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こちら“元“最強御一行さまです!  作者: 茉莉花菫
第2章
89/105

第31話 ラストスパート

2週連続、更新が遅くなってしまいすみません・・・・・・

私生活がありえないほど忙しく・・・・・・泣

来週こそは、予定通りに更新して見せます!


それでは、ドゾ

 風の刃の攻撃がやみ、辺りがしんと静まりかえる。

 その中で、僕は目の前の、炎の向こうにいるはずのナオを確認しようと目をこらした。

 まだだ。まだ、油断するな。

 隣のトワも低いうなり声をあげて、真紅の向こう側を見据えている。


「・・・・・・」

「グルルルルル」


 炎の柱がふっと消え、土煙が舞う。

 それも徐々にうすれていき、その先の白髪が顕わになっていく。

 白い煙の中の、純白の髪。

 それが、ふわりと、揺れ、て


「トワッ」


 嫌な予感が背筋を駆け上がり、咄嗟に鋭い声を上げる。

 瞬間、突風が吹き荒れ身体が風に攫われそうになる。

 それでもなんとかその場にとどまれたのは、僕の服を噛んでふんばるトワのおかげだ。

 必死にふんばることしかできない僕たちに、風の音の合間からナオの声が聞こえた。


「あーあ、もうこれで魔力切れだ。お遊びは、ここまでかな」

「・・・・・・」

「でも、まー、意外に楽しめた、かも」


 この時、なぜかは分からないが、ナオが少しだけ微笑んだような、そんな気がした。


「じゃあね、リツキ」

「・・・・・・っ」


 ナオがこの場を去って行った気配がしたあと、吹き荒れていた風はあとかたもなく消えていく。

 当たり前だが、ナオの姿は一切無かった。

 戦闘の余韻が僕をじんわりと包み込み、すうっと抜けていく。

 徐々に、徐々に、こみ上げてくる感情で胸が一杯になり


「っしゃあ!」


 気づけば、拳を握り込んで叫んでいた。


「トワ、トワトワトワトワ!魔力切れだって!ナオが、魔力切れ!しかも、僕の名前を覚えて」


 目をキラキラ輝かせながら、興奮を抑えきれずにまくしたてる。

 トワは呆れたような瞳をするも、疲れているのかなにもいわずに座ってしまう。

 だが、ふわふわと揺れるしっぽは、トワの喜びを如実に示していた。


「おおーい、リツキー!」


 後ろから声がして振り返れば、ダイスさんがこちらに駆け寄ってくるのが見える。


「お前、ほんっとすげーよ。あんな魔法戦見たことねえ」

「へへ」


 ダイスさんも興奮しているのか、いつもより声がうわずっていた。

 僕もにやにやと表情が緩むのを止められない。


「う、うう」


 その時、後ろからうめき声が聞こえて、ハッと振り返った。

 見れば、ナオに組み敷かれていた試験官らしき人たちがまだ山積みにされたままでいる。


「わああっ。今、今助けます!」


 僕とダイスさんは慌てて彼らを助けるため、走り出した。


 〇〇〇


「いやー、助かりました・・・・・・」


 僕は、目の前で座り込みげっそりとする壮年の男性に視線を合わせる。

 彼はナオに下敷きにされていた山の中の1人で、一番に意識を取り戻した人だった。

 他の人たちも、それぞれ地面に寝かし回復魔法を施しているので、順に起きてくるはずだ。

 僕は目を覚ました1人に話しを聞こうと、耳を傾ける。


「私は、今回の試練で試験官を担当しているのですが・・・・・・。白髪の彼が来て、問答無用で気絶させられてしまって・・・・・・。ふがいない」


 僕は落ち込む彼になんと声をかけたら良いか分からず、無言で見つめる。

 この人も、この人たちも、全員試験官に選ばれるほどだ。

 魔法使いの中でも数えるほどの実力者に違いない。

 それでも、ナオに対応することができなかった。

 ナオが不意打ちをしたこと、無言で攻撃してくるとは思っていなかったこともあるだろうが、それでも、不意打ちをされたところで簡単に倒されるような人ではないはずだ。


「僕たちは、次に行きます。人を呼ぶのは僕たちがこの神殿を出てからになりますが・・・・・・それまで、耐えられますか?」

「ああ。それは問題ない。これでも、いろんな修羅場を抜けてきた歴戦の魔法使いだ。今は気絶しているが、ここにいる全員がそうだ。心配ない」

「分かりました」


 僕はうなずいて立ち上がると、そばでなりゆきを見守っていたダイスさんとトワに視線を向ける。


「では、行きましょうか」


 ダイスさんとトワがうなずくのを確認し、一歩踏み出す。


「ちょっと、待ってくれ!」


 が、先に進もうとした僕たちに試験官の彼から声がかけられる。

 何事かと振り向くと、彼がこちらに手を伸ばしていた。


「君たち、今スタンプは何個溜まってる?」

「えっと、2つ、ですけど」

「なら、俺が最後の1つをやる。これでゴールできるだろ?」

「え」


 僕は思わぬ申し出に目を丸くする。

 確かに、それは願ってもないが・・・・・・。


「で、でも、スタンプは試験官が提示するミッションをクリアしないともらえないんじゃ・・・・・・」

「さっきの、ナオとの戦闘をミッションとみなす。むしろ、あれだけの戦闘をしておいてミッションじゃないなんてありえんだろ」


 僕はダイスさんと目を見合わせ、スッと己の腕輪を差し出した。


「そういうことなら、お願いします」

「おう」


 彼は僕たちの腕輪に手をかざすと、魔力を流す。

 腕輪は一度橙色に光った。


「これで、よし。最後まで油断すんなよ」

「はい」


 僕たちは今度こそ彼に背を向け、先を見据える。

 スタンプは3つ溜まった。

 あとは、ゴールを目指すだけだ。

 この神殿の造りを見るに、ゴールはそう遠くないはず。


「さあ、ダイスさん。トワ。ラストスパート、がんばりましょうか!」

「おお!」

「ガウ」


 僕たちはゴールへの道のりを、しっかりと踏みしめた。



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