで名を轟かせた。


 そんな人物だ。

 仕事に一切の妥協をしない。

 所長の山口や、市場関係者は何度泣かされたか数えきれないほどだ。


 そんな彼が可愛がっている木崎まこと。

 仕事は若さがあるため経験不足が見受けられるが、何しろまじめで妥協しない姿はかつての彼を彷彿とさせていた。


 自分の芯を持ち、努力を続ける事が出来る。

 そして、あまりに美しく可愛すぎる子だ。


 農連はもとより、市場の若い男性たちの憧れの的だった。

 だからこそ、今日の2代目のあの対応はいただけない。


 「なあ社長。お前さん、二代目どうするつもりだ?俺たちは情報が命だ。もう広まっているぞ?……落とし前…間違えるととんでもない事になるぞ」


 「ああ、どうやら色々とやらかしているようだ。経理に確認したら不明な金を摘んだ形跡があった。すまない。俺の監督不行き届きだ。落とし前はつける。……少し警察の厄介になるかもしれない」


 ギラリと目を光らせる市場の二人。

 とてもじゃないが堅気には見えないオーラを纏う。


 昨今コンプライアンスが叫ばれ、行政の指定を取った公設で行儀のよい優等生な市場。

 数多くあった花の市場は統合と合併を繰り返し、今は全く社会的に問題のない業種となっている。

 なので今はそんな事は殆どないが、花の市場の成り立ちを遡れば、ほぼある業種に行きついてしまう。


 所謂『筋もの』だ。


 戦後復旧を果たす時代に基本花など愛でる余裕は一般の人たちには無かった。

 だからシノギとして、そういう者たちが目を付けた。

 混乱期に金と力を保有していた団体。

 そして世の中に浸透する欲と色の世界を彩った花たち。


 今日いる二人の社長はその流れを汲んでいる生え抜きだ。

 宴席に緊張が走る。


 「おいおい、穏やかじゃないな。……俺たち生産者がいるんだ。そういうのは別で頼みたいが……山口所長。頼むぞ?」

 「ええ、大丈夫です。……社長、あなたたちの『落とし前』に文句は言いません。どうやらうちの山岸も一枚かんでいるようだ。全面的に協力しますよ。……だけど今は……楽しくやりましょう」


 ふいに雰囲気が変わる二人。

 そこには人のよさそうな穏やかな好々爺然とする年配男性二人がいた。

 皆の肩から力が抜ける。


 「いや、お恥ずかしい所を。ええ、もちろんですよ。わたくし共は生産者の皆さまの荷物がなければ仕事になりません。どうかこれからも是非ご贔屓にお願いいたします」


 恭しく頭を下げにっこりとほほ笑む市場の二人に思わず直樹がつぶやいた。


 「はは、は。市場の皆さんといい、君島さんに、菊野原さん。さらには山口さんか。……まるっきり伏魔殿だな」

 「えっ?心外ですね。俺はあの化け物たちとは較べ者にならない小市民ですよ?」


 思わず5人は声を出して笑いあう。

 どうにか危機は去ったようだ。


 「あら、楽しそうね」


 そんなタイミングで女帝が帰還した。

 怪しく目を光らせ全員を見回しにっこりとほほ笑む。


 「詳しくいいかしら?」


 「「「「「ひうっ」」」」」


 「ええ、じっくりと。……ふふっ、私は普通のおばさんなのだけれど?」


 青くなる5人の男性となぜか血色の良い君島代理。

 6人の楽しい宴席は遅くまで続いたのであった。


※※※※※


 翌日早めに設定していたアラームで起きた俺は完全なる二日酔い状態で何度か嘔吐し、狭い風呂を何とか沸かし、じっくり入ることでどうにか動けるまでには回復した。

 ニーナさんが激怒したのは言うまでもない。


 『まこと、反省』

 「うう、ごめんなさい」


 その後ニーナさん渾身のレクチャーで、まことはそれはそれは可愛い姿を皆に披露し、昨日の非礼を詫びた。


 「ふふっ、可愛かったわよ?」

 「うう、からかわないでください」


 何はともあれ今日もしっかりと運転をしないと。

 俺は皆を乗せ、ビジネスホテルの駐車場を後にした。


 2日目の市場対策会議が幕を開ける。


「面白かった」

「続きが気になる」

 と思ってくださったら。


下にある☆☆☆☆☆から作品への応援、お願いいたします!


面白いと思っていただけたら星5個、つまらないと思うなら星1つ、正直な感想で大丈夫です!


ブックマークもいただけると、本当に嬉しいです。

何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ