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第百五十八話【眠り姫…?】

件の人形の正体は…?


バタン。

美鈴メイリンが少し強めにドアを開けた。

普段ならお淑やかに気を付けて開けてるのだが、早足で来たくらいに気になる事があるようだ。


愛麗アイリー?!」


「あ、お嬢様。」

「ベッドメイキングは終わりました。」


「そう、ご苦労様。」

「じゃなくて、あの人形は?」


「そちらの机の上に置きました。」


「机?」

件の人形は美鈴メイリンの机の上にチョコンと置かれていた。

それを見た美鈴メイリンはホッとした。


愛麗アイリー、今日はもう下がって良いわ、お休みなさい。」


「はあ、ではこれで」

愛麗アイリーが部屋から出た。


「………」

美鈴メイリンは机の上の人形を睨んだままベッドに腰掛けた。


「ふう…」 

「そろそろ、正体をお見せになられてもよろしいのではありませんか?」


「ねえ、お姫様?」

美鈴メイリンはジッと人形を見つめた。


「…………。」


「まあ、返事はされませんわよね。」

美鈴メイリンはこの人形を行方不明のお姫様と疑ってたのか?


「では私はそろそろ湯浴み致しますのでそのまま寛いでいて下さいませ。」

美鈴メイリンは自室のドアを開き入ってしまった。

聖霊の仮面の入った上衣を脱いでいったから俺は美鈴メイリンの姿が見えない。

ホントは千里眼使えば見れるんだけど、…べ、別に興味無いからな?あんな中身が前世男のTSヒロインなんて!


コト…


ん?


コト…カタカタ…


何か動く音がする方を見ると。


カタカタ…

 

な、何い?


人形が、人形が立って動きやがった?!


「ふう〜っ」


人形の手が動いたぞ…


そんで人形は自分の顔に手を当てた。


カパ…


「あ〜あ、もうバレてるのかなあ?」


人形が、喋った…


あ、人形の顔が外れた。


人形の顔の下にはまた別の生身の人間の顔があった。


人形は更に髪を引っ張る。

すると金髪ロングの下からスルッと黒髪ロングが表れた。


更には瞳の色まで青から黒に。


「うまく変装したつもりだったのに…」

「でもまあバレたらバレたで…フッフフフ…♡」

ムクムクと人形サイズから大きく成り始める姫様。

人形サイズの服が弾けて年相応な身体のラインが現れた。

彼女はクローゼットを物色し、上着を羽織る。

「貴族にしては質素だね…」

「胸とお尻が少しキツイかも…まあボタン緩めればいいか。」

胸元と下半身のボタンを外すと谷間や絶対領域がチラチラする。

「それかいっそ、服着ないでベッドの中に押しかけちゃおうかな?」

クスクス笑う姫様。


…コイツ美鈴メイリンに何する気だ?

てかまさかコイツがホントに行方不明のお姫様なのか?

口調はかなり砕けてそうだ。

まあ外様相手では猫被ってるとしたら王族とはいえこんなものかも知れんけど。


本当にこの姫様、何がしたくてこんな所まで?

取り敢えず人形が姫様の擬態だってことを美鈴メイリンに知らせてこうか?


そう考えてると美鈴メイリンの声が聞こえてきた。

「ふう…さっぱりしましたわ。」


姫様はそそくさとクローゼットへ身を隠した。

さっきの人形が消えた事に気付かれたらヤバいと気が付かないらしい。


ガチャ

美鈴メイリンが寝間着姿で出て来た。

「おや?」

美鈴メイリンの目が机の方を向いてる。

早速人形が消えた事がバレたらしい。


暫く目を閉じ、それからベッドに腰掛けた。

「そろそろ出て来てはもらえませんか?」

「この部屋に隠れてるのは承知しておりますのよ?」


「…お姫様?」


カチャ…


「あ〜あ、やっぱりバレてたんだ?」

悪びれる事無く姫様はクローゼットから姿を表した。

それを見て美鈴メイリンは膝をつく。

「何か重要な理由がおありでしょうけど、明日の朝までこの部屋を出ないでもらえませんか?」


「そんなかしこまらないでよ」

「部屋出るなと言ったよね?もしかして添い寝してくれるの?誘ってるの?!」

姫様は目をキラキラさせながら言った。

ゾクッ…!

美鈴メイリン葉身の危険を感じとったのか冷や汗垂らしてる。


「お姫様はベッドをお使い下さい、私はソファで寝ますので。」


「ええー、一緒に寝ようよー。」

ヤダヤダと駄々をこねる姫様。


「いけません姫様!お互い年頃同士です、どんな噂を立てられるやも知れませんよ?」


「アナタはヘタレ?そうなのね?ガッカリー!」

美鈴メイリンはこの言葉にカチンと来たようだ。

「はしたないお姫様に言われる筋合いございませんわ!」

美鈴メイリンが手を翳すとお姫様の目がトロンとし、そしてユックリ前に倒れる。

催眠魔法か。

そのまま美鈴メイリンの腕に抱きとめられた。

「わがまま言わず今夜はこのまま寝ていただきますわ。」

姫様はベッドに寝かしつけられ、美鈴メイリン

はソファに予備の毛布をかけて寝た。

「果たしてどんな理由でこんなとこまで来たのやら…」

「案外たいした理由無いのかも知れませんけど。」

美鈴メイリンは姫様を見ながら面倒くさそうに呟いた。

「こっちはこっちで大変かも知れませんのに…」

ぶつくさ文句言いながら美鈴メイリンも眠りについたらしく、寝息を立てていた。


…何も無さそうだし、俺も寝るか。


そして翌朝。

「お、お、お嬢様あ〜っ?!」

愛麗アイリーの悲鳴が目覚ましとなった。


「う〜ん?」

「あ…」

ソファーで寝ていた美鈴メイリンの毛布から甘えるように美鈴メイリンに抱き着くお姫様の上半身があった。


それを見た愛麗アイリーと言えば…

興奮のあまり鼻血吹き出し硬直していた。


「これはやられましたわ…」

戸惑う美鈴メイリン

しかし

(こうしてると案外可愛らしいですわねこのお姫様も)

美鈴メイリンはやんわり微笑んでいた。


おい、満更でもなさそうな顔すんじゃねえ。

明花ミンファも泊まってる事忘れるな!









人形はお姫様!

このお姫様、何を考えて行動してるのやら…。

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