第二十七話【危険を究める『険究』、そして勝利を呼ぶ為の水着選び!】
魔法研究部で美鈴と明花の意外な姿が見られます。
そして白百合祭のミスコンテストの水着審査用に水着を新調しに行く二人なのですが…。
美鈴達が部活見学してから1週間。
その間、美鈴と明花の二人は魔法研究部に仮入部という形で入部体験していた。
「魔法研究と言っても、普段やってる事はいつもの授業で習う魔法の復習みたいなモノだ…。」
「覚えた事の反復も兼ねて各人の思いついたアイデアから新しい魔法・魔術を実験・構築したりそれを元に道具を実際に制作したりしている。」
「もっとも百の新開発のうち実際成功するのはせいぜい十か二十程度、更に実用化出きるのはほんの二、三といったところが現実だけどね。」
「そこから更に商品として量産化できる品や技術ともなれば一つしかない、そう推察できますわね。」
やや陰を差す表情で美鈴が感想を述べた。
「ああ。棚に置いてある数少ない成功事例はこの学院と部活の発足以来、先輩諸志による研究と開発の賜物なんだ。」
「そう考えると、どれも貴重な品や書物なのですね。」
明花も先ほどまでとは違い畏敬の念を込めて棚に置いてある品々を見渡すのであった。
「まあ、魔法に関して言えば二人は既に卒業生レベル以上なんだから、そこは自由に研究や工作してくれればいいよ。」
「…そうですか。では私は窓から見えるあの山が取り敢えず消し飛ぶくらいの攻撃魔法に関する研究を………。」
「そ、そんな物騒な魔法は研究しないでくれたまえ!?」
「何をおっしゃいますか?今後フレイムドラゴン以上の相手が襲ってきた時の為にも攻撃魔法の錬磨はかかせません!」
「…そんな敵が襲って来る異常事態、百年に一度くらいじゃないか?」
「転ばぬ先の杖ですわ!」
「まあご安心ください。これは魔法の威力向上よりも消費する魔力量の省エネ化が目的でごさいますから。」
「じゃあ省エネ研究って事だね?なら問題ないか。」
「ええ。あの小さな山が軽く消し飛ぶ程度の威力はごく当たり前の前提で、魔力消費量を従来の三分一未満に押さえる事を目標に、その練習として魔力光弾の撃ち込み練習を…。」
「却下だー!!」
「てか、それって単なる訓練じゃないのか?」
「いいえ?ちゃんと工夫や改良を加えて実験しながら行うのですから、これもれっきとした研究でございますわ!しかもあの山が消し飛ぶ程度のレベルにまで威力は大幅に抑えて………」
「…山が消し飛ぶ威力…大幅に抑えてそのレベル…私の聞き違い、か?」
「…あ。い、いえ?今の途中から述べた事は単なる妄言ですわ、忘れてくださいまし?」
「………やるなら環境破壊や被害を出さないようにね?」
(この子の詭弁と奇弁には勝てそうにないな…。)
何やら聞いてはいけなかったような言葉まで耳に入ったのは、多分気のせいだろう。
王部長はそう思い込む事にした。
「わかりましたわ。」
美鈴は椅子に座って机へと向かってペンを取り、唸るように考え始めた。
「フフ…これが成功すれば、今まで10発程度しか撃ち込めなかったのが30発に……何れは私自身の内包する魔力量そのものも何倍以上にも底上げして更なる省エネ化も計れば何百発と撃てるように………!」
何やら物騒な事をブツブツ呟きながらニヤニヤ笑う美鈴。
どうやら実体験としての訓練…もとい、研究はやめてイメージ上での研究開発に変更したようだ。
紙の上にペンで何やら文字や絵のようなモノを走り書きする美鈴。
それをチラッと盗み見る王部長だが、何が書いてあるのかサッパリわからない。
無理も無い、それはまるで見知らぬ言語や初めて見る絵柄、図柄のようだった。
それは当然だろう。
何せそこに書かれていたモノは我々の世界の現代日本の文字とマンガ、アニメ、イラストを元にした絵や図だったからだ。
それにしても素の能力でここまで発揮出来るのが美鈴の実力ならば、仮面の聖霊の力で変身強化された仮面の剣豪状態なら一体本気になればどれくらいの威力を発揮するのかと思うと空恐ろしくなる。
だが当然そんな事を知らない王部長は、取り敢えず今日のところはホッとするのだった。
「と、ところで明花君はどんな事に取り組むのかな?」
「はい。私は長年の研究課題である、死人を蘇生させる魔術理論の構築を………。」
「き、キミは確か治療回復の魔法医学だったハズだよね?」
「あら、これも生命を守る一環ですよ?しかも蘇生はロマンでもあります!」
「更に言うなら、これは私個人の生涯における最重要研究テーマなんです!」
明花は神々しく見栄を切りながらも、その瞳が怪しく輝いてるような気がするのは単なる王部長の気のせいではないと思うのだが。
そんな彼女もまた美鈴が書いていたのと同じような文字や絵、図を紙に書いていた。
「…明花君、キミも実は美鈴君と同類だったんだね…?」
美鈴と明花は手段こそ正反対のようだがその根っこの部分では
【大切な人の命を救いたい】
という点で一致していた。
そしてどちらもマッドサイエンティストの気があるように思われる点でも共通していた。
実はこの時点で月夜先輩から変人と言われた王部長ですらこの二人には引いてしまっていた。
しかし、そんな奇人変人という観点から見ればやはり王部長とこの二人は同類であり、互いに引き寄せ合ったのかも知れない。
ともかく、結構二人はノリノリで魔法研究(一部訓練?)に勤しんだ。
………果たして、その効果が世に出せるのかは別として。
そんな二人の研究成果が唯一試せそうだった町外れの魔物のアジト殲滅戦闘がおよそ二週間程前から500キロメートル先で行われていたのだが、安月夜は帰還した両親から戦闘終了と人類側の勝利の吉報を持たらされた。
その話しはたまたま給湯室に集まった面々が共有した。
月夜から直接、美鈴と明花、そして范先生に話したのだ。
「これで、漸く安心出来るね。」
ホッとする范先生。
「ええ。それと先輩、何だか嬉しそうですね?」
「フフ…両親も八大武家も誰一人欠けずに済んだのですもの。嬉しいに決まってます。」
「第一陣で重傷ながらも生還された魔法研究部顧問の先生も、来月には復帰されるそうですわ。」
「これで暫くは魔物の軍勢も大人しくしてくれる事でしょう。両親もやっとノンビリ出来ると喜んでたわ。」
「そうだね、少なくとも年内は動きを見せないと思いたいね。」
「先生、その年内という根拠はどこから?」
「ああ、明花君は魔物にはあまり詳しくないようだね。」
「明花さん、今魔物達は大群を戦闘で失ったばかりで攻めてくる余裕がありませんの。」
「しかし来年には彼らの領土で出産ラッシュが始まり、僅か数ヶ月で彼らは成長を終えます。つまり…。」
「ら、来年の今頃には元の大群が?」
「そうです。如何に人類が魔法や魔法道具、武器を強化して魔物の軍勢を退治しようとも、魔物にはその繁殖力があるが故に彼らを根絶やしには出来ない………だから毎年人類と魔物との間に大きな戦いが起こる、それがもう何十年と続けられているのですわ。」
「ええ。美鈴さんの言う通りよ。全く、終わらない悪夢を見続けさせられているようモノね。」
さっきまで上機嫌だった月夜が、吐き捨てるように言う。
「ごめんなさい、せっかくおめでたいお話しの最中だったのに、私が余計な事を………。」
「いいえ。確かに浮かれていられるのはほんの一時期だけだもの。それに、人類側にだって結果は勝てても犠牲が全く無いワケでもなかったし。」
「しかし、今は無事帰って来られた者達にささやかながらでも感謝しよう。それが私達に出来る彼女らへの報いというか、せめてもの労いになると、私はそう信じたい。」
その場で全員が范先生の言葉に頷いた。
しんみりとした場になってしまったが、物欲しそうに給湯室を眺める愛麗を美鈴がからかい、二人がいつもの漫才を始めた事で一瞬にしてその場は爆笑の渦と化すのであった。
こうして魔法研究部の仮入部を終えた美鈴と明花は正式に魔法研究部に入部することになった。
………因みに他の部員達だが。
「部長、私達まだ他の部員さん達とお目にかかっていないのですけど?」
「ああ、他の連中は他所の部活と掛け持ちでね。」
「「掛け持ち?」」
「アイデアが出たら参加するし、道具制作や研究も自分達の部屋で済ませたモノを持って来ることも多い。…………ま、運が良ければそのうち何人かとは会えるかもよ?」
「それって、幽霊部員とかいうのでは?」
タラアーッ、と明花の頬を冷ややかな汗が伝い落ちた。
「アハ、アハハ…。」
美鈴は渇いた笑い声で誤魔化すのだった。
………そして、それから更にもう1週間後には白百合祭が控えていた。
スケジュールは目白押しだが、特に白百合祭に向けて美鈴達が準備しなければならない事もない。
強いて言うなら、ミスコンテストでの水着審査用に水着を新調する事くらいか。
「み、水着審査………!」
(抜かってましたわー!!)
美鈴は心の中で、大絶叫した。
「え?美鈴さん知らなかったんですか?」
そう言う明花は既に美鈴の目の前で新しい水着を試着していた。
二人は今、王都の城下町にある服のお店で水着を買い求めに来ていた。
彼女らの側使え達は近くの飲食店で休憩を兼ねて仕えているお嬢様二人と待ち合わせしていた。
試着室から少し恥ずかし気に自らの水着姿を見せる明花。
「あの、どうですか?…私の…水着姿…。」
下を向きながら美鈴に尋ねる明花は顔が真っ赤だった。
恐る恐る明花の足元から頭のてっぺんまでを眺める美鈴の目線。
思わず腰の辺りと胸の辺りで美鈴の目線の動きが止まってしまう。
(な、何故ここで目線が止まりますのっ?!)
仮にも相手は自身と同じ女性だ、そんな相手の、そんな部分を見てしまうなんて自分は変態なんじゃなかろうか?!
と、美鈴は自分の行動や反応が理解不能に陥った。
美鈴の頭の中がグルグルと回り始める。
「と、とても魅力的、というか…の、悩殺的と、申しますかっ………?!」
フラつきながら辛うじて返答する美鈴。
明花のスタイルは学院でもかなり上位に入るのでは?と思えるほどのナイスバディーだった。
肌の色は美鈴ほど白くはないが健康的な色艶のキメの細かい肌。
出る所が出ていて引っ込むべき所は引っ込む、所謂ボン!キュッ!ボン!な体型。
だがそれほど極端なグラマラスボディというわけでもなく、適度に凹凸の輪郭がボヤけている事が逆に親しみやすさをキープしていて好感が持てる。
普段の制服や私服からは想像もつかない、絶妙なバランス。
着痩せするとは、こう言うことを言うのかと美鈴は今初めて気が付いた。
だがそんな意味合いとはまた別の意味で美鈴の目は明花の水着姿に釘付けとなってしまっていた。
それが何故なのか美鈴にはわからない。
いや、考える余裕すら無かった。
学生のコンテスト用なのでそれほど過激なデザインでもなく、やや清楚な印象も受けるデザインとなっている。
だが、所々の部分。
そう、それは例えば胸の谷間だったり、ヒップの上部、そしてその下から少しはみ出すお尻の肉の部分。
デザイン的には新人アイドルがグラビアで見せる初めての水着、という程度の至って普通な露出具合なのだが、
それでもそれを着ているのは他ならぬ明花で有ることが美鈴を冷静でいられなくしていた。
明花の方もそんな美鈴の気配を意識してなのか、赤い顔のままモジモジしている。
ぎこちなく昔のゼンマイ仕掛けのロボットのような動きで辛うじて回れ右して、後ろの方へ向きを変え、漸く美鈴は落ち着きを取り戻せた。
「と、とても良く似合い過ぎといいますか………わ、私には正直目の毒過ぎるので早くお着替え下さいませ?」
「え?そ、そうでしたか?それは失礼しました!」
美鈴から言われて我に帰った明花は再び試着室に戻ると制服に着替え直した。
そんな二人の様子をニマニマした顔で店員達は眺めるのだった。
(あの二人、何だか初々しいわね。)
(そうね、私達も昔はあんな感じだったわね。)
(あら、私はあそこまで照れてなかったわよ?)
(………な、何だか見てるこっちまでドキドキしてきちゃったわ。)
(それ、言えてるw)
キャッキャと盛り上がる店員達を横目に今度は美鈴が明花に水着を選んで貰った。
「美鈴さんの身体を見た事がありませんので、体型は服の上からの想像になりますけど。」
「構いません。どうせ私は明花さんとは違って着痩せする程までには付くべき所の肉がありませんから。」
少しひがんでいる美鈴だった。
「一応参考までにスクール水着を持って参りました。…中等部で一度だけの臨海学校で使用したきりの代物ですが、あの時とさほど体型に変化は無さそうですし。」
そう言ってスクール水着を明花に
差し出す美鈴。
この世界での貴族学院にはプールは無く、中等部で一度だけ水泳体験の為に臨海学校が行われていた。
これは我々の世界でありがちな遠泳等は無く、戦闘時において溺れる事がないように、泳げるようになることが目的の水泳教室みたいなモノだった。
「では、若干の発育分も考慮してやや大きめのサイズから選びましょうか?」
「そ、そうですわね。」
多分、以前スクール水着を買った時よりは少しは成長しているのは確かなのだが、さっき見た明花のすこぶる発育の良い水着姿を思い出してしまうと…。
「ん?美鈴さん、どうかされました?」
黙り込んでしまった美鈴を気遣い明花が声をかける。
「い、いえいえ!何でもありませんわ。」
胸を張って空元気をアピールする美鈴。
それから何着かを明花から受け取り、そこから更に色やデザインの好みと露出度合いの少ない3着を選んで残りは返却した。
「では、…着替えて参ります。」
美鈴が試着室に入り、カーテンを閉じた。
試着室のカーテン越しからスルスル、シュルッ…と、衣擦れの音がする。
美鈴が着替えているのだ。
ジッと聞き耳を立てている明花。
(今、この向こう側で…め、美鈴さんが………。)
明花の脳裏に美鈴の姿が浮かんだ。
その首から下はボンヤリとした白い肌の色だった。
そのままボーッとしていた明花。
「明花さん、これ、どうでしょうか…?」
カーテンを開けてしおらしく尋ねてきた美鈴が水着姿で明花の感想を待っていた。
彼女は両手を後ろに組み、ピッタリと足を閉じている。
こうして見ると、とても前世が男だったとは思えないくらいに美鈴もしっかり女の子していた。
時々言動や仕草が少し男性的にもなるのだが、基本女子の身体で女子として成長してきただけの事はある。
そして彼女の水着姿。
明花はなるべく清楚で少女らしいデザインの、露出少なめな水着を美鈴用に選んだ。
ボーイッシュな雰囲気もある美鈴のやや中性的な魅力と、貴族の女子らしい可愛らしさと淑やかさを感じさせる外見とのギャップによる魅力。
それぞれの魅力が相乗効果となる事で見る者の心を惹き付けるに違いない、そう明花は踏んだのだ。
確かに美鈴は他の発育の良い女子達に比べれば女性らしい魅力や色気には、やや欠ける。
だがそれが逆に先に述べたような魅力を引き出しているのだ。
何よりも、このギャップに水着を選んだ明花自身がやられてしまっていた。
「………いい。」
「………は?………な、何でしょうか、明花、さん………?」
「いい、とてもいいです。」
ホッと胸を撫で下ろす美鈴。
「そ、そうですか。それは良かった………。」
と、いきなり明花が親指を立てた右手を前に突き出す。
「とってもグッドですっ!ああ、なんて、なんて可愛らしいのかしら?美鈴さああん?!」
明花が唐突に美鈴に近づき、一気に抱き上げた。
「キャッ?!」
美鈴があまりの予想外の出来事に可愛く小さな悲鳴をあげた。
「素敵、素敵よ!…初めて見た時から可愛いと思ってたけど、やっぱり貴女はサイコー!!」
「ああ、これがフィギュアなら迷わず買って部屋に飾ってしまいたい!」
「は、はあ?!」
明花の口から予想外な言葉が発せられて美鈴は困惑した。
「そうだ!いっそ美鈴さんの抱き枕を作っちゃうとか?クックックッ………♪」
(お、思いっ切り腐女子だ…!)
美鈴はそう思った。
「もう、しっかりしてくださいませ!」
ピシャッ!とハリセンで明花の頭をはたく美鈴。
「…………はっ?!」
やっと我に返った明花。
「あれ?………あっ、……こ、これは?」
「やっと…元に戻ってくれましたか…。」
ハアーッと息を吐く美鈴。
慌てて美鈴を両腕から解放する明花。
「…………あの、私何か変な事しました?それか、変な事を喋ったり、とか………?」
おずおずとバツが悪そうに尋ねる明花だった。
「だ、大丈夫ですわ。ビックリしたし何言ってらっしゃるのか全然わかりませんでしたけど、別に気にしてませんわ。」
「………で、でも私変な風に見えませんでした?」
「もしそれが変な言動であったとしても、私の方が中身は数倍変だと自覚ありますから、全然平気ですわ。」
「そんな?美鈴さんは少し凡人には理解出来ない部分があるだけでとても立派なお方です!」
「なら、貴女も充分立派で普通ですわ。」
「だから、もし変な所があるとしてもそれはお互い様………それでよろしいですわね?」
美鈴は明花の両手を握った。
「あっ…。」
「私達は親友です。だからお互いに何も恥じる事はありません。」
「私は、例え貴女に変な所があっても受け入れますわ。」
「美鈴さん、ありがとうございます。」
「私も、例え貴女に変な部分があっても受け入れます。」
「明花さん。」
「美鈴さん。」
二人が見つめあう。
と、
パチパチパチパチ!
盛大な拍手が周りから起き上がった。
それは、お店の顧客達と店員達だった。
「ヒューヒュー!」
「いっそ親友から恋人になっちゃえ!」
「そしたら一気に結婚だ!」
「いやあ、おめでたい!」
「末永くお幸せにー!」
ヤンヤヤンヤ!と囃し立てられる美鈴と明花。
…………………………。
二人の間に『チーン』と言う幻聴が鳴り響いた。
「…わ、わた、私…制服に戻りますわね………。」
「私、玄関に、出てて…いいですか………!?」
二人は穴があったら入りたい気分だった。
そして美鈴の着替えが終わると二人はさっさと水着を買い、そそくさと店を後にするのだった。
その頃。
「ゲフッ………お嬢様達、遅いですねえ~。」
パンパンに脹らませたお腹を擦る愛麗。
「お茶飲み過ぎました………これでおトイレ、何回目になるのかしら…?」
トイレから出て来た芽友が疲れたようにテーブルに突っ伏した。
幾ら時間が余ったからとはいえ、二人とも飲み食いし過ぎだ。
カップルコンテスト出場を視野に入れてるのなら体型変化になるような事は避けるべきなのだが。
このあと、待たせた方の美鈴と明花の二人は側仕え二人から渡されたレシートを見て頬をヒクヒクとさせるのだった。
「今月中は、緊縮しませんとね。」
「私暫くは、夕飯はお粥にします…。」
この二人の両親は教育熱心なのか、以外に小遣いには厳しかったというのはここだけの話しだ。
いよいよコンテスト開催。
二人はミスコンテストとカップルコンテストの二冠制覇を達成出来るのでしょうか?
そして飲み食いし過ぎな愛麗と芽友は本当にカップルコンテストに出場する気があるのでしょうか?




