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第百二十九話【学院祭・最終日…その⑦黒と白の因縁は百合のマリアージュを呼ぶ?】

赤服達はグラウンドを占拠するのですが、何とその目的は…!

そして明かされる白百合のプリンセスに起きた過去の因縁とは…?


赤服集団達はグルリとグラウンドを取り囲んだ。


すると結界が生じ、グラウンドと生徒達は分断された。


「今のうちに救出を!」


【そうだな。】


いつの間にか愛麗アイリー芽友ヤーヨウが生徒達の背後に到着していた。

「皆さん、早く今のうちに!」

芽友ヤーヨウがその場にいた生徒達に退避を促す。

愛麗アイリーはといえば、何時でも防御シールドを展開出来るよう両手を前に突き出し身構えていた。

「キミらは逃げないの?」

退避中の生徒が愛麗アイリーに話しかけた。

「私は美鈴メイリンお嬢様の攻撃を無効化出来るレベルの防御が可能なんです!」


「へ?嘘でしょ…」


「ホントです、彼女は日頃から美鈴メイリン様にセクハラに対する反撃…もとい、鍛えられてるのを私も見て来てます!」


「そ、そうなの?…なら安心ね。」


「ですので、早くここから避難して!」


「うんわかった。」


愛麗アイリー達を気遣って立ち止まっていた生徒達は再び避難し始めた。


そして。


「見て!光る玉が空に!」


誰かが指差して叫んだ。

 

光る玉が浮遊しグラウンドの結界近くの上空で止まった。


「仮面の剣豪・聖練潔白、又の名を白百合のプリンセス!ここに降臨!」

白百合のプリンセスだ。


「キャーッ、来られましたのね?白百合のプリンセス様ーっ!」


キャーキャー♪とそこら中から黄色い声援が。


「皆さん、個々は私に任せて退避なさって下さい!」


「「わかりましたーっ♡」」


生徒達は白百合のプリンセスを眺めながらユックリ、静々と立ち去った。

だが白百合のプリンセスを少しでも眺めていたいからなのか、中々彼女らの姿は遠くはならなかった。


その様子を見てちょっとだけ頭を抱える白百合のプリンセス。

そして。

「白百合のプリンセス様ー、皆の避難は完了しましたー!」

「ご苦労様でした、貴女達も早く!」

「え?でもー。」

愛麗アイリー、足手まといにならないうちに避難しますよ!」

愛麗アイリーはグイグイと芽友ヤーヨウに手を引っ張られて遠ざかってゆく。

「アイタタ…引っ張らないで〜…」


「さて、これで集中できますね。」

白百合のプリンセスは魔法陣の方に向き直った。


【聴こえるか、白百合のプリンセス!】


(仮面の聖霊様?)


(プリンセスさん、私も居ますわ!)


美鈴メイリンさん、いらしたのですね?)


【俺達は隠れて出番を待ってる。勿論キミだけで何とか出来るならそれに越した事はないが…。】


(大丈夫です!)

白百合のプリンセスは結界に向けて目から光線を放った。

ビシュウッ!


バチイッ!!


結界の一部が破損した。

が、赤服達はそれに目も暮れず何やら怪しい儀式?を続けていた。


すると。


【な、なんだアレは?】

(魔法陣…ですの?)


グラウンドの中心部から光り輝く魔法陣が浮かび上がった。


「アレは…!」

「魔族の国…?!」

白百合のプリンセスの口から信じ難い名称が出た。


【何だって?!】


「過去の…まだ元の人間だった時の遠い記憶の中にアレを見た覚えがあります…。」


「そう、大魔王との決戦の場、それが魔族の国でした…!」


「アレが…魔族の国ですの…。」


俺も兼悟も前世でゲームの画面で魔族の国のグラフィックは見た記憶はある。


けど、まだボンヤリとしか向こう側が見えてないとはいえ、現実として目に映るソレは画面上からは感じられないほどのオドロオドロしさが漂って来た。


「このままではアレとコチラを繋ぐトンネルが顕現してしまいます!」


【そうだな、早く止めなくては!】


「では、私も…。」

「電光・.閃光・裂光!闇を引き裂く天駆ける星と成れ!」

美鈴メイリンは派手な所作を始めて呪文…というより決め台詞のような文言を唱え始めた。

まさかコレ…?

「そして宿りたまえ、大いなる星の聖霊よ!」

「速攻変化…完装!!」


ズドオオオーン!!


美鈴メイリンの周囲が爆裂し、その身体はハイテクノロジーのような輝くメタリックボディーに覆われた!


「我れの名は…仮面の剣豪、電光烈火!!」


「またの名を…超速星チャオ・スウシン!!」


ヤッパリかー?!


『やっと私の出番か…正直待ちくたびれたぞ美鈴メイリンよ?』


「ゴメンナサイですわ、今まで適材適所な相手や場面に恵まれ無かっただけですの。」


【あのー電光烈火様?】


『何だね仮面の聖霊。』


【言いにくいんですけど、まだ貴女の出番では…】


『いや、じきに出番が来るだろう。』


またしても美鈴メイリンによってハイテクメタリックボディーへと変えられてしまった電光烈火はユラリとグラウンドの方を見る。


その視線の先に見えるのは結界の中に光り輝く魔法陣。

そしてそこから覗いている魔族の国の光景。


と、魔法陣の向こう側から何やら黒く蠢くモノが。


「これはいけない!」

白百合のプリンセスは結界に空けた破損部分から結界内部に突入した。


スタッ!


「貴女達、ここまでです!」


「うげっ?オマエは確か白百合のプリンセス…?」


赤服達が狼狽える。

が、彼女らは皆が魔法陣維持の為か白百合のプリンセスを迎撃出来ないでいた。


「来ないならコチラから参ります!」

ピシュッ。

白百合のプリンセスはレイピアを閃かせると、片っ端から赤服達を斬り伏せた。

ズバズバズバババ!!


「ぐ…おおっ…?」

バタバタバタバタッ!

赤服達は抵抗出来ず、そのまま地面へ横たわっていった。

「安心なさい斬れてはおりません。」

レイピアにはバリアが張ってあった。

美鈴メイリンに倣って気絶させただけらしい。


「ふう…これで魔法陣も消え…」


『グアアアッ!!』


「な、何ですの?」


魔法陣の中に映る魔族の国から呻くような声がした。

と、魔族の国から黒く大きな影が魔法陣からはみ出し始めた。


【いかん、奴はあそこから抜け出る気だ!】


「魔法陣はグラウンド全体に広がっていますわ…そこから出て来るその大きさはどれほどのモノに…!」


『だから言っただろう、直に私の出番となると。』


「…ですわね。」


【とにかくそこから逃げるんだ白百合のプリンセス、聖霊の仮面の加護を受けられない今の状態オマエじゃ歯が立たない!】


「いえ、仮面の聖霊様…私ならやれます!」


白百合のプリンセスは俺の忠告を無視してあの影へと突っ込んだ!


『やれやれ…相変わらずなお転婆姫様だな。』

電光烈火は懐かしむように、そして呆れるように言ったけどそんな呑気な事言ってる場合じゃない。


「実体化する前に…喰らいなさい!」

白百合のプリンセスは大きな光る玉を作ると、それを凝縮した。


と、見る見るうちにそれは小さな黒い塊へと変化した。


【良く見ろ美鈴メイリン、アレこそが本物の重力魔法だ。】


「ほお、アレがですの?」

超速星チャオスウシンこと、電光烈火に変身した美鈴メイリンの声がそのハイテクメタリックボディーから聴こえた。


正直このゴツいガタイから美鈴メイリンの鈴の音のような声が聞こえるのは違和感が半端無い。


そう言ってる間にも白百合のプリンセスが作り出した重力魔法の塊…所謂ブラックホールはバレーボールくらいの大きさまで膨れ上がっていた。


「発射!」


ボーン!とブラックホールは黒い影へと飛ばされた。


ギュウウゥ!


空間がネジ曲がり黒い影はその中へと吸い込まれ…


「やったわ!」

白百合のプリンセスは魔術の成功を確信した。


が。


バチン!!


大きな破裂音がしたかと思うと、何とバレーボール大のブラックホールは弾け飛んで消えてしまったのだ!


「そ、そんな…嘘…?」

白百合のプリンセスは呆然とした。

俺も目の前の光景が信じられ無かった。

だって相手はブラックホールだぞ?

物理的にこれ以上は無いと言える程の無敵な攻撃だぞ?


『何かと思えばブラックホールの魔術か…』

『そしてやはり…あの時の小娘か!』


黒い影はノッシノッシと魔法陣から抜け出した。


その直後、魔法陣は消えてしまった。


【え…と、つまりアイツを向こうに押し戻すのはもう無理って事か。】


『そのようだな。』

「では、戦うしかありませんわね電光烈火様。」


【どーやって?だって相手はブラックホールすら跳ね返す奴だぞ?】


俺が狼狽えてる間にも白百合のプリンセスはレイピアで影へと斬り掛かっていた。

「…や、やあ~っ…!」

ヒュン!


ガキッ!


『…弱いな…』


「な、何ですって?」


『先ほどの魔法といい、さっきの剣といい…。』


『昔と違って歯応えが無い、つまらん!』


影から腕のようなモノが伸び、身体?に当たった白百合のプリンセスのレイピアを叩いた。


バシッ!


「あああーっ?!」


白百合のプリンセスの身体が結界へ飛ばされた。

バチバチッ!

「あがああーっ!!」

結界に接触した白百合のプリンセスが苦悶の表情を見せた。


【プリンセスーッ!?】


「ぐう…。」

バタッと前屈みに倒れ込む白百合のプリンセス。


が、何とか体勢を立て直すと、再び影を睨んで対峙した。

「あ、アナタは何者なのです…?」

「私と以前会っていたようなその口ぶり…」


『…そうか、まだ身体がコッチで顕現してなかったようだな。』


『これならわかるか?』

影で覆われていたその身体。

その影が身体から消えてゆく。


「…あ、アナタ確か…。」


『久しいな、聖練潔白。』


「いや、輝光姫フゥイグゥァン・ヂェンよ。」


完全に影が消えたその姿。


頭に角と小さな王冠。

身体には鎧。

そして手には大きな剣。

巨大な尻尾。

その全高は…ゆうに30メートルには達していた。


頭の先から尻尾の長さまで合わせれば、ざっと全長50〜70メートルくらいに達しているかも知れない。


「昔は俺ももう少し小さかったがな…オマエに負傷させられた後の長い時を経て成長したのだ。」


「ま…前の倍くらいになったのね…?」

「魔族四天王、黒竜のプリンス!」

白百合のプリンセスは左手にもレイピアを出現させた。

二刀流…彼女も本気でこの相手に挑む気だ!


「仮面の聖霊様…そして美鈴メイリンさん、ここは手出し無用です!」


(と…言っておられますけど?)

『手をだすな、と言われてもだな…。』

【彼女もわかってるはずなんだ、今の自分ではとても奴相手に勝ち目は無いって。】


(そう…なのに何故彼女は…?)


『有無…少々奴とは曰く付きだからな。』


(ソレはどのような?)


『かつて聖練潔白こと輝光姫フゥイグゥァン・ヂェンは黒竜のプリンスに求婚され断ったのだ。』


【(はああ〜っ?!)】


俺と美鈴メイリンはイキナリ白百合のプリンセスの身に起きていた衝撃の過去を聞かされ、叫ばずにはいられなかった!


(あの…名尾ナビ君?この世界にも男がいましたのね?)


【ソコかい?!】


まあ相手は人間でなく魔族だからな、男というかオス?くらいは居ても不思議は…。


…アレ?

そう言えば魔族って確かこの世界では男だけだったような…?!


俺、何かとんでもない事に気付いてなかったような気がする…(汗)。


「そうか…結界の外には仲間がいたのか?」

「なら希望通りにしてやろう。」


シュウウウウ!


「な、なんですの?禍々しい瘴気が!」


『不味いな…強大な闇の魔力で結界が強化されてしまったぞ。』

『アレは物理攻撃を受けつけない異質なモノだ、私の力も吸収されて無力化されるな。』


「では、どうするんですの?」


『一つ手はある…だが、しかし…。』

電光烈火は渋っていた。

だが白百合のプリンセスの身に危険が迫ってる以上、グズグズしてられないぞ?


その頃、白百合のプリンセスは健気にも黒竜のプリンスに挑み、その剣に吹き飛ばされていた。


ガキン!


「あああーっ!」

再び結界に背中からブチ当たる白百合のプリンセス。

バチバチッ!


今度は辛うじて立っていた。

「くう…ま、まだまだ…!」


「しぶといな…だがそうでなくてはな。」


「ふん、勝負はこれからです…!」

白百合のプリンセスの身体が輝いた。

身体強化だけでなく全身をバリアで覆ったようだ。

「私のプライドと操にかけて、今度こそアナタを倒します!」


「ふん、コッチこそ返り討ちにして今度こそ花嫁にしてみせるわ!」


【何か、何か方法あるなら教えてくれ!】

「何ですの?勿体ぶらないで下さいな!」


『では聞くぞ。』

ゴニョゴニョ。


「お…、オッケーですわ!」


『よし、だが白百合のプリンセスの為にもう少しだけ彼女の頑張りを見届けてやろうではないか。』


「い、いいんですの、それで?」


【おいおい、早く助けようぜ?もう見てられないよ俺は…。】


………その頃、保健室では。


「それ、本当ですか?」


「はい、白百合のプリンセス様が赤服の侵入者達を相手に…」


ガラッ!


「あ、明花ミンファさんどちらへ?」


(私も…行かなきゃ…!)

明花ミンファはひたすら走った。


向かうは黒竜のプリンスが暴れ回っているグラウンド…!


(私が行ったところでどうにかなるわけでもないかも知れない…。)

(でも…美鈴メイリンさんもそこにいらっしゃるのなら…!)


恋は盲目とは彼女の事を言うのか。

自分の身の危険を顧みず明花ミンファはそこに美鈴メイリンがいる事を確信してその場を目指すのだった。



魔法陣から顕現した魔族四天王の一人、黒竜のプリンス!

白百合のプリンセスの運命は?

そして美鈴メイリンと電光烈火の出番は?

明花ミンファは役に立てるのか?

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