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第百四十七話【いざ王城へ?!】

王城へ明花ミンファが招かれた?

メンバーはあーでもないこーでもない、と憶測や話し合いをするのですが…。


ようやく風邪をひいて高熱を出していた鳳華音フォン・ファインの熱も下がり、全快したのだが。


「何と!もう大晦日も直ぐそこになりましたわね!」


「早いものですねー、ついこの前に北部地区へ来たばかりですのに。」


愛麗アイリーなんかは補習期間が長かったから実質北部地区へ来てからが冬休みみたいなものでしたよね?」


「そーなんですよー、それなのにもう今年も終わるんですねー。」


「ふう…年が明ける前に風邪が治って良かったですねお嬢様?」


「全く、今年は学院対抗戦といい色んな事が多過ぎでしたね。」

チャプ…と手でお湯を掬い顔を撫でる華音ファイン


今、彼女らは全員水着着用で大浴場にいる。


やはり全員仲良くお風呂に入りたい、と華音ファインからリクエストされた美鈴メイリン達がそれに応えた格好だ。


「まあ、一応は屋敷の中とはいえボディーガードの依頼を受けているわけですからね。」

闘姫ドウ・ヂェン一人だけが周囲への警戒意識が強かった。


「ええと…ヂェン、さん?まだそんなに気張らなくても良いんですよ?」

華音ファインな生真面目なヂェンに少し困り気味のご様子だな。


「さて、年末はともかく差し当たって年明け。」

「つまり我が国の主要十二貴族が王城へ新年の挨拶に出向かねばなりませんわね。」


「ええ、これまでは領主である父役母上ちちうえ母上ははうえが任されて来ました、が。」


「学院高等部、それも成人年齢ともなると貴女達も顔を出さなければなりませんよ、美鈴メイリンさん?」


「勿論ですわ、フフフ…子供の時に当時の国王、王妃様にお会いして以来ですわ。」


ただし、主要十二貴族の当主と妃以外は招待状受け取ってないと王城内に入れないけどな?

そこは暗黙の了解というか、当然この二人にも常識なんだろうけど。

まあ子供の頃は一度だけ初顔見世で入場出来るんだがな。


「楽しそうですね、美鈴メイリンさん?」

 

「ええ明花ミンファさん、またお会い出来る日を心待ちにしておりましたもの♪」


「『現』国王王妃ではなく『前』国王王妃に、ですか?」


「はい華音ファインさん、昔可愛いがられた時の思い出が懐かしくって。」


「ウフフ…この国のトップとお会いするというのにまるで緊張なされないんですね、美鈴メイリンさんは。」


「あら、失礼してしまわないように少しは緊張してますのよヂェンさん?」


「これは失礼(笑)。」


この一連の会話には側仕えの二人は蚊帳の外だった。

「どーせ私は王城の外でパーティーが終わるのを待ってるだけですけどねー。」

「良いじゃありませんか愛麗アイリー、ウチのお嬢様のお家なんか呼ばれてすらないので私は王城の手前まで行く事もないんですから。」


「あ、その事なんですけど。」

「今年はウェン家も特別に年始の招待の通知が届けられたそうですよ?」


「「ええっ?!」」

華音ファインからの意外な情報に思わず明花ミンファ芽友ヤーヨウが驚きの声を上げた。


「そんな…私聞いてません…それに、何で私の実家が?まだ貴族の身分を授かったばかりなのに…」


ここで美鈴メイリン明花ミンファに説明した。

彼女が困惑してるのを見てられなかったんだろう、これはとても良い傾向だ、ウン。

「ええと…明花ミンファさんが新年の王城招待をご存知無かったのは、多分連絡の行き違いでございましょう。」


「連絡の行き違い、ですか?」


「ええ、招待状が送られたのは今月始めだと致しましょう、そしてまず王都より離れたウェン家のご実家に送られます…そうですわね、確かウェン家のご実家は第五都市と以前聞きましたので…早馬を飛ばしても1週間以上はかかるでしょう。」


「た…確かに…」


1週間!!

そんなにかかるのか?!


…と、一瞬前世の感覚で考えたが…よくよく考えて見れば交通の発達した前世でも郵送すれば国内でも距離があればそれに近いくらいは要するんだったな。

まあ大抵は精々3日から5日程度ってとこか。


この世界では魔法が発達したとはいえ、手紙なんかは馬で運ぶのが常識だから…まあ場所によれば一部公用の鉄道区間を用いて短縮も可能だけど、それを考慮してもやはりこの国でも距離が離れてれば1週間かそれ以上はかかるんだろうな。


「そしてご両親が明花ミンファさん宛に手紙をしたため翌日郵送する、これで2日は経過致します。」


「で、王都近郊の中央貴族学院の生徒寮までがやはり1週間経過しますわね、となると?」


「は、半月以上はかかる計算になりますね…」


「ええ、そしてその手紙が届くのはおそらく学院が冬休みになる頃。」


「あ、ちょうど明花ミンファお嬢様がリー家におられてたタイミングに重なりますね?」


「ええ。今頃はウェン家ご両親から届いたお手紙は学院寮のポストに届けられ、誰かが明花ミンファさんの部屋のドアにでも挟んでおられると思われますわ。」


「なるほど…つまり王城からの新年の招待の連絡が明花ミンファさんに届いて無いのは手紙の郵送期間が長くて受け取るタイミングと合わなくなったからですね。」


「それって逆に言えば私が皆さんと一緒に北部地区まで付いて行ったせいでしょうか?」


「でもそれは仕方の無い事ですよお嬢様、私達はそんな連絡が来るとは思いもしなかったのですから。」


「…そうですね芽友ヤーヨウ、そう考える事にしましょう。」

「それにしても何故、ウェン家が王城に?それも新年の行事に招待されたのでしょうか。」


「それは勿論、魔法医学を発展させた功績ではありませんの?」


「いえ、可能性はそうですけど…」

「まだ魔法医学で開発された学問や薬、道具はこの国全体に浸透してはおりません。」

「それに学術書、薬、道具の生産はまだまだようやく第五都市とその近郊に広められたばかりでそれ程の偉業にまでは至らないかと…。」


「ふむ………、となると今後の王都や国全土への量産普及について話し合う為…つまりビジネスを兼ねて、ではありませんか?」


「ビジネスですか?」


「そうですね、建前上は新年パーティーへのお誘いで、その実は魔法医学を全国普及させる為の会談も兼ねていた…有り得る話しですね。」

鳳華音フォン・ファイン明花ミンファ達の会話に入ってきた。


「ああ、勿論パーティーへのお誘いそのものは事実だと思いますよ?一石二鳥ということです。」

新年パーティーの招待がカモフラージュの為の「ついで」と取られないように慌てて華音ファインはフォローした。


「まあいずれにせよ、新年王城前にこちらから出向けばわかる事ですわ!」

「それもそうですね!」

「では、早めに出発致しましょう!」

「具体的に何日かかるのでしょう?」

「大丈夫です、我が家のポータルからなら一日あれば充分…」

皆が盛り上がってるところ、一人冷静な声が…。


「しかし、肝心の招待状を門番にお見せしないと王城内には入れないのでは?」

この闘姫ドウ・ヂェンからの言葉に全員が口あんぐりとなった。


「…愛麗アイリー、貴女招待状預かって来ましたわよね?」


「ええっ?」

突然の美鈴メイリンから話しを振られ…というか責任を押し付けられる格好になった愛麗アイリーは思い切り困惑した。


美鈴メイリン様、私達は学院寮から直接愛麗アイリーを連れて来たではありませんか。」

芽友ヤーヨウは呆れた。


「あの…実家からの招待通知を受け取ってない私も当然持っておりません…。」

明花ミンファも申し訳無さそうに話した。


「…闘姫ドウ・ヂェンさんでしたっけ?貴女も…?」


「は、はい…名門貴族というわけでは無いので当然…。」

正確には数百年前に生きてたから既に故人扱いの彼女は戸籍そのものが無いんだがな。


「では、今現在招待状持っているのは私だけ?」

華音ファインは頭を抱えた。


「し、しかし美鈴メイリン様はご両親が招待状を預かっているかも知れませんよ?」

今まで黙ってた小雀シァオ・チュィエはココぞとばかりにフォローした。


「で、ですわよね?」

「ウチの両親の事ですから単に私に渡し忘れただけですわ!?ホントうっかり屋さんですもの!」

まあ、似たもの家族だからな。


「でも私の場合両親が学院寮宛の手紙に招待状を挟んでる可能性が…」


「それは行くだけ行ってみる事ですわ、仮にそれでダメだったとしてもその間は王都観光でも楽しめば良い事ですし…」


「…そうですね、私も別に王城に行きたくて仕方が無いわけではありませんでしたから。」


この明花ミンファからの言葉に美鈴メイリンは少しだけ安堵した。


「では決まりましたわね、大晦日は王城前に全員で突撃ですわ!」

「王城に入れたメンバーは王城に、入れなかったメンバーは王都観光ですわ!」


「あの…王城内には無理矢理にでも美鈴メイリンさんだけは入れるよう手を尽くしますよ?」


華音ファインさん?」


「私のボディーガードですからね!」


「で、でしたわねー。」

(王城に入れない場合はせっかく華音ファインさんから離れて明花ミンファさんと闘姫ドウ・ヂェンさんと三人で仲良く王都観光出来ると思いましたのに…!)


…ボディーガード期間中は華音ファインから逃れられそうにないな、美鈴メイリン


というか三人でお出かけするなんて、却って大変な目に会う光景が目に浮かぶのは俺だけか?


結局開き直って王城へ出発!となりました。

さてさて、正月早々なにやら大騒ぎの予感…?

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