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第百四十三話【期待の北へと向かったーっ!?】

愛麗アイリー、やっと合流!

そして都市間ポータルで北方都市への旅立ち。


愛麗アイリーが寮の食堂で一人寂しく朝食を食べ終え、食器を下げようとした時。


愛麗アイリー、お待たせしました!!」


「ホラホラ、ご主人様と貴女の親友がわざわざ迎えに参りましたわよ!」


窓の外から二人の声がした。


愛麗アイリーはもしやと胸に期待を膨らませ窓から顔出す。


「や…芽友ヤーヨウ?」

「それに…お嬢様!」


愛麗アイリーの瞳がウルウルし始める。


そして食器を下げると一目散に二階の階段を駆け下りる。


既に玄関には美鈴メイリン芽友ヤーヨウが待っていた。


「うううっ、お、お会いしたかったですうう〜〜っ(涙)!!」

愛麗アイリーは両目に涙を溜めながら迎えに来た二人を両手でギュッと抱き締めた。


「私もです、愛麗アイリー…。」

芽友ヤーヨウは恋人らしく愛麗アイリーを抱き締め返した。


が。


「これに懲りてもう少し普段から勉強する習慣でも身に付ける事ですわね。」

美鈴メイリン愛麗アイリーの自己責任とばかりに塩対応だった。


「ええー?お嬢様は授業で殆どの内容を覚えてしまえるからそんな他人事なんですよう〜!」


「あら、私こう見えて魔法や剣術の勉強は怠った事はございませんわよ?」


「いえ、それ試験範囲の勉強と違うと想いますけど…。」

芽友ヤーヨウ美鈴メイリンが話しを逸らしたので苦笑いした。


「とにかく、早く私も連れてって下さい!」


愛麗アイリー、その前にその食器を片付けていらっしゃいな?」


「…あ、そでした、そでした(笑)。」


ガチャガチャと食器を片付けに行く愛麗アイリーを待つ間、芽友ヤーヨウは瞬間移動に必要な魔力量を確認する。


美鈴メイリン様、アミュレットの魔力量は丁度半分、ギリギリですね。」


「そうですの?なら途中で寄り道などもっての他ですわね。」


「ええ、実は前に愛麗アイリーが余計な雑念を入れたせいでアッチコッチに飛ばされ面倒な事になった経験がございまして…。」


「それは…少しばかり不安ですわね。」


まあ美鈴メイリンが不足分の魔力を注入してやれば楽勝だろうけどさ。


「少し待ってて下さーい、荷物を持って参ります!」

食器を片付けた愛麗アイリーが今度は二階へ荷物を取りにドタバタと階段を登って行った。


「やれやれ、相変わらず忙しい子ですわ。」


「クス…でも何故か安心するんです、あのコの生き生きした姿が見れたせいか。」


「私はまたあのコのドタバタを見せられるかと思うと…せっかく静かでしたのに。」


「それが美鈴メイリンさんの運命では?」

そう言って芽友ヤーヨウは更にクスッと笑う。


「まあ…仕方ありませんわね、アレが私の側仕えですもの。」

美鈴メイリンもまたクスッと笑った。

コイツもまた愛麗アイリーの事を憎からずと思ってるんだろう。

そういや前に妹みたいに思ってた、なんて考えてたようだし。


そんな事思ってる美鈴メイリンも充分騒がしくて手が焼ける妹みたいに俺は思うけどな。

…あ、コイツ前世男だったから弟みたいな親友ってところか?


まあそんな事考えてると漸く愛麗アイリーが戻って来たのだが…。


「お、お待たせ…しました…ぜいぜい…。」

息を切らして愛麗アイリーが二人の前に戻って来た。


「あ、貴女…その荷物の量、夜逃げでもするおつもり?」


愛麗アイリー、向こうへの帰りには三人分プラスその荷物量になるんだけど…それだと魔力量が足りませんよ?」


「そうなんですか?でもお嬢様の魔力があれば余裕でしょ?」


「アナタね、私は常にもしもの事態に備えて魔力量は無駄使いしないようにしていないと…。」


「大丈夫ですよ、まさか移動先にこの前みたいな魔族四天王とかはいないですよ♪」


「…おい、その台詞は思い切りフラグですわよ!」


「フラグって何ですか美鈴メイリン様?」

キョトンとする芽友ヤーヨウ


「〜いえ、単なる独り言、ですわ…。」


「とにかくその荷物減らしなさいな、両手の荷物は部屋に返して背中に背負ってる分だけにしなさいな!」


「………は〜い。」


スゴスゴと部屋へ荷物を返しに戻る愛麗アイリーだった。


「…まあ、念の為に少しは魔力の補充もしておきましょう。」

美鈴メイリン芽友ヤーヨウのアミュレットに手を翳し、魔力光を放出した。


「え?凄い!あっという間に満タンです!」


「え?もうそんなに補充出来てましたの?」


思ったより魔力を出してしまったようだ。


…まさか、この前の魔族四天王との戦いで結構本気出して魔力消費したせいか?

それで魔力の蓄積容量の上限が増えて放出される魔力量も上がったんじゃ無いだろうな。


という事は、コイツ強い奴と戦えば戦う程に更に強くなるのかも知れないな。


実は味方ながら恐ろしい奴だったりして(笑)。


それから愛麗アイリーが戻り、やっとの事美鈴メイリンの実家へと瞬間移動したのだが…。


(あ〜、もうすぐお正月ですね〜、お餅とか食べたくなっちゃいました〜。)

等と余計な事を考えた奴が居たせいで。


「らっしゃ〜い、ウチの焼き餅は美味しいよ〜。」


三人の目の前には焼き餅屋の屋台があった。


「「コラッ、愛麗アイリー?!」」


「ええっ?何で私のせいって、決めつけるんですかあ〜っ?!」


いや、オマエ以外に考えられんだろうが?


……………………………。


ともあれ、三人は無事にリー家の館へ帰還した。


その場所は館の地下にある都市間ポータルの直ぐ手前で、とっくに出発準備が整い出発する者達と見送る者達が勢揃いしていた。


彼女らは美鈴メイリン達三人が大量の袋を持っている事に口あんぐり。


「三人とも御帰り…しかし何だね、その荷物は?」


「こ、これは…ちょっと説明致しますと…」


………………。


「…と、まあそんな事がございまして…。」


明花ミンファ闘姫ドウ・ヂェン美鈴メイリンの両親達の目の前に帰還した美鈴メイリン達の手にしていた袋の中身は屋台で売ってた大量の焼き餅であった。


これは「愛麗アイリーが食べたかったから買いましたけど…もうどうせだからついでに皆さんへのお土産も買うといたしましょう!」


…等とここのお嬢様が抜かしたからだ。


「こ、これはお昼のお弁当代わりに丁度良さそうですね(笑)。」

明花ミンファがすかさずフォローした。


「そ、そうでしょう?美味しそうですものね!流石は明花ミンファさん、私の目の付け所を分かっていらっしゃいますわ♪」


【ば〜か、忖度だよ忖度。】


(うっさいですわ!)

(あの明花ミンファさんがそのような事…)


【顔見てわからんのか?あのコなりの優しさ、気遣いだよ】


(あ…)


明らかに明花ミンファの目元は困った目になっていた。


と。


「こんなに沢山、これは食べ応えがありそうですね、流石は美鈴メイリンさん♪」

闘姫ドウ・ヂェンは本気で喜んでいた。


「あ、あはは…そうで、ございましょう…?」

明花ミンファの反応を見た後だと、流石にこれには美鈴メイリンの方が逆に力無く笑うしかなかった。


「では私達の分はフォン家の皆さんへのお土産にするといい。」


リー当主が鞄を用意するや、大量の焼き餅をその中へと吸い込んでしまった。

ついでに皆の手荷物も。


「え?その鞄まさかマジックバッグですか?」

明花ミンファが驚いた。

大量の荷物を、それも掃除機で吸い込むように収納してしまったからだ。


「如何にも、これは王家から我が家の家人に与えられたものなのだよ。」


「なるほど、だから単なる収納自慢なだけでなく吸引収納まで可能なのですわね。」


美鈴メイリンもいずれ家を継いだら与えられる事になるよ。」


「となると色んな武器が入れ放題ですわね☆」


【そこは何で武器になるんだよ…】

俺はとても女のコらしからぬ発想する美鈴メイリンに呆れた。

せっかく美少女主人公に転生してるんだからも少し内面を女性らしく磨いてくれよ…。


「良し、ではこの鞄を馬車に積めば準備完了だ。」

当主は先程のマジックバッグを馬車の荷台に積んだ。


「それでは皆さん、馬車に乗りましょう。」

御者は闘姫ドウ・ヂェンが務めてくれるらしい。


「では父役母様おとうさま、お母様、行って参りますわ。」


「奥方様、ご当主様、行って参ります。」


「うむ、楽しんできたまえ。」


「身体に気を付けるのですよ…まあ貴女達二人にそんな心配無用かも知れませんけど。」


「一言余計ですわお母様?」


「あはは…奥方様らしいお言葉ありがとうございます…。」


まず美鈴メイリン愛麗アイリーが馬車に乗ると、続いて明花ミンファ芽友ヤーヨウも馬車に乗る。


馬車はポータル発生用サークルの上で停車した。


「良し…では開け、ポータル!」


ヴォン!


「座標は国内の北方都市…フォン家の都市間ポータル!」


ブウウウ…


馬車を淡い光が包み込むと空気が振動する。


「こ、これが都市間ポータルの発動ですか?何だかワクワクしますね美鈴メイリンさん?」


明花ミンファさんもワクワクしますか?実は私も都市間ポータルは初体験なのですわ!」


【おや、このバカップルは似た者同士らしいな。】


(だ、誰がバカップルですの?)


【しまった、聴こえてたか(笑)。】


勿論知っててワザとからかったのだが。


「都市間移動、開始!」


シュン!!


当主の叫びと共に俺達の視界が真っ白になる。


「さあこれで数秒後には北方都市ですわ!」


美鈴メイリンが期待を膨らませながらそう叫んだ。




果たして都市間ポータルの先の北方都市で美鈴メイリン一行を何が待ち受けるのか?

…まあフォン家のお出迎えは間違い無くあるでしょうけど。

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