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慈悲深い仮面の剣豪は、実は血を見るのが苦手な中華風TS美少女です!  作者: 長紀歩生武
第三章【学院代表選抜戦・一年生編】
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第八十一話【迫り来る【X】の猛攻】

【X】に負けそうになった美鈴メイリン


この状況からに如何に脱出するのか?


美鈴メイリン鳩尾みぞおちに【X】の槍が突き立てられた。


「…うっ、嘘…泣きでしたの…?」


「こ…このおっ…(怒)!」


美鈴メイリンが【X】を怒りの形相で睨み付ける。


「さーてね?…でも、もう遅い…!」


そう。


後は【X】が渾身の力を込めて貫きさえすれば勝敗は決するのだから。


「さあ、もう終わりよ!」

 

【X】が己の勝利を確信して槍を持つ手に力を込めた、そして…!


「いやあアア〜っ!!」


【X】が槍を突き入れた!


「イヤーッ!!美鈴メイリンさーん?!」

明花ミンファが悲痛な表情で胸元を両手で押さえながら叫んだ。


「お嬢様っ?!」


美鈴メイリン様っ?!」


一緒に観戦していた愛麗アイリー芽友ヤーヨウも心配そうに叫んだ。


【X】に押し出された槍に吹っ飛ばされる美鈴メイリンの身体。


美鈴メイリンは背中から地面に落下し一回転した。

 

『ああーっ?これは【X】の勝利でもう決まりかあーっ?』


多彩蜂ドゥオ・ツァイファンの実況が会場に響く。

 

一方の解説席では。


『フッ…、ウフフ…。』


『ど、どう思われましたか解説の依然イーランさん?』


『いえ…中々の役者だな、と思いまして。』


『役者?どちらがですか?』


『ソレは勿論…。』


実況と解説の会話が続く中、美鈴メイリンの指がピクッと動いた。


そして、ユラリと立ち上がる。

 

美鈴メイリンさんの方が中々の名優って事ですよ。』

依然イーランは満足そうに解説した。


『た、確かに美鈴メイリン選手は無事のようです、何よりです。』


『しかし【X】さんに防御アミュレットを壊されてしまっては…』


多彩蜂ドゥオ・ツァイファンがそう言いかけた時、美鈴メイリンは制服の胸元を開いた。


すると。


「な…何ですって?」


【X】は動揺した。


確かに自分は美鈴メイリンの鳩尾のアミュレットを貫いたハズだった。 


そのはずだった…。


が。


「あ〜あ、これせっかく気に入ってましたのにぃ。」


美鈴メイリンの視線を辿ると、そこには大きな石の装飾が施されたネクタイピンがあった。


そしてそのネクタイピンの装飾石に槍で突かれた跡と亀裂が入っていた。

 

「ネ…ネ、ネクタイピン〜?!」

思わず【X】は呆れ声を口にした。


そらそうだ、絶好のチャンスに繰り出した攻撃のハズがまさかのネクタイピンに当たっていたとは。


『おおっと?どうやら【X】選手の槍は防御アミュレットより先にネクタイピンの装飾を打ち抜いてたようです?』


そして。


ジャラ…。


「まあ、おかげでコイツは助かりましたけど?」


美鈴メイリンは無傷のままの防御アミュレットをカッターシャツの胸元を開けて取り出してみせた。


これがワザとアミュレットの防護のためにしていたなら反則も疑われるが大切な品みたいなのでまさかそんな事に使わないだろう。

 

現にネクタイピンはお腹に隠れる位置につけられていたが、動いてる内に上へネクタイがせり上がってしまい鳩尾のアミュレットと位置が重なったようだ。


(まあ、他にも手はありましたけど…)


(何だかネクタイピンの方が勝手に槍に向かってせり上がっていったような気がしますの…。)


何だそりゃ?


と、ここで美鈴メイリンが防御アミュレットを取り出して見せる為に胸元をはだけた事に解説席と実況席の二人は盛り上がっていた。


『だ、大胆ですね…美鈴メイリンさん…!』

依然イーラン美鈴メイリンのはだけた胸元に赤面した。


『ほ〜う、これはこれはぁ…♪』

『…じゃ、なかった!』

つい自分の趣味に走りそうになった多彩蜂ドゥオ・ツァイファンは慌てて取り繕う事にした。


『コホン!…【X】選手、美鈴メイリン選手の油断を突いた渾身の一撃でしたが惜しくも砕かれたのはネクタイピンだけのようです!』 


「…えと、ま、つまりはそーゆう事ですわ。」

再び狙われないように防御アミュレットを胸元に仕舞い込む美鈴メイリン


そして今度は歯軋りする【X】に対し軽蔑の眼差しを向けるのだった。


「さて【X】さん…貴女がどのような策を取ろうともそれも貴女の実力ならば仕方がないと私は思っておりました…。」


「…しかし!」


ビシュッ!と美鈴メイリンは【X】に霊斬剣の切っ先を向けた。


「先程のは流石に卑怯なやり方!」


「よってこの私めが貴女のその歪んだ根性を叩きのめして差し上げますわ!」


美鈴メイリンの瞳にメラメラと闘志の炎が宿っていた。


対する【X】は最初の炎の如き闘志は失せ、冷たい視線を美鈴メイリンへと向けた。


「はん?あんなのに引っかかる方が悪いでしょ?」


「そんな甘ちゃんのお嬢様に実戦というものを教えて差し上げようかしら…?」


…今度は立場というか、気持ちの部分が入れ替わった格好になる美鈴メイリンと【X】だった。


観客達の声援も美鈴メイリンの方を応援する声でいっぱいになり、【X】を応援していたにわかファン達もかなりの数が美鈴メイリン側に寝返ったらしい。


(ちぇっ…所詮はミーハーなファンだったか…。)

【X】は少し面白くなさそうだ。


ともかく、今は美鈴メイリンの方が熱血主人公で【X】こそが悪どい敵役という構図が成り立っていた。


………う〜ん、やはりこの方が本来正しい構図なんだろうけど…。


「さーて、どの技で痛め付けてやろうかしら?」

ウキウキしてる美鈴メイリンを見てると、

やっぱりコイツの方が悪役じみて見えてしまうのは何故だろう?


…というか、美鈴メイリンのヤツ本当に怒ってないか?


(このネクタイピンの代償…高くつく事を思い知りなさい【X】さん!)


あのネクタイピン、余程気に入ってたようだけど…誰かからの贈り物とかなんかな?


と、当然ここで美鈴メイリンの方から仕掛けると思いきや何と仕掛けたのは【X】の方だった。


「喰らえ〜っ!!」


【X】がビュンビュン!と槍を離れた位置から突き出す。


「…何をなさってるのかしら?」


美鈴メイリンがポケ〜ッとそれを見ている。


…と、


(?!)


美鈴メイリンが突然動き出した。


それも攻撃に転じる、というよりはジグザグに動いて何かを避けてるように見える…が。


ザワザワ…。


「お嬢様、美鈴メイリン様は一体どうされたのでしょう?」


「さあ…、まるで攻撃を避けてるようにも見えますけど…。」


「でも、どんな攻撃が?それもどこから来てるんでしょうね?」


不思議なのは芽友ヤーヨウ明花ミンファ愛麗アイリーの三人だけではない。


「オイオイ、美鈴メイリン何やってんの?」


「意味不明。」

 

「何の動き?フェイント…にしても変な動きだし…。」


観客席からも誰の目にも美鈴メイリンの動きは奇異に見えた。


『な、何だ?美鈴メイリン選手が突然妙な動きを始めました…!』


『…どうしたのでしょうね、依然イーランさん?』


『…わかりません、そうなのですか?』


『…いえ、聞いた私がバカでした…。』


『クスッ、冗談です。』


『あ?あのですねえ〜!』


『まあ、そのうち見てればわかりますよ。』

美鈴メイリンさんのあの動きの意味がね。』『フフフ…。』

依然イーランは含みを持たせて笑った。


だが美鈴メイリンの動きの意味がほとんどの観客達にはわからない。


そんな観客席の一人からこんな言葉が聞こえた。

「あんなに離れた場所にいる【X】の槍でも避けてるつもり?」


………まさか?


………いや、そうか、それなら理解できる…!


それが証拠に。


「…ふっ、槍をここまで飛ばすとは中々やりますわね…?」


避けながら語る美鈴メイリンの言葉がそれを裏付けていた。


【なあ美鈴メイリン、【X】は何か攻撃仕掛けてるのか?周りからは向こうからの攻撃が一切見えないんだが…。】


(そりゃそうですわ、向こうは目には見えない「気」の槍を飛ばしてるのですから。)


【気?】


(実体化させなければ常人には見えない槍の気…しかし見えなくとも私にはその気配がビンビンに伝わって来てますのよ!)


【な、なるほど…。】


(しかし向こうもこの程度の攻撃で私を仕留められるとは思わないハズ…。)


(おそらく次の一手へと繋げる何らかの布石では無いかと思われますが…。)


【その次の一手がまだ読めない…とか?】


(悔しいけどその通りですわ!)


これまで美鈴メイリンの方が攻める側だったこの戦い…今度は一変して【X】の攻撃ターンになったようだ。


【X】は攻めなかったワケじゃない、カウンター魔法狙いかも知れないが意図して相手に攻めさせる戦法を取っていただけに過ぎない。


それが何故攻める側に回ったのか…?


謎だ!



……………。



(じょ、冗談じゃないわ!)


(向こうに攻めさせた結果、あんな怪物みたいな魔法攻撃されてたら、こっちの生命が幾つあっても足りやしないじゃないっ!!)


………あ、なるほど、そ~言う事ね。


【X】は最初に美鈴メイリンの使った風魔法の巨大な風の刃の大群に襲われた事がトラウマになってるらしい。


美鈴メイリンにはこの【X】の声が聴こえてるワケじゃない。


だからアイツは気付いてないだろうけど、【X】のヤツ、別に策を弄して攻撃を仕掛けたワケじゃないのかも知れないな。


「攻撃は最大の防御なり」とか言ったアスリートが昔いたそうだけど、正にそれを実行してるのかも知れないな【X】は。


…もしかすると、この【X】の行動方針の転換がこの勝負の勝敗の分け目となるかも知れない、オレはそう思った。


「破あああ〜〜っ!!」

今度は美鈴メイリンが反撃に出た。


…と、言うより【X】の見えない攻撃を霊斬剣で迎撃

し始めた。


「相手が「気」の塊ならば、霊斬剣の得意分野でしてよ!」


キン!キンキンキン、キイン!


美鈴メイリンが霊斬剣を振り回すと、その刃に触れた【X】の放った槍の「気」が反応し火花が飛んだ。


そしてことごとく【X】の攻撃を叩いて砕く美鈴メイリン


「見て、アレ!」


「…どうも美鈴メイリンちゃんが何かを打ち落としてるみたいね?」


「…て事は、まさか【X】ちゃんったら見えない攻撃でも仕掛けてたの?」


ザワつく観客席。


流石に観客達も気が付き始めたようだな。


「ハア、ハアハア…。」


息の上がった【X】が一旦攻撃を止める。


「あら、もうオシマイですの?」


その時、時間差で美鈴メイリンの背後から【X】の攻撃が襲ったらしい。


ガキン!


だがそれを振り返りもせず、当然の如く打ち落として防ぐ美鈴メイリンだった。


「…チッ…!」

舌打ちする【X】。


「休んでるようなら…」

「こちらから参りますわよ?」


その言葉にビクッ、と反応する【X】。


そして。


「うわあああ〜っ?!」

【X】が絶叫しながら槍を振り回す。  


おっ?その槍の先には魔力のエネルギーが纏わりついてるような…?


「!」


すかさず美鈴メイリンが何かを避けた。


と、彼女の後方の観客席手前の壁で「ドォォン!」

と残響が響いた。


「今のは…!」


チラチラと後方を気にする美鈴メイリン


【大丈夫だ、ちゃんと防御シールドが受けて止めて観客席に被害は無い。】


美鈴メイリンはオレの言葉に安心すると、再び【X】を睨み付ける。


「そんな怖い顔しないでよ、ちゃんと防御されたでしょ?」


(まさか…今の攻撃は…?)


美鈴メイリンが先程の攻撃に思いを馳せる頃、同時にその攻撃を見て表情を険しくする人物がもう一人いた。


『あれは…私に向け撃ったあの時の…!』

依然イーランはあの技に見覚えがあった。


『…多彩蜂ドゥオ・ツァイファンさん、私の解説はここまでです。』


ガタッと席を立ち観客席最前列へと走って行く依然イーラン


『ちょ、ちょっと依然イーランさん?』

多彩蜂ドゥオ・ツァイファンが止めるまもなく依然イーランは観客席前の壁を確認し始めた。


「一体どうしちゃったのかねえ?」


不思議に思う多彩蜂ドゥオ・ツァイファンであった。


そしてその技を放った張本人は。


「さあ…て、これからが本番よ。」 


チャッ…と再び槍を構え、槍の先へと魔力を溜め込む【X】。


「面白いですわ…!」

対する美鈴メイリンもまた、霊斬剣の周囲に風魔法を纏わせ始めた。


ともに相手に対して不敵な笑みを向け合う美鈴メイリンと【X】であった。


「「絶対に…勝つ!」」


その緊張はMAXに達しようとしていた。


まだこの戦いは終わりそうにありません。


果たして、勝者はどちらか…?


今度こそポカするなよ、美鈴メイリン

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