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第八十六話【サラマンダーの群れVSメイリンと白百合のプリンセス】

サラマンダーの群れとの交戦状態に陥った美鈴メイリンと白百合のプリンセス。


だけどコレはむしろ美鈴メイリンの望み通りの展開。


そして前菜が終わった二人の前に、いよいよメインディッシュが現れるのでした…。


四方八方から飛び掛かるサラマンダーの群れ。  


其の一体当たりの大きさは全高1メートル、全長7 メートルといったところか。

 

それだけでもかなりのオオトカゲなんだがソイツらは更に身体から高熱火炎を発光させながら数十体で一気に跳び上がり上から襲いかかってきた。


鈍重そうな見た目と違い、瞬発的なパワーとスピードはかなりありそうだ。


そしてその上から襲いかかるサラマンダーの群れは、二人にとってさながら打ち上げ花火がまるで自分達に降って来そうに思える光景にでも似て見えただろうか?  


二人は半ば呆然とするかのように見上げて眺めるのだった。


いや、白百合のプリンセスの世界にはまだ打ち上げ花火を観て楽しむという風習は無かったはずだから彼女の目にどのように映ったかはわからないが。


まだ夜明け前の夜空である彼女らの頭上がサラマンダー達の発光する高熱火炎によって明るく照らされた。


ソレに特に驚く事もなく、むしろ二人は幻想的な光景でも眺めるかのようにそれを見上げていた。

 

そこからサラマンダー達が急降下してくるまでの時間は三秒も経たなかっただろうか。


ズダダダダーンッ!!!


雨アラレ、等の表現では生易しいくらいの衝撃が二人の頭上で轟いた。


サラマンダー達による体当たり攻撃は二人の展開した結界、つまりバリアシールドによってその尽くが弾かれたのだ。


地上に落下したサラマンダー達は回復したモノから美鈴メイリンと白百合のプリンセス目掛けて尚も飛び掛かる。


しかし結果は同じ。


「しつっこいトカゲ達ですわね。」


「全くです、学習能力が低いのでしょう。」


暫くはこの光景が続くもやはりサラマンダー達は弾かれ続ける。


やがて飛びかかれなくなって来た個体が増えたのもあるが、彼らもやっと学習してきたのか飛び掛かってくる数は減っていった。


「そろそろ、頃合いですわよね?」


「そうですね…少しは彼らに痛い目を見せた方が良いでしょう。」


スチャ…。


スラリ…。


美鈴メイリンがダガーを、そして白百合のプリンセスがレイピアをそれぞれ構える。


そして二人の足元に光の粒子が集まってゆく。


僅かに二人の身体が宙に浮いた。


次には二人を覆う結界が消える。


「いざっ!」


「ハアアーッ!」


二人がサラマンダーの群れへと襲いかかる。


「突風の刃!」


美鈴メイリンのダガーを光る風が纏い、刀身の伸びた剣となる。


ドバッ!


ドカッ!


彼女はサラマンダーを目にも止まらぬ剣速で薙ぎ倒していく。


だがサラマンダー達の身体に切り傷は無く、その風圧と衝撃により吹っ飛ばされてるようだった。


どうもこの「突風の刃」とやらは切断力は抑えて剣速と風圧による打撃力、衝撃波が持ち味らしい。

 

斬ったはいいものの相手から血が流れ出ては戦闘不能になりかねない美鈴メイリンならではの魔法と戦法だな。


サラマンダー達はただ吹っ飛ばされるだけではなくその打撃力によるダメージ、そして炎が風に掻き消されるが如く彼らの身体から発する高熱火炎もまたその突風に吹き消された。


火山の地熱と身体の芯からの熱のおかげで完全に体の火が消されたワケではないものの、かなりの消耗を強いられた個体からサラマンダー達は弱々しく引き上げていった。


対する白百合のプリンセスはというと。


「ハッ、ハアッ、ハアアーッ!」


ズドドドドーン!!!


サラマンダーの炎へ光のつぶてを浴びせて真っ向勝負を挑んでいた。


如何にサラマンダーの身体が高熱火炎に包まれていようとそれを上回る高エネルギーの光弾を撃ち込まれてはどうしょうもない。


光弾を受けたサラマンダーは身体から煙がたなびき悲鳴を上げて逃げる。


更に怯んだサラマンダー達を光を纏わせたレイピアで威嚇、時には突き刺す。


シュピッ、シュパッ!


ドスッ、ズボッ!


持ち前の身軽さと俊敏さを活かしヒット・アンド・アウェイで攻撃してくる白百合のプリンセスに完全に翻弄されるサラマンダー達は続々撤退するしかなかった。


こうして二人が反撃に動き出してからものの三分と待たず勝敗は決した。


後には数体の動けなくなったサラマンダーが残るのみとなった。


「あらもうオシマイですの?」


「そうですね、まあ私達の二人がかりともなればこんなモノでしょう。」



残されたサラマンダー達は動けなくなったものの、そのほとんどがまだピクピクしていた。


「あら刺し傷がありますが…血が出ておりませんわね?」


「これらは火炎生物、血流の代わりに炎が体内を駆け巡るので傷口からは僅かに火が出るのみです。」


「其の傷口も直ぐ塞がる事でしょう。」


「ホントですわね…。」


美鈴メイリンの眼の前のサラマンダーは見る見る内に傷口が塞がり、ヨタヨタと歩いて仲間の群れの去った方へと逃げていった。


他の数体も傷口が塞がったりダメージが減ったりしたのだろう、後を追うように去っていく。


「う〜ん、修業のつもりでしたのにこれでは正直物足りませんわあ〜。」


「な、何を言われるんです?」

「それでなくてもここは危険な活火山なんですよ?噴火が始まる前にサッサと立ち去りましょう!」


そうだプリンセス、早くその脳筋馬鹿令嬢を連れてそこから…。


グ…。


グ…グォ…。


何やら低い声を聴いたような気がした…?


それは美鈴メイリンと白百合のプリンセスにも聴こえたようで。


「あら、まだ大物が隠れてらしたのね?」


「…呑気に言ってる場合ですか?」


美鈴メイリンが本当に呑気そうに言うので白百合のプリンセスは呆れてしまった。 


ガラガラガラ…。


火山の岩盤の一部が突然崩れた。


ゴロゴロッ!


「ヤアッ!」


ズガアン!



「ハアアア~ッ!」


シュパパパパッ!


…パラパラ…パラパラッ…。


美鈴メイリンが転がって来る一部の岩を素手で粉砕する。


念の為か拳には風魔法と凍結魔法の魔力を纏わせて保護していた。


白百合のプリンセスも負けじと光りに包まれたレイピアで細切れにする。


「おや、岩の砕けた跡が洞窟に?」


「…警戒して下さい、何かが居るようです…!」


「差し詰め先ほどの声の主ですわね…!」


洞窟そのものの高さは約3〜5メートルといったところか。


その洞窟の上の岩盤が更に崩れ、迫ってくる多数の岩を今度は左右に別れ、跳んで避ける美鈴メイリンと白百合のプリンセス。


「うわあ…今度は洞窟の高さは10メートルくらいはありそうですわね…。」


「もうこれ以上高くなるのは勘弁して欲しいです…。」


洞窟の高さイコールその奥から来るモンスターと大きさと想像すれば確かにそうだな…。


洞窟の暗闇からノッシ、ノッシと頭を洞窟の天井に擦り付けながら現れたのは、やはりサラマンダーだった。


洞窟から出たのは上半身?だけらしいがそれでもその半身だけでおよそ長さ50メートルにも及んだ。


洞窟に隠れている部分も含めた全長なら100メートルに達しそうだ。


「プリンセスさん、大魔王の身体って何メートルくらいございましたの?」


「多分これよりは小さかったかと(全長と比較すれば)…。」


それを聞いた美鈴メイリンの瞳がキランと光った。


「ならあのくらい相手に出来なければ大魔王の前に立ちはだかる資格なんてあり得ませんわね?」


「…!あ、貴女…何を…?」


「いえ、ちょっと彼…それとも彼女?にちょいとお話ししてみようかと…。」


美鈴メイリンがフラフラと眼の前の巨大サラマンダーに向かって歩いて行く。


それを慌てて追いかける白百合のプリンセス。


すると美鈴メイリンは突然立ち止まりお辞儀した。


「はじめまして、私は美鈴メイリンと申します。」


「この度は突然の訪問並びにアナタのお仲間とのイザコザをお許しくださいませ。」


巨大サラマンダーは人間の言葉がわかるのか、黙って静止している。


「実は私がこの地を訪れましたのは修業の一環でございますわ。」


「強い者との腕試し、そのお相手を探しておりましたの。」


美鈴メイリンが顔を上げた。


「そこで、大変失礼ながら貴方様にその手合わせのお相手をお願い致したいのですが、よろしいでございますか?」


そのまま暫く膠着状態が続いた。


「め、美鈴メイリンさん?やはりもう帰りましょう。」

白百合のプリンセスが美鈴メイリンの肩に手をかけたその瞬間。


突如巨大サラマンダーがダッシュして詰め寄ってきた。


咄嗟に飛び退く美鈴メイリンと白百合のプリンセス。


ガラガラガラと巨岩を落下させながら洞窟からその全容を表したサラマンダーのその巨体。


以外に尾が短かったので全長100メートルとはいかなくとも80メートルには達していそうだ。


そして体表を覆う外皮も岩盤そのものと言える威容で見るからに硬くて分厚そうだ。


その外皮の隙間のヒビに見えるような部分からはマグマの如き赤い火が見て取れた。


更に高熱を発散するが如く全身から火炎が立ち上っていた。


巨大サラマンダーの足元はかなり硬い岩盤だが、それでもソイツが一歩踏み締める度にその足元が幾らか沈み、ヒビも見られる。


「これは…かなりの期待大!ですわね♪」


「喜ばないで下さい!」


白百合のプリンセスもさっきまで相手をしていた小物のサラマンダーの時はまだ余裕があったものの、さすがにこんなデカブツが相手ではやや厳しいのか。


(せめて…元の仮面の剣豪としての力が存分に発揮出来れば…!)


確かにフレイムドラゴンを圧倒した仮面の剣豪の力

(まあその時はパワー自慢の「電光烈火」だったのもあるが)があればこの巨大サラマンダーにも勝てるかも知れない。


でもその仮面の剣豪本来の力を今の白百合のプリンセスでは発揮出来ない。


前世の元の能力よりは底上げされているのは確かだが。


そして聖霊の仮面を忘れて来てしまった美鈴メイリンも当然ながら仮面の剣豪にはなれない。


「どうやら向こうもその気になられたご様子…。」


「つまり、私と手合わせして下さるつもりなのですわ!」


喜々として叫ぶ美鈴メイリンは本当に嬉しそうだ。


「私に任せておいて下さいな!」


「あ、美鈴メイリンさん?!」


白百合のプリンセスは巨大サラマンダーの前に飛び出していく美鈴メイリンを追いかけた。


この想像以上の巨大モンスターを果たして美鈴メイリンと白百合のプリンセスは抑え込めるのか?

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