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慈悲深い仮面の剣豪は、実は血を見るのが苦手な中華風TS美少女です!  作者: 長紀歩生武
第三章【学院代表選抜戦・一年生編】
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第七十七話【事件に有能な姫探偵は恋に無頓着だった】

闘姫ドウ・ヂェンは今回のナゾを解くため被害者の依然イーランに事情を聞き、そして【X】の部屋にも向かいます。


そんな彼女は美鈴メイリン明花ミンファが側仕えコンビのイタズラのせいで急接近しているとは露知らず。


「誤解しないで欲しいのは依然イーランさんがどう答えたところで私はそれを責めたりするワケではありません。」


「なので本当の気持ちを教えていただきたいのです。」


闘姫ドウ・ヂェンから喋り易いように促されると、依然イーランも素直に喋り出した。


「威力はシールドだけを破れる程度に弱めておいたし相手を殺傷するつもりは勿論ありませんでした。」


「ただ…。」


「これまでに無い強敵で中々倒せ無い事に歯痒く感じていたので焦りや怒りはありました。」


「だから攻撃するという意思がいつもより強かった、という事でしたらそうだったと言わざるを得ません。」


「そう…ですか。」


「ご安心下さい、それを誰かに話したところで依然イーランさんが何かに問われるような事にはなりませんので。」


闘姫ドウ・ヂェンは立ち上がり、部屋を出た。


(やはり…つまりコレは…。)

闘姫ドウ・ヂェンは何かに気付いたようだった。



一方。



「………んん〜…。」


「あらお目覚めですか明花ミンファさん。」


「…え?」


美鈴メイリンの顔が眼の前にある。


「あ、おはよーございます…。」


寝坊け眼の明花ミンファは何の疑問も無たず挨拶を返した、のだが…。


「…。………。え?」


ようやく頭が回り出したらしい。


「あ、あうあう…。」


何かを言葉にしたいのだが、あまりの驚きに口が上手く回らないようだ。


驚きと恥じらいで明花ミンファの顔が真っ赤になる。


「あら、どうなされましたか?」


美鈴メイリンのドアップの顔がキョトンとしながら明花ミンファを眺めている。


そしてその顔は横向きに寝ている自分と同じく横たわった状態。


「ど、どーして貴女と私が同じベッドに寝ているんですかあ〜?!」


「何故って…昨日側仕え達に外から鍵かけられて出られなくなりまして…。」


「それで仕方なく夜もご一緒させていただいた次第でして…。」


「あ、心配なさらなくても私何もしておりませんからね?」


「その可愛らしい寝顔を堪能させて貰いながら寝たので、そのおかげかグッスリと心地良い眠りに…」


「わ、わかりましたから!」


明花ミンファは恥ずかしさから頭も覚醒し…慌ててベッドから起き上がるのだった。


「わ、私先に身体を洗いますので…覗かないで下さいね?」


パタパタと浴室に駆け込む明花ミンファ


「…えと…今のはフリなのでしょうか?」


まるで「逆に覗いて下さいね?」という本音が聴こえてくるような明花ミンファのセリフだった。


でも本当に覗いたりしたらそれはそれで大騒ぎされるのも目に見えていた。


女心とはかくも複雑なのだ、とわかったような納得をする美鈴メイリンだった。


こんな彼女もいざ自分が覗かれる立場になれば同じような反応をすること請け合いなのだが。


明花ミンファさん、私は清浄魔法で汗や汚れを落とすのでごゆっくりなさってくださいな。」


「…いえ、私は後で朝ご飯のご用意がありますのであまりのんびりとは…。」

浴室のドアの隙間から明花ミンファの声がした。


「あら、なるほど。」

その声のする方を見る美鈴メイリン


と。


そのドアの隙間からチラチラと白味の強めな肌色が動いてるのが見えていた。


明花ミンファの身体だ。


彼女は浴槽にお湯を張らずに蛇口から出てくるお湯を温めに調整しながらタオルで身体を拭いていたのだ。


(マ、マジ、ですか…?!)


ウッカリすれば鼻血を噴き出して卒倒しそうになる美鈴メイリンだった。


だが何とかそれをやり過ごす。


そしてドアの隙間からチラチラ見える真友マブダチ認定中の友達以上恋人未満な明花ミンファの裸から固まってしまったように目が離せなくなってしまった美鈴メイリンだった。


(せ…せめてバレないように…!)


いや、十分バレてると思うぞ?


だって明花ミンファのヤツ、ワザと視線を逸らしながら正面を向いてるし。


表情を誤魔化してるけど頬が火照ってるし恥ずかしいのか身体がプルプル微細に震えてるもん。


それにしても…


へえー。


ふーん。


明花ミンファの身体って、こうなってたのかーウシシ…これはこれは…♪


こりゃ美鈴メイリンもコロッと参ってしまうのも無理無いな〜♪


(コ、コラ名尾ナビ君!)

(レディーの裸を覗くもんじゃありせんわ!?)


ありゃ、どうやら美鈴メイリンに独り言が聴こえちまったみたいだ。


ここまでか、残念。

 

…でも、いいもん見れたー!

グフフフ!!


名尾ナビ君の、スケベ…!)

美鈴メイリンからジトっとした横目で睨まれた。


【妬くな妬くな、嫉妬か美鈴メイリン(笑)?】


(シャラップですわあ〜!)


ビシャアアアン!!


…………ケホッ……な、何で精神世界に落雷が…?


(そーやって少し焦げてると良いですわ!)


まさか、お前いつの間に精神世界で雷魔法なんかを…?


しかも何故か俺の千里眼や地獄耳までが妨害されてせっかくの明花ミンファの入浴シーンはそこからお預けとなってしまった!


アイツ一体どんな魔法や能力に目覚めやがった?




(全く…明花ミンファさんの身体見ていいのはこの私だけだというのに!)


(…て?私は一体何を言ってますのおお?!)


美鈴メイリンも頭が混乱したらしい。


あのあと明花ミンファは気が付いてないのを装ってか色んなポーズで大サービスしたようだけど美鈴メイリンの混乱した頭にはあまり記憶されなかったようだ。


色々残念だったな、二人とも。


まあ、これからもジックリと仲を深めればいいいから焦る事無いぞ?


何ならもう一晩一緒に寝れば今度こそ…。


(も、もう一晩なんてさすがに身が持ちませんわっ!?)



身が持たないというのはどんな意味で、なんだろう?



…………少しセクシーな展開となったが明花ミンファが浴室から出て着替え終わった頃に側仕え二人がドアの鍵を開けに来た。


「……………(////)。」


「………………(////)。」


愛麗アイリー、どうやら二人とも進展があったようですね?)


(これは良い傾向かも知れません!こうなれば今夜も?)


(やる価値がありそうです!)


「二人とも、今夜も同じ事企むようなら相応の罰を受けて下さいまし?」


美鈴メイリンの身体からジンワリと冷気が巻起こるのを感じた側仕えコンビは今夜の計画は断念するのだった。


「さ、参りましょうか明花ミンファ…さん…。」


「…は、…はい…。」


二人はどちらともなくソッと手を繋いだ。


そして頬を僅かに染めながらユックリと食堂へ歩いて向かう。


明らかに今までよりも良い雰囲気を漂わせている明花ミンファ美鈴メイリンだった。



その頃、依然イーランからの証言を得た白百合のプリンセスである闘姫ドウ・ヂェンは。


「…ここね。」


昨日医務室で寝ている【X】の制服にマーカーとなる塗料を貼り付けた彼女は【X】の部屋を見つけ出していた。


「普通に寮生の部屋の階のようだけど…。」


「何故誰も彼女の存在を意識しなかったのでしょう…?」


そう。


如何に普段は地味で存在感の無い姿を「意図的」に作り出していたのだとしても、皆があまりに彼女の事に誰も興味を示さないのは不可解だった。


その原因の一端がこれから分かる?


「………角部屋。」


あまり綺麗とは言えないドア。


鍵は開いていた。


その隙間からソッと中を覗く闘姫ドウ・ヂェン


殺風景な部屋だった。


ベッドで眠る【X】は普段の地味な黒髪姿だった。


そのベッド以外はテーブルと椅子があるだけで、テーブルには教室に持って行く鞄があるのみ。


瓶が床に乱雑に転がり、買い食いした食べ物でも入っていたらしい袋が床に散乱していた。



他に生活感は無く、何だか物置にでも使っていた部屋を急に寮生の部屋に変更したかのようだった。


「失礼しま〜す…。」

こっそり中に入った闘姫ドウ・ヂェンは甲斐甲斐しく【X】の部屋の整理整頓と掃除をした。


彼女としてはこれは親切などではなく、部屋と散らかり具合が単に見ていて我慢出来なかったのだ。


「具合は…。」


闘姫ドウ・ヂェンが【X】の額に手を翳す。


すると【X】の健康状態が闘姫ドウ・ヂェンの手に取るようにわかる。


「異常無し。」


「さて…彼女の心の中までは…どうかしら?」


…………………。



(さすがにそこまでは虫が良いか。)


闘姫ドウ・ヂェンはそこまでにしてこの部屋を後にした。


(さっきの彼女の部屋でのあの姿、様子が本来の彼女の姿だとすれば…。)


(私達、彼女の事をどこまで理解出来てるのかしら…?)


【X】は確かに怪しいイメージしかない。


あのカウンター魔法からして正規の手続きを踏んで出場できたのかすら怪しい。



(でも…そこを見誤ってはいけない。)


(それは思わぬ見落としを生み…真の重要な事に気が付けなくなる事もある…。)


まだ【X】についてはその名の通り【X】…ナゾだ。


だが彼女とて一介の女生徒。


彼女がもし本当に怪しい人物だとすれば、それは本人が、というよりそれに必ずやもっと怪しい何かが直接【X】に接触を図ってくるハズだ。


それとも【X】以外に疑わしい存在がいるのだろうか。


(そう言えば…月夜ユーイーさんが【X】の前に対戦した「多彩蜂ドゥオ・ツァイファンさん」は対戦後、「新血脈同盟」なる名を口にしたとか…?)


ならば、今回裏で糸を引いているのはその「多彩蜂ドゥオ・ツァイファン」なのか?



「…それは、無いと思いますわヂェンさん。」


ムシャ…。


「あらそれはどうしてですか美鈴メイリンさん?」


パク…。


「私はともに実況席で先の試合を観戦致しましたけど、彼女は至って「素」のままだと感じられましたわ。」


ゴクゴク…。


「ああ、つまり腹芸は得意そうに見えなかったというワケですね美鈴メイリン様。」


パクパク…。


「腹芸って、お腹に顔描いて踊るヤツですよね芽友ヤーヨウ?」


ガブガブ…。


「んなワケありますか!腹に一物抱えながらも相手をけむに撒く…つまり権謀術数、腹黒い知略謀略を絡める駆け引きって事ですわよ愛麗アイリー!」


グビグビグビグビ…!


「…私バカなのでよく分かりませーん♪」


ガツガツガツ…!



と、ここで明花ミンファが。


「皆さーん、おかわりまだありますよー♪」



「「「「ハーイ♡」」」」


すっかり明花ミンファの朝食に餌付けされている美鈴メイリンとその愉快な仲間達だった。


闘姫ドウ・ヂェンは今回の調査で一体何を掴んだのでしょう。


そして肝心の美鈴メイリン明花ミンファの進展具合には全く気が付いていません。


このまま彼女は明花ミンファのリードを許したままになってしまうのでしょうか?

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