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慈悲深い仮面の剣豪は、実は血を見るのが苦手な中華風TS美少女です!  作者: 長紀歩生武
第二章【一年生の夏休み編】
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第四十話【月明かりを浴びて舞う妖精のごとき令嬢。】


少し美鈴メイリンが嫉妬する出来事が?


その後、美鈴メイリンは満月の下で舞う。


その見事な舞いには敵でさえ見とれる。


そしてその夜は…?


美鈴メイリン月夜ユーイーを襲いに来るかも知れない刺客を待った。


だが、中々その時は訪れず、時間はイタズラに過ぎてゆくばかり。


それでもいつ訪れるかも知れないその時を根気強く待ち続ける美鈴メイリン


時計は既に午後10時を回った。


時折会話しながらも、皆はコクリ、コクリと頭で船を漕ぎ始めていた。


特にベッドの上の明花ミンファなどは横になってウトウトし始めていた。


彼女にとってはいつもの就寝時間だったため直ぐに寝落ちしてしまった。


「あらあら明花ミンファさん、お腹を冷やしますわよ?」

しょうがありませんわね、とクスッと笑ってお腹に夏用の薄い掛け布団を明花ミンファのお腹に掛けてあげようと明花ミンファのベッドへと近寄ろうとする美鈴メイリンだったが。


「おっと美鈴メイリン君?そこから先へは行かないように!」

美鈴メイリンの前にファン先生が立ち塞がった。


「…退いて下さいませんか?私、明花ミンファさんのお腹に夏布団を掛けて差し上げたいんですの。」


「ダメだ。君は既に明花ミンファ君とは、…そ、その…き、きき、…キッスをしてる不純な関係だからね!」

ファン先生が頬を赤らめ、噛みながら喋る。


「あ、あれは事故ですわ!」

美鈴メイリンの顔も真っ赤になった。


「まあまあ美鈴メイリンさん、ここは先生の顔を立てて上げて今晩だけは我慢しましょう?」

そう言って月夜ユーイー明花ミンファのベッドへと近寄る。

「代わりに私が掛けて上げますから。」


夏布団を明花ミンファのお腹に掛けてあげる月夜ユーイー


「あらあら、明花ミンファさんたら幸せそうな可愛い寝顔しちゃって。」


プニプニと明花ミンファの頬を人差し指で押す月夜ユーイー


「!」

美鈴メイリンが何故かショックを受ける。


「今頃、美鈴メイリンさんとキスしちゃった事を夢の中で思い出しているのかしら?悔しいわね。」

今度は月夜ユーイー明花ミンファの頬っぺたを摘まんで「うにゅうう。」と引っ張った。

「フフフ面白い。この子の肌ってとてもモチモチとしてフニフニなのね?」


「ゆ、月夜ユーイー先輩!早く明花ミンファさんから離れて下さいな?!」

ワナワナと美鈴メイリンが震えていた。


「あらどうしたの、美鈴メイリンさん?」


「も、もう用事は終わったではありませんか。これ以上私の真友マブダチの顔で遊ばないで下さいな!」


「…いいけど、その前に私に一言無いかしら?」

腕を組んでブスッとする月夜ユーイー


「一言…?」


「えと…あ!そ、そうでしたわ、月夜ユーイー先輩、明花ミンファさんに夏布団を掛けていただきありがとうございました。」

やや不機嫌ながらもそれを堪えて軽くお辞儀して丁寧にお礼の挨拶をする美鈴メイリン


「有無、よろしい。」

満足そうにニッコリする月夜ユーイーが再び椅子に腰を下ろしてブランケットを掛け直す。


「貴女も夏場とは言え夜から明け方にかけては気温が下がるからちゃんと夏布団を掛けて寝るのよ?」


「お心遣い、感謝いたしますわ。」


「…それにしても明花ミンファさんて結構可愛いのね。」


「そ、そうですわね。」


「今まで貴女の事ばかりに夢中で気が付かなかったけど…なるほど、これなら貴女が心を奪われそうになるのも仕方ないかもね。」


「?!」

ドキッとする美鈴メイリン


(ち、違いますわ先輩?私はただ一番大切な友人として彼女の事を…。)

そう言いたかった美鈴メイリンだったが、何故か口からその言葉が出ない。


「でも、私は諦めないから。貴女に最も相応しいのはこの私だと信じてるもの。」

キラリと月夜ユーイーの目が妖艶な眼差しを美鈴メイリンへと向けた。


その月夜ユーイーの視線に更にドキドキしてしまう美鈴メイリン


「わ、わわ、私、…喉渇きましたわ!」

慌ててベッドから降りる美鈴メイリン

「お、お水飲んでお庭でも散歩して来ますわ!」

と叫んで部屋から出て行ってしまう美鈴メイリン


「あら、少しからかい過ぎたかしら?」

残念そうに美鈴メイリンの後ろ姿を見送る月夜ユーイー


「…君は一体どこからそんな色気を身に付けて来るんだ?」

(私にも彼女らくらいの可愛げや色気があればなあ…。)

イジイジとイジケながら、ファン先生は心底羨ましそうにため息を吐いた。


食堂のコップを拝借して本当に水を一杯飲んでから深呼吸で落ち着きを取り戻した美鈴メイリンはそのまま軽く寮内を歩いていた。


(さてと…)

最初はまず、結界を解いて愛麗アイリー芽友ヤーヨウが居るはずの明花ミンファの部屋を覗いた。


二人とも仲良く向かいあったままベッドで横になってすやすや寝ていた。


「やれやれ、夏布団くらい掛けなさい?」

まるで母親のような眼差しで二人を見つめる美鈴メイリン


二人のお腹に夏布団を掛けて部屋を出る。

再び結界を施し、明け方には結界が解けるように時限式の細工を施しておいた。


「さて、次は本当に庭へとでましょうか。」


賊を誘うかのようにわざわざ隙を見せながらゆっくりと寮内の庭を散歩する美鈴メイリン


夜空を見上げるとそこには美しい満月が輝いていた。


「うわあ…。」

思わず見とれる美鈴メイリン

月や夜空を眺めていると、何だかさっきまでのごちゃごちゃした気分がスウッと穏やかになっていく。


(夜空には、煌々と輝く満月。それはまるで月夜ユーイー先輩のように鮮烈な姿。)


(そして柔らかな星々の瞬き、それは明花ミンファさんのような親しみ。)


(全てを包み込むような漆黒の夜空、それはまるでファン先生のような包み込む愛情。)


美鈴メイリンは賊退治も忘れたかのようにすっかりロマンチックな気分に浸っていた。

彼女の瞳は濁りの無い、澄んだ輝きに満ちていた。


そして二階の窓からは月夜ユーイーファン先生が美鈴メイリンを見下ろしていた。


(お二人に軽くサービスしておきましょうかしら?)

美鈴メイリンは窓際の二人にニコッと笑い掛けて手を小さく振る。


月明かりと星々の瞬きに照らされた乙女の美鈴メイリン

彼女は今宵、剣仙から妖精の踊り子へとジョブチェンジする。


そして美鈴メイリンは華麗なステップを踏み出しダンスした。


月明かり、そして星明かりを浴びながら優雅に踊る美鈴メイリン


そのロマンチックな姿に目を細めながら美鈴メイリンを眺める月夜ユーイーファン先生。


(嗚呼、いけないわ。心が疼いてしまう、貴女って罪な子ね美鈴メイリンさん。)


(出来る事なら、ここから飛び降りて君の側で一緒に踊りたい…!)


月夜ユーイーファン先生は激情を抑えながら美鈴メイリンの軽やかな舞いにいつまでも見入っていた。


それは彼女達だけでは無かった。


すっかり毒気を抜かれたのは刺客として用意された者達もまた同様だったのだ。


美鈴メイリンの舞いに魅せられた刺客達はまるで魔法にでもかけられたように殺意も作戦目的も忘れてその場で夢の世界へと誘われてのだ。


やがて踊りを終えた美鈴メイリンが部屋へと戻ると、窓の側で満足そうに眠りこける月夜ユーイー先輩とファン先生がいた。


「…せめて寝場所で寝て下さいまし?」


美鈴メイリンは二人をそれぞれ片手で持ち上げ、自分のベッドの方へと放り投げた。


そして。


「ふぁ~あ。何だか私まで眠くなってしまいましたわ。」


「今夜は賊を捕まえるより結界防御で暗殺阻止するとしましょう…。」


術式を編んで朝まで持ちこたえる結界を部屋中に張り巡らした美鈴メイリンは、フラフラとベッドに横になった。

そして魔法の灯りを消す。

「おやふみなひゃい…。」


何か近くで良い匂いというか、心地好い温もりが感じられたような気がしたが、既に眠りに入りつつあった美鈴メイリンは気にしてられなかった。


(…明日は…私も月夜ユーイー先輩のように…)



明花ミンファさんの頬っぺたで遊びたいですわぁ♪)


グフフフと笑いながら眠る美鈴メイリンであった。



…そして朝。



まだ側仕えコンビは寝ている。


月夜ユーイーファンも寝ている。


それも向かいあって抱き合いながら。


(ウフフ…美鈴メイリンさぁん、もう話さないわぁ…。)


美鈴メイリン君…やっと、やっと私の思いに応えてくれるんだね…?)


…つまり、夢の中で互いに美鈴メイリンと抱き合ってるつもりなのだ。


さて、明花ミンファの方はと言うと。


「…………な、何で?」


「zzzz………。」


「何でここに?」


「zzzzz……………。」


無邪気な寝顔を真友マブダチに晒す、愛しい人が、何故か自分と同じベッドに。


いや、同じベッドどころかしっかり抱き付かれていたのだった!



「え、えと…め、美鈴メイリン…さん?」


「zzzzzz……………………。」


(ほ、本当に寝てらっしゃるのね…。)


こんな時が訪れて欲しいといつも考えていた明花ミンファだったが、いざ本当にこんな事になってしまうと驚きと困惑で何も出来なかった。


ただの美鈴メイリンの抱き枕と化してしまう明花ミンファ


だが。


(これはもしや、夢?)


(夢ならそのまま、ずっと覚めないで…☆)


明花ミンファはそっと美鈴メイリンの身体に腕を回し、彼女を抱き締めるのだった。




………そして、朝8時。



夏休みの生徒寮に残った六人が一斉に目覚めた途端、寮内は驚きの叫びと悲鳴に包まれるのであった。


嗚呼、美鈴メイリンの運命や如何に?




………余談であるが、刺客達も朝に目覚めて結局未遂に終わり、雇い主達からこっ酷く叱られたのだった。



(………昨夜は仮面の剣豪になれませんでしたわ…次こそは必ず!)


今夜こそはリベンジに燃える美鈴メイリンだった。


そして。


(今夜こそは必ずもっと美鈴メイリンさんと!)

(今夜こそは必ず美鈴メイリンさんとの仲をもっと深めねば!)

(今夜こそは必ず美鈴メイリン君に夜這いを!)


三者三様に萌えていた。


側仕え達はと言うと。


「おかしいですね?何故に愛麗アイリーに何もせずに寝てしまったのでしょう?」


「昨夜は危ない所でした…こうならないためにも、やはり今夜は美鈴メイリンお嬢様に夜這いを…ウヘ、ウヘウヘへ…♪」



…すいませ~ん、この寮に変質者が三名ばかりいまーす。



結果オーライで月夜ユーイーへの暗殺は取り敢えず阻止されました。


しかし夏休みはまだ始まったばかり。

まだ宿題も片付けなければならないし、臨海学校や学院代表選抜戦への訓練も。


美鈴メイリンは毎日充実?

そして月夜ユーイー明花ミンファへの悪戯に美鈴メイリンが嫉妬?

彼女の内面にも変化が訪れて来たのでしょうか。

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