↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
90/186

第九十話【王都で出会った?西の珍客】

美鈴(メイリン)は学院対抗戦の前に以前の仲間達との約束を果たすため日帰りで王都に出向く事に。


そこで意外な出会いが。


今回が今年最後の投稿となります。


本格的な秋が到来する10月。


学院代表選抜戦の余韻も収まる頃、いよいよかく貴族学院代表同士による対抗戦の開始が近付いていた。


………が、その前に。


「中間試験〜?」


美鈴(メイリン)が気の抜けたような声を出した。


「そう言えば…そんなモノもございましたわね。」

まるで他人事のような物言いだ。


「お嬢様は試験勉強しなくても上位の成績取れるからそんな事言えるんですよ〜。」

愛麗(アイリー)がブツブツ言いながら芽友(ヤーヨウ)と食堂のテーブルに教科書を並べて何度も読み直していた。


「すると…皆さん全員試験勉強の真っ最中でございますの?」


明花(ミンファ)、陰潜(イン・チィェン)の一年生組は言うに及ばず、二年生の多彩蜂(ドゥオ・ツァイファン)までもが試験勉強に勤しんでいた。


「まあ、みんな大変よねえ?」


「お嬢様、少しは我々も勉強致しませんと…。」


「何だか三年生組は余裕そうでございますわね?」


安月夜(アン・ユーイー)と依然(イーラン)の二人はあまり慌てる様子も無かった。


「だって、もう今までの成績からして卒業出来ないなんて事はありませんもの。」


「そうですね…しかしそれよりお嬢様の場合、まだ新たな生徒会役員が決まらず勉強や卒業すら上の空でございますから…。」


「あ…。」


その依然(イーラン)の言葉に美鈴(メイリン)達一年生組と二年生の多彩蜂(ドゥオ・ツァイファン)はギクッとした。


「どうせなら一年生の頃から生徒会に入れておけばそのまま卒業まで…と行けるし、二年生なら生徒会長に抜擢するのに丁度良いわよね、依然(イーラン)?」


「そうでございますね、お嬢様。」


月夜(ユーイー)と依然(イーラン)の二人がフフフと笑う。


ガタッと美鈴(メイリン)が席を立つ。

「わ、私、やはり自分の部屋でちょっとは試験勉強しようかと思いますわ?!」


「そ、そうですね…。」


「確かに自分の部屋の方が集中できますよね…?」


「愛麗(アイリー)、後は一人で頑張って下さいね?!」


「わわ、わっかりましたー!」


「みんな帰るなら私も…。」


「そ、そうだな?じゃ陰潜(イン・チィェン)また明日な!」


みんなゾロゾロと自分達の部屋へも戻ってゆく。


「あ〜ら、皆さんそんなに急がなくても…。」


パラッ。


月夜(ユーイー)の手の平には一枚の紙が。


「もう既に学院長代理に美奈さんを新生徒会役員として申請してありますわよ。」


【【【【【【【エエエエエ?!】】】】】】】


「今年は誰も立候補しないから学院側が強権発動しましたの。」


「あの、お嬢様を恨まないで下さいね?」

「このまま新生徒会が発足しないままだとお嬢様も私も卒業出来ないので本当に困っていたのです。」


「そういう事。」

「だから皆には悪いけど他に適任者もいない事だし…お願い致しますね?」


月夜(ユーイー)と依然(イーラン)から頭を下げられた七人は仕方なく受け入れるしかなかった。


「まあ…私は少し躊躇はありましたけど他に部活動しているワケでも無かったので一応生徒会に入る事も考えてはおりましたし…。」

「ですので、そこまで言われて断る理由はありません。」

白百合のプリンセスこと闘姫(ドウ・ヂェン)は月夜(ユーイー)からのこの無茶ぶりを受け入れる事にした。


「なので皆さん、力をお貸し願えませんか?」


邪気の無い彼女からそう言われたら断る事も出来なかった。


「…仕方…ありませんわね…。」

美鈴(メイリン)がそう言えば、最早反対意見など無かった。


で。


「私が次期生徒会長というのは決定事項なワケ?」


「次期というか、もう今の時点から貴女に決定よ。」


「ウソ〜ん?!」

ムンクの叫びのように顔を両手で挟んだ多彩蜂(ドゥオ・ツァイファン)が叫ぶと、皆が大爆笑した。


……………………。


そんな風に美鈴(メイリン)達がなし崩しに生徒会入りされられ更には中間試験という難関を突破したその先に、ようやく貴族学院対抗戦が始まるのだった。


そして対抗戦を数日後に控えたある日の美鈴(メイリン)の部屋では。


…………。


「愛麗(アイリー)、今回の中間試験はちょっとは成績上がりましたか?」


「ええお嬢様、手応えバッチリです!」


「あれだけ芽友(ヤーヨウ)さんに手伝ってもらったのだから成績上がらないと嘘ですわよね。」


「エヘヘへ…本当、芽友(ヤーヨウ)様々です♪」


「ではお返しにデートにでも誘ってあげてはいかがですか?」


「もうとっくに約束してます!」


「そ、そうですの…。」

愛麗(アイリー)がかなり積極的なので面食らう美鈴(メイリン)だった。


そして。


(あ、愛麗(アイリー)は彼女との仲が進展してるようですわね…。)


彼女なりにヤキモキしてるようだ。

明らかに美鈴(メイリン)は焦りを感じてる。


(こ、これは私もノンビリしていては主人としての面子に関わるのでは…?)


と、ここでハッと気が付く美鈴(メイリン)。


(…て、何を考えてますの私は?)


(危ない危ない、危うく女の子同士でくっつこうなんて考えてしまうトコロでしたわ!)


いや、この世界では女しかいないからか女の子同士か普通に結婚してるんだが…。


「あ、そうでした!」

ポン、と手を叩く愛麗(アイリー)。


「今回は試験明けという事もあり久々に皆で王都へ羽根を伸ばして来よう、という話しになりまして。」


「あら、二人だけのデートじゃありませんでしたの?」


「何言ってるんですかお嬢様?」

「以前王都に出掛けて時の約束、まさかお忘れになられたとか…?」


「…はて…以前の約束とは、何でしたかしら?」


この美鈴(メイリン)の反応に愛麗はプンスカした。


「もーう、私達にお揃いのプレゼント買ってくれるっていってくれてたじゃないですか!」


「お揃い…………。」


「…………、…あ。」


(そ、そ~言えばそーでしたわあ〜?!)


【以前、王都にある月夜(ユーイー)の実家に招かれた時にそんな事もあったな。】


【確か美鈴(メイリン)と明花(ミンファ)が色違いでお揃いのハリセンを買ったらみんなから羨ましがられたっていう…。】


(み、みなまでおっしゃられないで名尾(ナビ)君?!)


美鈴(メイリン)が真っ赤な顔して両手をブンブン振り回しながら恥じらっている。


【うんうん、とても前世では男だったと思え無いくらいに見事な女性っぷりだ。】


(ぜ、前世の部分だけは余計ですわ!)


まあ、少なくとも俺以外の目から見れば充分女性として見えるだろうな…等と余計な一言は本人の耳には入れないでおこう、そう思う俺だった。


「お…思い出されましたか、お嬢様?」


「え、ええ…あれは一時の気の迷いでしたわ…。」


「…何かおっしゃいましたか?」


「コホン、空耳でしてよ愛麗(アイリー)?」


(とは言え、やはりここは同行しないと後々面倒になりそうですわね…)


「…ん?」


「どうなさいましたかお嬢様?」


「あの…愛麗(アイリー)達のデートに同行するという事は…私も誰かとデートする、という事になりますの?」


「当然じゃありませんか?今回はその意味で范(ファン)先生には仕方なく諦めてもらいましたけど。」


「あ…後が怖そうですわ、それ…。」


「で、私は果たして誰とゆけばよろしくて?」


「決まってるじゃありませんかあ?!」


何を今更、と愛麗(アイリー)が大袈裟に驚く。


「明花(ミンファ)様と闘姫(ドウ・ヂェン)様がお嬢様のデートのお相手にございます。」


「ああ、そうでしたの?」

「心配しましたわ、明花(ミンファ)さん一人だけだとそのままくっつけられてしまいそうでしたから…」


「…じゃ、なくて!」


「わ、私だけデートの相手が…ふ、二人もお?!」


これには俺も驚いたな。


「私達も正直困惑したんですけど…。」


愛麗(アイリー)が言うには、どうも明花(ミンファ)と闘姫(ドウ・ヂェン)のどちらかだけを美鈴(メイリン)のデート相手に決めてしまうとドッチにしても角が立つらしい。


「なので、それならばいっそ美鈴(メイリン)お嬢様に二人とも相手してもらえば取り敢えず問題解決、となるのですよコレが。」


「いえいえ…それ問題解決どころか先延ばしなのでは?」


「そう思うなら、お嬢様が早くどっちか一人を選らんじゃえば済む事でございますよ。」


「まあどっちにしろ私はお嬢様に選んでいただけないのですけど…クスン。」


「アンタには芽友(ヤーヨウ)さんがいらっしゃるじゃありせんかーっ!?」

すかさず美鈴(メイリン)が明花(ミンファ)とお揃いのハリセンで愛麗(アイリー)の頭をスパァン!と叩くのだった。



ふとそのハリセンを見つめる美鈴(メイリン)。


(これが…明花(ミンファ)さんと私の初めてのお揃い…。)


「?お嬢様ぁ、頬が赤いですよ?」


「ん?んなワケありませんわっ!」


すかさず否定する美鈴(メイリン)だった。


かくして翌日早朝、お馴染みのメンバーで王都へ出掛ける事に。


今回は范(ファン)先生の代わりに姫(ドウ・ヂェン)が美鈴(メイリン)、明花(ミンファ)の二人に同行することに。


そして多彩蜂(ドゥオ・ツァイファン)と陰潜(イン・チィェン)も今回から美鈴(メイリン)一行の仲間に加わる事に。


多彩蜂(ドゥオ・ツァイファン)は新血脈同盟のメンバーの疑いが残っていたのだが、それは安月夜(アン・ユーイー)が直々に本人の口から確認をしたところ、否定された。


今回は安月夜(アン・ユーイー)の実家への招待では無い為、前日彼女の実家から回して貰った馬車を使っての日帰りとなる。


かくして総勢九名、3台もの馬車によるお出掛け大移動となるのだった。


そして馬車に乗り込む前に美鈴(メイリン)がこんな一言を。


「皆さん、前回の二の鉄を踏まないように食欲はセーブ致しますわよ。」


と美鈴(メイリン)が言うと。


「皆さんは前に王都に出た時何かあったのですか?」


何気ない闘姫(ドウ・ヂェン)からの問いに皆は苦笑いしていた。


先頭の馬車には美鈴(メイリン)、明花(ミンファ)、闘姫(ドウ・ヂェン)。


真ん中の馬車には安月夜(アン・ユーイー)と依然(イーラン)、


一番後方の馬車には愛麗(アイリー)、芽友(ヤーヨウ)、多彩蜂(ドゥオ・ツァイファン)、陰潜(イン・チィェン)が乗った。


朝早く出発したので午前中には目的の買い物を済ませ、全員でお昼を食堂で食べてからゆっくりと帰路に着く事が出来た。


王都の門の手前に付けてある馬車までやって来たメンバー達。


「コレで皆さん文句はございませんわよね?」


皆がそれぞれ思い思いにお揃いの品を美鈴(メイリン)に買って貰えたのでホクホク顔だ。


「いやあ、流石は代表選抜戦優勝者の美鈴(メイリン)だね!よっ、太っ腹!」

多彩蜂(ドゥオ・ツァイファン)も陰潜(イン・チィェン)とお揃いのリストバンドを買って貰えてご機嫌だ。


(てゆーか、本来なら優勝者の私こそお祝いしてもらう方じゃありませんの?)


【………気が付くのが遅い!】


(そ、その通りですわね…。)


「美鈴(メイリン)さん、今日はありがとうございます。」


闘姫(ドウ・ヂェン)は美鈴(メイリン)とお揃いのティーカップを買って貰えて嬉しそうだった。


「あ、私もありがとうございますね?」


明花(ミンファ)もまた美鈴(メイリン)とお揃いでティーカップを買って貰えた。


つまり三人でお揃いとなるわけだが…まあ本人達が納得してるならいいか。


一方で月夜(ユーイー)と依然(イーラン)は美鈴(メイリン)に「私達はいいわ。」と辞退した。


おかげで美鈴(メイリン)の財布は何とか持ちそうだ。


(ヤレヤレ…どうにか今月のやりくりは出来そうですわね…。)


幾ら高名な貴族とはいえ小遣いに関しては厳しくキッチリしているのが美鈴(メイリン)の実家だった。


「それでは皆さん、お帰りに…。」


『どあーっ?!』


いきなり後ろから声をかけられて振り返る美鈴(メイリン)。


「どなたですの、騒々しい…。」


「あ。」


「どわーっ、ですわあー?!」

今度は美鈴(メイリン)の方が騒々しい声を上げた。


「あ、あな、貴女は…炎龍(イェンロン)?!」


「そそ、そういうテメエこそ、疾風の美鈴(メイリン)やないかー?!」


互いに指差しあう美鈴(メイリン)と炎龍(イェンロン)。


………………。



「私達だけ先に帰って良かったんでしょうか?」


明花(ミンファ)が心配そうに王都の方を振り返る。


既に彼女らを乗せた馬車は郊外の帰路に付いていた。


「なんでも中等部の代表戦でライバル同士だったと言われてましたので…積もるお話しでもあるのでしょう…。」


闘姫(ドウ・ヂェン)はライバル同士という関係に水を差してはいけない、と一人納得していた。


……………。



「…それで、西の貴女が何用で中央の王都にいらしてるのでございましょうか?」


「なあに、ここはついでに見物がてら寄ったまでや。」


「ついで?」


「ああ、ウチの…西の代表がこの中央貴族学院代表ともうすぐ対戦が決まったさかいな。」


「はあ…中央貴族学院代表と…。」


(て?それって私の事じゃございませんの?)


「ち、ちなみに貴女の…西の代表のお方はどちらに?」


「せや、その先輩やけどな…何時の間にかはぐれてしまったんや!」


「つまり迷子さんでございますか?」


「…一応文武両道で西の貴族学院では最強戦士なんやけど…とんでもない方向オンチでなあ…。」


「せやから、可愛がってもろうとったワイが付き添いに選ばれたんやけど…ホンマにあの人、どこ行きはったんや?」


「その人が代表という事は、つまり炎龍(イェンロン)は代表に選ばれなかったんですのね?」


その美鈴(メイリン)からの何気ない言葉の刃にズキッ!と炎龍(イェンロン)の胸が傷んだ。


「し…仕方無かったんや!ウチは代表選抜は一年生は絶対出場出来へんっちゅう考え方で凝り固まってるさかい…ワイかてホンマは選抜戦に出たかったんやけど上下関係が厳し過ぎてなあ…。」


「お気の毒でございますわ。」


「せやかてそういう美鈴(メイリン)もまだ出場出来へんのやろ?!」


「え?えと…。」

炎龍(イェンロン)が気の毒で言うに言えない美鈴(メイリン)だった。


「さっさと話しいや、中央学院の今年の代表はどんなヤツなんや?」


ワクワクしながら聞いてくる炎龍(イェンロン)。


「あ、そ、それは…えーとお…。」


(貴女の目の前にいますわよ!)


とは言え無い美鈴(メイリン)だった。


「そ、それより貴女はその代表の先輩をお探しで葉ありませんでして?」


「あ、せやった!」


「ほんならなー、またなー!」

また騒々しく去っていく炎龍(イェンロン)だった。


「…さて、私もそろそろ皆さんを追いかけると致しましょうかしら?」


ドピュン!


土煙を上げて美鈴(メイリン)は猛スピードで王都から出て行くのだった。


………………。



ガサゴソ…。


「………依然(イーラン)、何かブランケットがモゾモゾ動いてるような気がするのだけど気の所為かしら?」 


月夜(ユーイー)が馬車の中で対面の空席を見てボソッと呟いた。


「奇遇ですねお嬢様、今私もそう思ったばかりでございます。」


二人がその対面の席のブランケットを注視していると…。


ガバッ!


「ぷはぁ~っ!」


何とブランケットからは一人の女学院生が現れた。


「貴女は何者です?いつの間にこの馬車に?」

依然(イーラン)が月夜(ユーイー)の前に立ち警戒する。


「ふあ〜あ…よう寝たわあ…て、アレ?ここドコやろか?」


「…お姉さん達、ドコのお方?」


「「それは私達が聞きたいのですが?!」」

依然(イーラン)と月夜(ユーイー)の声がハモった。

果たして依然(イーラン)と月夜(ユーイー)の目の前に現れたのは?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。