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慈悲深い仮面の剣豪は、実は血を見るのが苦手な中華風TS美少女です!  作者: 長紀歩生武
第三章【学院代表選抜戦・一年生編】
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第七十八話【【X】のある朝の一幕…ゴシップは止まらない!】

決勝戦前の休日をノンビリ過ごす美鈴メイリン達ですが、【X】の周囲がある人物により騒がしくなったせいで…?


四大部門決勝戦、つまり事実上の学院代表が決定する大事な試合が翌日までの延期となったその日。


闘姫ドウ・ヂェン美鈴メイリンにとっての最後の調整を兼ねて軽く剣で打ち合っていた。


今更特別な事などしない。


互いの持つ基本と応用の応酬で動きのブレや正確さを確認したのだ。


それも1時間と立たずに切り上げそれぞれ自室の浴室に戻ると軽く汗と汚れを洗い落として着替えた。


「まだお昼には早過ぎますわね…。」


「お嬢様、ここはブランチと洒落込みませんか?」


愛麗アイリーが買い置きのクッキーを皿に並べて紅茶を持って来た。


「いただきますわ。」


コンコン。


「失礼します。」


愛麗アイリーがドアを開けると。


「あ、闘姫ドウ・ヂェン様。」


「お邪魔します。」

「私達もいいですか?」


闘姫ドウ・ヂェンの後ろには明花ミンファ芽友ヤーヨウもいた。


「おや明花ミンファ様、それに芽友ヤーヨウまで?」


「たまたまこの部屋に来る途中で一緒になったのです。」


「皆さん、お入りになって下さいな。」

部屋の主たる美鈴メイリンが快く招き入れてくれたので三人は気分良く美鈴メイリンの部屋へと入った。


そして全員でブランチを楽しむのだった。


だがブランチは三十分で切り上げた。

それは…。


「程々にしとかないとお昼が食べられなくなりますからね!」


「そ、そうですね?私もそろそろお昼の下ごしらえに行こうかしら?」


「あ、お嬢様!私もお手伝いします!」


「では愛麗アイリー、私と腹ごなしの散歩にでも参りましょうか?」

「は、はい!是非!」


美鈴メイリンの一言を合図に早目のお開きとなった…と言うのは建前で、実は闘姫ドウ・ヂェン美鈴メイリン明花ミンファの間に流れる雰囲気の違いを感じ取った事に気が付いたのだ。


それを察した側仕え達から耳打ちされた美鈴メイリン明花ミンファが話を合わせてこのお茶会を早急に打ち切った、というのが真相だ。


あっと言う間に美鈴メイリンの部屋に一人取り残された闘姫ドウ・ヂェンだったが動じる事無く残りのお茶を啜っていた。


「まあ、どうせお腹が空いたら戻られるでしょうし、私は私でノンビリ過ごすとしましょうかしら?」


そのまま部屋で日向ぼっこしながらウツラウツラと眠りに入ってしまう闘姫ドウ・ヂェンだった。


そんな平和な休日を過ごす美鈴メイリン陣営。


一方の【X】は?


「【X】ちゃ〜ん、見舞いに来たよ〜♪」


部屋で横になっていた【X】を突然見舞いと称した訪問者が襲った!


「な、何ですか一体?!」


慌ててシーツを肩まで上げる【X】。

先程まで彼女は胸元まで露出させていた。

どうやらシーツの下は何も着てなかったらしい。


「つれないな〜、せっかくこうして顔を見に来てあげたのにさー?」


その女はズカズカと【X】の寝ている部屋に入り込んで来て無造作にテーブルの上へ袋を置いた。


「差し入れ買ってきたよ、飲む?食べる?」

袋から林檎、パン、菓子、飲み物の入った瓶数本を置いて行く。


「だ、大丈夫です、後で食事に行きますから!」


「寮の食堂?ふ〜ん、まあ、あの文明花ウェン・ミンファさんが調理を手伝ってるらしいから味も栄養も満足出来るよね。」


「ところで、私貴女とは初対面だと思うのですが…何処かでお会いしましたか?」


「ええ〜?ツレナイなあ、貴女の試合あれ程実況してあげたのにな〜?」


そう言いつつ買ってきた瓶の一本を開けてその中身をグビグビ飲み出すその女。


「実況………。」


「ええ?まさか貴女はあの安月夜アン・ユーイーさんと魔法部門決勝で戦った対戦相手の…?」


「ようやく思い出しました…か?」

ゲフッ、とゲップを漏らして瓶をテーブルに置く。

「そう、私は多彩蜂ドゥオ・ツァイファン。」


彩蜂ツァイファンは足を開くと片手を腰に当てて、顔の前でビシッとピースサインを決めた。


本人的にはカッコよいと思ってるらしい。


(うわ、何それダッサ…。)

【X】のウケは悪かったが彼女は敢えて口には出さなかった。


「同じ生徒会長と戦った者同士、会話が弾むかな〜と思って来たんだけど…お邪魔だったかな?」


彩蜂ツァイファンは皿に見舞いの品として持って来たハズの林檎をシャリッ!と噛り始めた。


「明らかに邪魔です。」

「私は明日の決勝戦を控えて静かに休息中なのです、早目の退出をお願いします。」

丁寧な言葉使いながらも【X】の言葉には迷惑そうな気分が込められている。


「ふ〜ん、そうなの…モゴモゴ…。」

今度は見舞いの品から菓子を取り出しバリバリ頬張る彩蜂ツァイファン


「食べるか喋るかどっちかにしてくれません?」

【X】は彩蜂ツァイファンの行儀の悪さに呆れた。


(てゆうかそれ、私への見舞いに持って来た物じゃない?なんでそれバクバク食べてるの?)


(まあ、いいけどさ…。)

そう思いながらもやはり空腹を感じたのか食べたい気がしないでもない【X】だった。


パンパン、と手をはたいた彩蜂ツァイファンはドアの方を見た。

「さて、と…。」


(良かった、そろそろ帰ってくれるらしい…)

ホッと安堵する【X】。


すると彩蜂ツァイファンは振り返ってこう質問した。

「あ、そうだ一つだけ聞いていい?」


「質問次第です。」


「…まあ勝手に聞くけどさ(笑)。」


「アンタ、何で【Xエックス】って名前にしたの?」


その言葉に【X】の身体がピクンと反応した。


「…答える義務がありますか?」


やや不機嫌そうにそう言い返す【X】。


(あちゃ〜、聞いちゃマズイことだったかな?)


「いいのいいの、単に私が興味あっただけだから」

ケラケラと笑いながら手を振り、多彩蜂ドゥオ・ツァイファンは【X】の部屋から出て行く。

 

「ほんじゃねー、明日の試合ガンバんなよ〜?」


パタンと部屋のドアが締り、やっと騒がしい来客が出ていったことにホッとする【X】。


「…さて、また誰か来ないうちにちゃんと服くらい着とこうかな…。」

独り言を言いながら眼鏡をかけた【X】はベッドから降りてスリッパを履く。


すると。


突然バタン!とドアが開いた!


「あー言い忘れてたー!」

「それ忘れ物じゃないよー、お見舞いの品だから飲んで食べてもいーからねー…」


そこまで言いかけて、ハタと止まる多彩蜂ドゥオ・ツァイファンと【X】。


二人は互いの姿に真ん丸に開いた目で釘付けとなり、無言の時間が暫し流れた………。


「あ…あわ…あわわわ…。」

みるみると両目が潤み始める【X】。


対する多彩蜂ドゥオ・ツァイファンは。


「よ、よよよ…よう?」


「ま、まだ気温高い日続くからね〜、わかるよ、ウン。」


「でも夜は何か着た方がいいよ〜、風邪ひくからねー?」


「そ、そんじゃそういうコトで…!」

多彩蜂ドゥオ・ツァイファンは顔を真っ赤にして愛想笑いしていた。


そしてすかさずドアを締めるや、足早に「どぴゅうぅぅ〜ん!!」と立ち去った…!



「〜〜〜〜!!!」


バシイイインッ!!!


【X】は目に一杯涙を溜めて思い切りドアにクッションを投げつけるのであった………。


阿呆アホー!!」


いなくなった多彩蜂ドゥオ・ツァイファンに思い切り怒声を浴びせる【X】だが、既に後の祭り。


……………。



「で、さー?【X】ちゃんてばスレンダーで結構ロリっぽい体型なんだよー♡」


「キャーッ、嘘ー?」


「それでそれで?下はどうだったの?」


鼻息荒く多彩蜂ドゥオ・ツァイファンから彼女の見た【X】の刺激的な姿を聞こうとするクラスメイト達。


「い、今話題の悪役ヒール【X】ちゃんが、まさかのロリツンデレだったとは…!」


多少は彩蜂ツァイファンが脚色しているようだが…。


少なくとも【X】はツンは見せてるもののデレまでは行っていないぞ?


「あとあと、【X】って名前の意味、ちゃんと聞いてくれたー?」


「ふ…慌てなさんな、まだまだこれからがお楽しみなんだからさ…?」


不敵な笑みを浮かべて周囲のギャラリー達を挑発する多彩蜂ドゥオ・ツァイファン


………。


たまたまその様子を寮の食堂入口から見ていた美鈴メイリンとその友人達。


「あら、あちらのテーブルで何やら人だかりが出来ておりますわね。」


「何の集まりでしょう、美鈴メイリン様。」


「私達も行ってみましょう、お嬢様!」


「み、皆さん?もうすぐお食事の時間では…」


「まあいいではありませんか、ヂェンさん。」


そんな彼女らにコツコツと近寄る明花ミンファ

「あの、皆さんどうされました?」


「これはこれは明花ミンファさん、あそこで何やら面白そうな人だかりが出来ておりまして…。」


明花ミンファ美鈴メイリンに人だかりの方へ連行されてしまった。


おかげで都合約十五分程、食堂の昼食開始時間が遅れてしまうのだった。


で、多彩蜂ドゥオ・ツァイファンが【X】のお見舞いに行った際、彼女のセクシーな姿をガン見してしまった一見を面白おかしく語った事が原因で。


「あ、【X】さん?明日の試合頑張ってね?」


「応援してるから簡単に負けたりしないでよー?」


「相手の胸を借りて思い切りぶつかってきな!」


何故か寮生達から応援や励ましの声を貰う【X】。


「え、え、え?…な、何で…?」


戸惑う【X】。


だが部屋に戻った時、彼女の口角が上がっていた。


「…エヘ…。」

気が付くと自然に微笑んでいた【X】だった。


つい先日まで罵声を浴びていたと言うのに、いきなり暖かい声をかけられて混乱する【X】であったが実はこういうのも満更悪くないのかも知れない、彼女はそう思い始めていた。



そして多彩蜂ドゥオ・ツァイファンから【X】の情報と聞き興味津々で彼女の弁舌を聞いていた美鈴メイリンの反応は…。


「ス、スレンダーな…ロリ体型!…ですの?」


「まだまだこれから成長…と言うより、実は今が正に旬な?反則的ライン!それがいいんだよなー!」


「ゴクッ…お、お胸、…の方は…?」


「小さい。」

「だけど綺麗!適度な膨らみ!それはもう完成されたと言っても良い!」


熱弁を振り撒き、ガシッ!と拳を握る多彩蜂ドゥオ・ツァイファン

彼女の目がキラリと光る。


美鈴メイリンはその彩蜂ツァイファンの言葉に込められた情熱に圧倒されていた。


「ち…ち、小さくて…しかも、か、完成…?…されてるのですかあ〜〜〜?!」


何故か心穏やかではない美鈴メイリンがワナワナと震えていた。


美鈴メイリンは自分の胸に手を当てた。


(も、もしや【X】さんは想像以上の強敵なのかも知れません!)


…いや、何を基準に強敵認定しとるんだお前は?


なにはともあれ…。


【X】は必要以上の悪印象が拭われて今後の生活に支障が出る事は無いだろう。

無駄に敵を作るよりは良い事だと思うし人間関係にも良い。



美鈴メイリンはこれまで以上にヤル気(色んな意味で!)が出てるようだ。

これでポカしたり変に手抜きしたりはしないだろう。

結構手抜きって見てる人達にバレたりするんだよな。


で、多彩蜂ドゥオ・ツァイファンはと言うと…。


ジャララ〜♪


「ヒッヒッヒ…ナゾの女の子【X】の秘密!」

「そして私は見た!寡黙な戦士のセクシーな肌!」


「…いやあ、思ったよりみんな食い付きが良かったなあ〜♪」


「また【X】の部屋へちょっかい出しに行こう♪」

「今度はもっと面白いネタ仕入れられるといいな…♡」


コインをジャラジャラ鳴らしながら札束にチュッとキスする多彩蜂ドゥオ・ツァイファン


食堂での彩蜂ツァイファンの弁舌は情報料をギャラリーから取って喋っていたのだ。


しかも今回は八大武家の美鈴メイリン、商人からの成り上がり貴族の娘の明花ミンファがいたから気前良く情報料を払ってもらえた。


つまりが彩蜂ツァイファンにとっていいカモだ。



…そして彼女の机には今年発足したばかりのゴシップ同好会が発行した号外の学内速報が。


学院でのゴシップネタに飢えてる生徒達の為にそういう噂をネタにした出版物を配布するゴシップ同好会が有料で学院内に出版している夕刊みたいなものだ。


多彩蜂ドゥオ・ツァイファンはこれにネタを売り込んで大儲けしたのだ。


「当分【X】ちゃんネタ売り込もう!いやああのコにこんな需要あったなんて本当意外だねー。」


勿論彼女は喋っただけだしゴシップ紙とはいえど学院内の出版物だからストレートな絵や写真までは無い。


読んだ人の想像力を誘導する文章こそがゴシップ紙の恐ろしさだ!


つまり生徒達みんなスキャンダラスな妄想が逞しいのだ、さすが女だけの百合ゲー世界だ!


実はこのゴシップ紙、以前にも美鈴メイリンを中心にしたゴシップネタを出版していた。


彼女を巡る明花ミンファ月夜ユーイー、そして闘姫ドウ・ヂェン


美鈴メイリン達、当の本人が知らないだけでコソコソ皆が回し読みして盛り上がったりしていたのだ。


もっともゴシップ同好会の次回発行紙は一面を学院代表戦決勝戦結果を大きく取り上げる事は確定済みなのだが…。



………そしてその夜。


こっそり買い集めたゴシップ紙をベッドの中で読み漁る芽友ヤーヨウ


「おかしいです…一体いつになったら私と愛麗アイリーがお付き合いを始めた件が載るのでしょう…?」


意外に彼女も承認欲求が強かったようだ…。


多彩蜂ドゥオ・ツァイファンに引っ掻きまわされてしまった【X】と美鈴メイリン


しかし二人には良い影響を与えた…かも知れません?


さあ、いよいよ次は決勝戦!

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