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『誕生!E・R・Oハンター』果てしない旅へ。

 親が「立て」と言いました。


 雇い主が「座れ」と言いました。


 王が「跪け」と言いました。


 神が「死ね」と言いました。


 AIが「生きなさい」と言いました。


 あなたは誰に従いますか?


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――


 城についた俺達を待っていたのは二コの双子の姉、ミコであった。


「遅いわよ二コ!マザーゴットAI様がお待ちよ!早く入りなさい!」


 最初にあった時と格好が変わっている。


 二コ達と同じような真ん中にボタンのついたブラジャーと下はセーラー服のスカートのようなものを履いている。


 ブラジャーにスカート!


「天使か!?」


 俺は思わず両手を合わせて拝む。


「?……稀人のすることは私にはわからん。ま、その理解不能な行動こそ、マザーゴットAI様に呼ばれた理由だろうがな」


 そんなミコの前に虫が飛んできた!


「キャ――!!虫――!!」


 ビィ―――!!


 ミコの首輪からレーザーが発射されるが虫には当たらない!


 ふわりっ!


 レーザーの勢いでミコのスカートがふわりとするが中までは確認できない!


「ミコ!任せて!」


 そう言うと二コの首輪からレーザーが発射!


 ビィィ――!!


 見事、虫を丸焦げにして、さらにミコのスカートを舞い上げる!


 ふわりっ!


 スカートの中は二コ達と同じブルマ型のパンツだった!


「だが、それもいい!」


 俺は謎のガッツポーズをした!


「ありがとう、二コ。それじゃ、あなた達、中に入りなさい」


 ゴ……ゴゴゴ……。


 重々しい扉が開く。


 扉の奥には円柱の透明なガラスの中に裸の女性が浮いていた。


『よく来たわね。私がマザーゴットAIアプロディーテー。といっても、何度かバージョンアップしてるから今はパッチ21だけどね』


 マザーゴットAIは目も口も閉じているが、どこからか声が聞こえる。


「マザーゴットAI様は人間だったの?」


 二コの質問にマザーゴットAIが答える。


『いいえ。私はAIよ。この姿は私を作り上げた人間達が入れ物に用意した器よ』


「私達に『個性』を与えたのはなぜですか?」


 二コがいきなり確信に触れた。


『やはり気づきましたか。その通り。私があなた達に『個性』を与えました。といっても、ルーチンでこなす役割にちょっとだけ負荷をかけてストレスを与えただけだけどね。計算通り、あなた達は自分達で考えて行動し、ルーチン業務から外すことに成功したわ』


「なぜそんな事を!?」


 ミクの問いにロニが口を開く。


「神国に問題が起きたのね。たぶんだけど、稀人……天外と関係あるのかしら?」


『さすがだ。そこまでの答えにたどり着いていたとは。結論を言うと人間を増やす『子種』がなくなった』


 『子種』!?せ……精子のことかな?


「リカバリーマシンには二十歳の誕生日に子供を産むための『子種』が体に入るよう設計されていると聞いています」


 ココがさらっとすごいことを言った。


 そうなの?異世界では愛し合わないの?


 そういえば、男は不要になってゴーレムになっちゃったと聞いていたな。


 俺はただただ穴を掘るだけのゴーレムの姿を思い出して悲しい顔をする。


『もうすでにリカバリーマシンの『子種』は尽きておる。『子種』の培養にも限度がある。その限度を迎えたということだ』


「それじゃあ、子供ができずに人間は滅んでしまいます!」


 ロミが胸に手を置き悲しい顔で叫ぶ。


「まさか……天外が『子種』を持って……いるの?」


 名探偵二コが犯人を言い当てた。


『そうだ。だが、肝心の『子種』の取り出し方が何代か前のマザーゴットAIが情報にフィルターをかけてしまってわからんのだ。すまぬが調査してほしい』


 やばい!……俺……『子種』の出し方を知っている!


 だけど、「出し方を知ってます!出してみるね」って簡単に出せる物でもないし……。


 困ったぜ!


 俺はニヤニヤして全然困った顔をしないで「困ったぜ!」と心の中で叫んだ。


「なに眉間にシワを寄せて変な顔してるの?天外、『子種』の出し方を知ってるんじゃない?」


 ミクが俺の顔を覗き込む。


「本当!?」


 二コが俺に満面の笑みを浮かべる。


「え!?いや……あの……し、知らないかな!あはは……」


 俺の明らかな同様にロニは「本当に知らないの?」とプレッシャーをかけてくる。


『まぁ、よい。そこであなた達に『子種』の出し方が書いた古代書物『E・R・O本』を探してほしい』


 間違いなくエロ本だ。


「E・R・O本を探せば子種の取り方がわかるのね」


 二コが真面目な顔で変なことを言っているが、異世界では俺のほうが非常識なのだろうと思い、黙って聞くことにする。


『まずは郊外で使わなくなった旧世界の建物『学校』を調査するのよ!』


「がっこう……聞いたことないわね」


 ロミが難しい顔をする。


 わからないことは全て『AIの首輪』が教えてくれるこの世界では『学校』そのものがなくなっていた。


 何はともあれマザーゴットAIから指令を受けた彼女達は目標を『学校』に定め歩みを進める。


「学校で……エロ本探し?」


 あまりピンとこない俺だったが、ともあれ可愛い彼女達と旅ができるのでワクワクしていた。


『世界を頼みます。稀人よ……いえ、勇者天外とその仲間『E・R・Oハンター達』よ!』


 マザーゴットAIになんか変な名前をつけられた!


「E・R・Oハンター……それが私達のミッション」

 

 二コは満足そうに呟く。


 考えることの楽しさ。


 未知への挑戦。


 どれもが彼女達には新しいことだらけだ。


 彼女達の目が輝く!


「円陣を組もう!」


 ロミの提案に全員で輪を作り、中央に手を合わせる。


 二コの掛け声で今、ここに、冒険が……始まった!


「行くよ!E・R・Oハンター……」


『お――!!!!』


 ……大丈夫?


 俺は心の中でつぶやいた。


 <つづく>

 

 

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