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第百三十一話【電光烈火、爆………。】

白百合のプリンセスから黒竜のプリンスとの戦いを引き継いだ電光烈火でしたが、数百年の時を経て強化された黒竜のプリンスは予想出来なほどの脅威となっていたのでした。


カン、カカカン、ガツッ、ガイン!!


身の丈三十メートルもある黒竜のプリンスの巨体から振り下ろされる大剣。

それを互角に受け止め反撃する電光烈火こと美鈴メイリンが名乗るところの超速星チャオスウシン


『中々やるな!』


「そちらこそな!」


パワーだけでは無い。

速度も素早い。

魔力で全身強化した黒竜のプリンスはその体躯からは信じられない程のスピードで剣を繰り出す。

そればかりか。

ヒュン!


「私の剣を避けただと?」


『驚いたか?』


「ならばっ!」


ヒュヒュン、シュバッ!

フェイントを織り交ぜ、更には剣の軌道を変化させた、これなら!


ガツッ!


『…効かんな。』


「クソッ、またか!」


そうなんだ。

黒竜のプリンスは攻撃力や運動性能だけではない、防御力まで白百合のプリンセスを相手にしていた時とは桁違いに向上していたんだ!


特にこの防御力は厄介だ。

パワーとスピードが自慢の電光烈火と互角なだけではなく、ここまで電光烈火の攻撃を受け付けないとは…。


伊達に魔族四天王を名乗るだけじゃないってことか!


『弱くなったな電光烈火、以前の俺は敵わなかったが、今ならキサマを地に伏せさせられる!』


「抜かすな、まだまだ私は本気を出してはおらん!」

電光烈火…超速星の剣が光った。

シュバッ!


「ふん、また同じ技…」


しかし。


ビキッ。


『ぐっ?』


「どうだ?ちょっと剣に魔力を纏わせてみたが。」



『ふん、こうでなくては面白味が無いな。』

黒竜のプリンスは寧ろ楽しそうにニヤッとした。


『ではお返しだ。』

黒竜のプリンスの口が大きく開くと、そこからブレスを発射した。

「うおっ!」

漆黒の魔力を纏った火炎放射がまるで光線砲のように放たれた!

それを咄嗟に避ける電光烈火。


ジュウウゥ…。


地面が溶けた。

それも抉れるように。


それは人一人中に入れる程の大穴となった。


(さ、流石に今のを受け止めていたら幾ら防御しても危なかったかも知れませんわね。)


「案ずるな、あれしきのブレスなど幾らでも躱せる。」


【しかしコレは想像以上に厄介な相手だな。】

まさか電光烈火をもってしても互角で手を焼かせるなんて…。


『何を突っ立っている?魔力切れでも狙ってるのかも知れないが、俺の魔力はまだまだ八分程度は残っているぞ。』


そうか、なら魔力合戦なんてしたら逆に電光烈火と美鈴メイリンの方が…。


(私ならまだまだイケますわ!)


(何より白百合のプリンセスさんをあんな目に合わせたヤツ相手に屈するなどあってはならない事ですわ!)


(言うではないか、それほど輝光姫フゥイグゥァン・ ヂェンの事が好きなのか?)


(と、友達としてですわ!)

美鈴メイリンは顔を真っ赤にして反論した。

…おい、まさかオマエ彼女に気があるのか?


その白百合のプリンセスは明花ミンファの魔法医術を用いた回復魔法により意識が戻ったようだ。

「あ、気が付かれましたか?」


明花ミンファ…さん?」


「もう大丈夫です、大まかではありますが負傷した患部はある程度回復してますし魔力も少し補充しておいたのでここから歩いて帰れるくらいなら大丈夫…。」


「ありがとうございます、でも私より美鈴メイリンさんは?黒竜のプリンスの脅威はどうなったのです?」


美鈴メイリン、さん…。」

明花ミンファはその名前を口から出した後に言い淀んだ。

「あの…あの方は本当に美鈴メイリンさんなのです、よね…?」

現実を見たのに今だ半信半疑な明花ミンファだった。

「まさか…変身を見たのですか?」

白百合のプリンセスは思わず聞き返した。 

「はい、でも今だにアレは本当だったのか信じられないんです。」


「はあ〜、なんで明花ミンファさんの視線に気が付かなかったのかしら美鈴メイリンさん…。」

白百合のプリンセスは愚痴を零しながら立ち上がる。


「それで、貴女以外にこの事は?」


「誰も他には見てないと思います。」

そんな会話をする二人の頭上を金属製の鷹がバタバタと飛んでいった。


「アレは最新式の魔道具…鷹の目ですね。」


「従来の空間固定式鷹の目と比べて色々な角度や方位から映像や音声を拾えるのだそうです。」


「良かった…アレがもう少し早ければ明花ミンファさん以外にも、それこそ学園中に超速星チャオスウシンの正体がバレるところでした。」

取り敢えずはホッとする白百合のプリンセスだったが。


「あの、美鈴メイリンさんは何故…。」

明花ミンファが言いかけたところで

『ズドドドーン!』と

グラウンドの結界の中から衝撃音が鳴り響いた。


『フハハハ!』

高笑いが聴こえた。


黒竜のプリンスがニヤリとしている。


「ぐ…う…。」

対して向かい合う電光烈火は片膝を地に着けていた。


「な、何が起きたんです?」

白百合のプリンセスと明花ミンファはその光景に息を呑んだ。


『おーっと、何という事でしょう?』

『あの魔族らしき巨体を前にあの超速星チャオスウシンが膝を着いています!』


『これは一体どういう事でしょう?当初私達は白百合のプリンセスが突然現れた巨大な魔族に立ち向かっているとの情報から魔道具鷹の目を飛ばして状況観察したのですが…。』


誰かが学園の生徒達に状況がわかるよう実況してるようだ。

これは現生徒会から報告を聞いた旧生徒会の手筈なのか?


それはどうでもいい、問題なのは電光烈火、そして美鈴メイリンが置かれている状況だ。


かくいう俺も美鈴メイリンの着用している聖霊の仮面の中にいるんだから一蓮托生なんだが。


ぶっちゃけて言おう。


非常にマズイ。


何がマズイか、そこに至る経緯だが…


まあ戦い自体は互角だったんだ。


双方引けは取らない。

魔力切れが勝負の別れ目という予測もあったが、それすらもほぼ互角のようだった。


つまり相手である黒竜のプリンスもまた美鈴メイリンに引けを取らない魔力量の持ち主だったようだ。


このまま引き分けに持ち込み、向こうに諦めて帰ってもらうのも有りか?という案が俺の頭の中をよぎったんだが…。


その時、流れ弾となって結界の一部に黒竜のプリンスの放ったブレスが当たった。


するとそこの結界は弱まっていたのか亀裂が生じた。

そこには結界を維持してる赤服の一人がいたんだ。


「マズイ、またあそこに当たれば…!」


「そんな事させませんわ!」


『フハハハ!』

黒竜のプリンスはコッチの思惑も知らずブレスをぶちかます。


他の結界部分にも負荷がかかってきたのか、所々が歪んで見えた。


【そうだ…コイツのブレスは闇の魔力を纏っていた…だから結界にも影響を与えるのか。】


「結界のエネルギーを吸収する事でその作用を弱めてるのですわね!」


「このままでは結界は消しとんでしまう!」


そうなれば結界をしてる赤服達は勿論、まだ動けない白百合のプリンセスや彼女を介抱している明花ミンファが危ない。


そして結界が壊れればこの黒竜のプリンスが外に出て学院や王都にも…。


「それだけはなりません!」


ブオオッ!


超速星チャオスウシンの電光烈火の鎧が輝き、全身をシールドで覆う。


『シールドか、面白い!どこまで耐えられるか試してやろう!』


「ふん!そっちの魔力が先に尽きるのがオチだぞ!」

電光烈火は強気に言い返す。


けどこのままじゃどちらもジリ貧だろうがな。


しかもコッチは結界守らなきゃならないから、ヤツの攻撃を受け止め続けなきゃならない…コレはキツイ。


ズドドドーン、ズバアアン、ドシャアン!!


黒竜のプリンスはバリエーションを変えながらあらゆる攻撃を仕掛けてきた。


だが超速星チャオスウシン…いや、電光烈火はシールドを展開してるとは言え結界の盾となりその攻撃全てを敢えて受け止めた。


「くっ、このおっ…!」


「耐えるのです、耐えて下さい電光烈火!」


【か、仮面の中にまで衝撃音が…!】


『フハハハ、何時まで持つかな?』


「チョーシこいてんじゃありせんわー!」

美鈴メイリン超速星チャオスウシンの両手から氷槍アイスランスを放った。


『こんなもの、』


パリイン!

黒竜のプリンスは尻尾でこれを薙ぎ払った。


氷槍アイスランスの破片が舞い、黒竜のプリンスの尾に付着する。


『この程度の反撃しか出来ないとはな、そろそろ限界か?』


(…悔しいが今防御に注いでいる魔力をアイツに有効な攻撃力へと回せる程の余裕は無い…。)


(…今に見てらっしゃい黒蜥蜴!)


美鈴メイリンが憤っているけどしょうがない。


…………と、ここまでが明花ミンファ達が気が付いた光景までに至る経緯だ。


「このままでは…。」

白百合のプリンセスが不安そうな顔をしていた。

「大丈夫、大丈夫です、きっと…」

「今までだって大丈夫だったんです、美鈴メイリンさんは…。」

明花ミンファは自分に言い聞かせていた。


アイツらの為にもここは何とかしたいが…。


と、ここでポツリと電光烈火がこんな事を。

「そう言えば…まだオマエ達に私の素顔を見せた事無かったな…。」


【あ、言われてみりゃあ…】

ゲームのグラフィックでは知ってたけどこの世界の生ではまだだった。


「嫌ですわ、何をフラグみたいなことを…。」


「フラグ、とやらが何の事かは知らぬが…」

「もうすぐソレが見れるのかも知れん…。」

ピキッ。


「な、何の音…ですの?」


【…おい、鎧の向こうから光が…?】


「ふ…」

電光烈火は笑った。

「どうやら…ここまで…か…」


「ななな、何を、おっしゃってますの?」


【こ、攻撃だ、残りの魔力全部を攻撃に注いでアイツを…!】


俺の声に同意したのか、徐々に魔力が大剣へと注がれていく…が…


『もう遅い!』

コチラの動きを見越していたように黒竜のプリンスは大きく剣を振りかぶる。


それは漆黒というより暗黒に満ちた剣だった。


『教えてやるぞ、真のブラックホール…真の闇を…!』


そしてヤツは剣を、振り下ろした!


『サラバだ!』


ゴオオオッ!!!


その闇が襲って来た。


まだまだこれから光が増してゆく途中だった電光烈火の大剣。


それが襲って来る闇を防いだ。


…しかし、光が弱々しくなり始める………。


そのうち剣が見えなくなった。


そして視界が暗く…なって…、


美鈴メイリンさーん………)


遠いような、近いような場所から声が。


パキッ


何かが折れる音がした。


…そして。


メキッ、メキッ。


メキメキッ、


バリイン!!


バァーン!!!


轟音が、


轟いた………………。

視界が埋め尽くされました。


嫌な音が響きました。


果たして電光烈火は…美鈴メイリンと仮面の聖霊こと名尾ナビ君は一体どうなってしまったのでしょうか…。



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