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『四つ目の幸せ』非成立。

 あなたのアバターは他のアバターと何が違いますか? 


 顔をタイプ1から10までの間で選んでください。


 髪型をタイプ1から20までの間で選んでください。


 声をタイプ1から15までの間で選んでください。


 胸の大きさを0から100までの値から選んでください。


 決定しますか?


 【はい】【やり直す】


―――――――――――――――――――――――――――――――――



「ここは?」


 目を覚ますとそこは洞窟内だった。


「すみません。あなたが気絶している間に仲間に運んでもらいました」


 二コは頭を深々と下げて謝る。


「お?目を覚ましたか?」


 二コの後ろから二コと同じショートカットの美少女が歩いてくる。


「私の名前はロミ。二コのバングルは金色だが、私は銀色だ。それで見分けてくれ」


 ロミと名乗った美少女は手首に嵌めた銀色のバングルを誇らしげに見せる。


「いや、二人とも美少女だけど顔が全然違うから間違えないよ」


 二コは無表情だけど、ロミは元気溢れるって感じだ。


「え!?バングルの色なしで見分けられるのかい?ちょっと、皆、来て!」


 ロミの呼び掛けに奥から美少女が3人出てきた。


「いいか、左からココ、ミク、ロニだ!二コも混ざって!」


 ココはお淑やかそうな美少女。


 ミクは気の強そうな美少女。


 ロニは優しいお姉さんっぽい美少女だ。


 皆、同じショートカットで、ブラジャーみたいな服とブルマのようなものを履いているが、双子ほど似ていない。

 

 美少女ってのは、同じだけど……。


 5人はその場で数回ぐるぐる回ったあと、一列に整列してバングルを巻いた手首は後ろに隠す。


「ど、どうだ!?」


「左からロミ、ミク、二コ、ココ、ロニかな?」


『――!?』


 全員、驚いた顔をこちらに向ける。


「さすが稀人ね」


「色覚情報以外で私達を見分けるとは……」


 ~AIの発達した世界では見た目はそれほど重視されない。


 人々は番号で管理され、同じ行動、同じ思想、同じ人生を歩む。


 故に争いは起きず、同じ日を何日も、何ヵ月も、何年も、何十年も、何百年も、何千年も過ごしていた~


 二コは金色のバングルを俺に見せながら話した。


「私がこのバングルを見つけたのが五年前。五つの色の違うバングルをつけて、はじめて私達は『個性』を手に入れた」


 ……個性を手に入れた五人はイレギュラー認定され、神国から追われる立場になってしまったらしい。


 ……そこで五人は洞窟内に隠れ住み、作戦会議をしていたところに、俺を発見したという。


「しまったぁ――!!」


 俺は叫んだ!


「どうした!?敵か!?」


 洞窟内に緊張が高まる。


「さっきの名前当てゲームに正解したら、ブラジャーのボタン押させてもらえばよかった――!!」


 俺は、そんなことよりおっぱいが見たかった!


「二コ、こいつは何を言っているのだ?」


 ミクが二コに耳打ちする。


「さぁ?さっきも私のおっぱいを見て興奮していましたが……」


「あなた、おっぱい見たいの?そんなこと考える人間はここにはいないわよ」


 一番大きなおっぱいのロニが腕を組み、おっぱいを強調しながら俺に伝えた。


 ……え?


 ……おっぱいだよ?


 ……18歳の見たいものランキング1位のおっぱいだよ?

 ※天外の独自アンケートです。


「あなた、おもしろいわね。いいわ。この、たくさんの『ナオラナ草』の中から3つ選んでひとつでも回復効果のある『ナオリ草』を見つけたら私達のおっぱいを見せてあげるわ!」


 ミクの提案にココは「勝手に決めないで……別にいいけど」と呟く。


「やる――!!」


 床には草がたくさん置いてあり、回復効果のある『ナオリ草』が混ざっている確率は1/10だそうだ。


 液体を垂らして赤色だと『ナオラナ草』


 液体を垂らして青色だと『ナオリ草』だそうだ。


「じゃあ、この三つだ――!!」


 俺は選びに選び、三つの草を握りしめた!


「まず、ひと~つ!」


 ……液を垂らす!


 ……赤色!残念!ただのナオラナ草!


「ちくしょ――!!」


 俺は叫んだ!


「二つ目……赤色!残念!」


「どちくしょ――!!」


 あまりの悔しがり形に五人はドン引きする。


 ……だが、大丈夫!


 俺は異世界転移した、いわば物語の主人公!


 主人公は最後に必ず勝つ!


 なぜなら、それが主人公だからだ!


「最後!三つ目……赤色!残念!!」


「俺のバカヤロ――!!」


 俺は地面に拳を叩きつけ号泣した!


「なんだ。運はなさそうだな。時間の無駄だったわね。みんな、持ち場に戻ろうぜ」


 期待を裏切った俺に興味をなくし、みんな持ち場に戻っていった。


「うぅぅ……俺は……俺は……大バカヤロウだ」


 地面に座り込み号泣する俺の目の前に美しい足が見えた。


「……そんなに心を痛めたのですか?」


 見上げると、無表情の二コが立っていた。


「俺は……俺は……何のために生きてきたのか」


 涙で情けなくなった顔で二コを見上げる。


「……どうぞ」


 ……ぽろり。


 二コは自ら服をたくしあげ、おっぱいを見せてくれた。


「うおぉぉぉ――!!」


 俺は雄叫びを上げる!


「条件を満たしていないのに、報酬を与える。……最近、自分がわかりません」


 心なしか頬が赤くなったように見えた。


 二コは俺から顔を背ける。


「二コ――!!」


 たまらず俺は二コに飛びかかった!


「触るのはダメです!!」


 瞬時に二コは俺の額にビシッ――!!とチョップを食らわす!


「ぐはっ……だが……脳裏に焼き付けた……」


 バタッ!


 なぜ、私の名前を叫びながら飛びかかってきたのでしょう?


 そんなにおっぱいとは触りたくなるものなの?


「彼の行動が読めない……。彼ならば……きっと……」


 気を失う天外を見届けながら、二コはそそくさとたくしあげた服を元に戻した……。


 <つづく>

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